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「奪われた記憶よりも、彼奴との未来を強請るとは。これは想定外だぞ」

「違います! 強請ったわけじゃなくてですね――」

「言葉は言霊。告げるだけで、願ったことになるとしたら?」


創造主は胸の前で両手を合わせて、呪文をぶつぶつ唱えた。すると合わせた手の中が光に満ち溢れて、隙間から青白い輝きが見てとれた。


「私がこの手を開けば、おまえが強請った未来を見ることができるが……」


見ると言わせる威圧的なまなざしを受けたが、勇気を振り絞って、黙ったまま首を横に振った。


「さては別れることがわかっているから、見たくはないというのか」

「!!」


突き放すような物言いと内容に、躰が一気に強張る。指先から血の気がなくなっていき、どんどん冷たくなった。


(――健吾さんと別れるって、何が原因だろう? 僕に飽きて、捨てられる未来とか? 他には……)


「人は何れ死ぬ。必ず別れが来るじゃないか」

「あ……確かに」


考えていたこととはまったく違う未来にほっとして、安堵のため息をついた。あれこれ考えを巡らせて混乱しまくっていた頭の中が、瞬く間に静寂に満ちる。


さっきから動揺を繰り返すせいで、夢の中だというのに、自然と疲労していくのがわかった。


「おまえ、もっと自分に自信を持ったらどうだ。歪みまくった彼奴を正すことができたのは、おまえの素直さがそうさせたのだから」


胸を撫で下ろす僕の肩を、創造主は力強く叩きながら微笑みかけてきた。つられるように笑ってみせたけど、ぴきぴき引きつっている感じが頬に伝わってくる。

愛想笑いをしているのは、バレバレだろう。


「あのぅ、えっと――」


褒められたことについて、ストレートに応えたかったが自信がない以上、その通りにはできない。だからこそ、心の中にあることがピックアップされた。


「僕は死がふたりを分かつその瞬間まで、彼の光でいたいです」


言葉は言霊ならば、こうありたいなと思うことを言ってみた。


「光?」

「健吾さんが言ったんです。僕は光だと」


そのときのことを思い出しながら、右手を胸に当てた。

歪んだ関係~夢で逢えたら~

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