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「先生…僕らも1つだけ報告しとかなきゃいけない事があります。実は…僕らは近いうちに結婚します」
「結婚? どうしてそんなに慌ててする必要が…あるんだな?」
「理由なんて…別にないですよ。只、お互いが少しでも長く一緒にいたいと考えて出した結論なんです」
言い終えた後、僕らは見つめ合い頷いた。
「ご両親には?」
「2人で互いの両親に会って、結婚したい事を告げました。まだ納得してもらってはいません」
「そうか…。それより結婚したら式はどうするんだ?」
「します」「しません」
「どっちなんだ?」
「僕はしてあげたいんですけど、葵が…」
「私は、瑛太と一緒にいられればそれでいいんです。結婚式がしたい訳じゃないんで」
「そうなのか…。とにかくおめでとう。先生はお前たちの味方だからな。2人で解決出来ない事があったら、いつでも言ってこい」
「はい」
「はい」
そうして、僕らは高校を卒業した。
…‥半年後、僕らは籍を入れ、晴れて夫婦となった。
ここまで来るのに順風満帆とはいかなかった。
僕の両親は許してくれたけど、葵の両親を説得するのは簡単ではなかった。
時間の許す限り、会いに行って説得した。
そして許しを請うまでに数ヶ月の時間を有した。
2人の住まいは、葵が妊娠し出産するのに何かと不安があったので、僕の実家の近くにあるアパートを借りる事になった。
また、葵と一緒に暮らしていた遠藤さんは亜季ちゃんのいる外国に行ってしまった。
こうして、それぞれの新しい生活がスタートした。
A銀行に就職した僕は、勤務時間が8時から17時までで、残業をしても19時には家に帰る事が出来た。
とは言え、新入社員の歓迎会や上司との付き合い、その他にも何かとイベントとこじつけて飲み会が開催されていたので帰るのが遅くなる事も度々あった。
社会人になって気付いたが、大人というのは仕事以外の事の方が結構大変かもしれないという事だった。
でも、大変だとは思うけど働く上で大切だという事もわかった。
そして社会人1年生になってから8ヶ月が経とうとしていた。
今日は仕事を終えると真っ直ぐ家にむかった。
何故なら、最近葵の体調が余り良くなかったからだ。
「ただいまぁ」
「瑛太、おかえりなさい」
「体調はどう?」
「病院行ってきたよ」
「どうだった?」
若い人でも近頃は病気で亡くなっていると、よく耳にするし、女性なら乳ガンや子宮がんも多いと聞いていたので不安だった。
「心配しないで。特に悪い所はなかったよ」
葵は小さく首を横に振った。
「それなら良かった」
「でも…」
「でも何?」
「お腹に…」
「お腹に? もっ‥もしかして…できたの?」
「うん」
「よし!?」
「遥香が生まれるんだよ」
「やっと会えるんだね」
僕らは抱きあって喜んだ。
「瑛太…痛いよ」