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春高校三年生になったたくとは、最近ため息が増えた。
「また見てる」
友達が言う
たくとは何も答えない
視線の先
一年生の教室前
「りゅうきー!」
誰かに呼ばれたりゅうきが笑う。
明るい、 元気、 うるさい、 可愛い、 好き
完全に好きだった。
「顔」
友達が言う。
「なに」
「緩んでる笑」
たくとは真顔になった。
「なってない」
「なってる笑」
なっていた。
りゅうきを見る時だけ。
本人は気づいていない。
りゅうきと知り合ったのは去年の冬。
生徒会だった。
「先輩!」
初対面なのに距離が近かった。
「なんですか」
「字綺麗ですね!」
「そう?」
「すげぇ」
それだけ。
本当にそれだけ。
なのに。
気づいたら好きになっていた。
問題は。
りゅうきには幼なじみがいることだった。
同じ学校。
同じ部活。
昔から一緒。
そして仲が良い。
ものすごく。
昼休み。
廊下
りゅうき
「おーい!」
幼なじみの肩に飛びつく。
笑う。
楽しそう。
たくとは少し離れた場所からそれを見る。
胸が痛む。
何回見ても慣れない。
「付き合ってんの?」
友達が聞く。
たくとは首を振った。
「違うと思う」
「思う?」
「知らないから」
それが一番苦しい。
恋人なのか。
違うのか。
分からない。
だから諦められない。
放課後。
たくとは生徒会室にいた。
すると。
勢いよく扉が開く。
「先輩ー!」
りゅうきだった。
たくとの表情が一瞬で柔らかくなる。
副会長・書記
(出た)
全員知っている。
本人たち以外。
「どうしたの」
「聞いて!」
りゅうきは楽しそうに椅子へ座る。
「今日さ!」
たくとは笑う。
自然に。
優しく。
そして聞く。
りゅうきの話を。
ずっと。
何時間でも。
だけど。
話の途中。
りゅうきが言った。
「そういえば今日もトムと帰るんよ」
幼なじみの名前。
たくとの心が少し沈む。
「仲良いね」
精一杯普通に言う。
「やろ?」
りゅうきは笑う。
無邪気に。
残酷なくらい。
たくとは知っている。
りゅうきに悪気はない。
何も知らないだけだ。
だから責められない。
好きだ。
好きで好きで仕方ない。
でも。
言えない。
もし断られたら。
今みたいに笑いかけてもらえなくなるかもしれない。
先輩って呼んでもらえなくなるかもしれない。
だから。
今日もまた。
「気をつけて帰ってね」
そう言うだけ。
りゅうきは笑う。
「先輩も!」
そして去っていく。
夕陽の中。
たくとはその背中を見送った。
追いかけたい。
隣にいたい。
名前を呼んでほしい。
自分だけを見てほしい。
だけど。
その願いは胸の奥に沈める。
まだ。
届かない。
だから今日も。
ただ恋い慕い、
ただ会いたいと願う。
それが、
恋慕渇仰。
「りゅうきは自分を恋愛対象として見てない」
コメント
1件
読了です…🌙 たくとくんの「好き」がひたすら静かで苦しい。りゅうきくんが無邪気に幼なじみの話をするたびに、胸の奥に何かが沈んでいく感じ、すごく伝わってきた。「無邪気に。残酷なくらい。」の一行が刺さる…。 相手に悪気がないからこそ、片思いってどこまでも自分だけの戦いになるんだよね。好きな人を想う気持ちそのものは純粋で美しいのに、それが報われないかもしれない怖さで押しつぶされそうになる。 「恋慕渇仰」—タイトルに込めた想いも含めて、続きがすごく気になります。更新楽しみにしてます🖤
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