最近、ノベルにハマりまくってる
『最後の似顔絵』
黄「…変だね」
翠「うん…」
本当に変だ。何で君が俺の目の前に居るのか。
よく分からない。
翠「死んだって先生から言われたよ」
黄「…そうなんや、」
死んだはずの君が居た。
日曜日の美術室。
今日は俺1人だけ。のはずだったのに、
何故が君がいたんだ。
黄「皆んな…泣いてた…?」
翠「…うん、そりゃあ泣いてたよ」
黄ちゃんは誰にでも優しくて、笑顔が素敵で、
皆んなから愛されるような存在だった。
黄「……ねぇ、俺の似顔絵、描いてくれない?」
翠「黄ちゃんの?」
黄「そう…書いて欲しいな」
翠「分かった…絵の具出してくる」
絵の具をとりに行った。
涙を抑えたくて、1人になりたくて…道具を取りに行った。
翠「動かないでね…」
黄「ぅん…」
改めて見ると、鼻は高いし、目は大きいし…肌は白いし。本当に整っていると思った。
黄ちゃんの似顔絵を描いたのは何年ぶりだろうか?小学生の頃、黄ちゃんとペアになって一緒に絵を描いた。
その時も、顔綺麗だなと思いながら描いた。
黄「久しぶりやね、…翠くんに描いてもらうの…小学生ぶりなんかな?」
翠「そうだね…」
俺の口数は段々と少なくなっていった。
しばらくすると、黄ちゃんが口を開いた。
黄「…翠くん…キスしてくれない?」
翠「ぇ…?」
俺の頬は少し赤くなった。
何で急にそんな事。
黄「俺…恋人もできてないし、…キスしたことないんよね…」
知ってる。こんな、可愛い見た目しといて彼は恋人が一度とできた事はない。多分俺のせいなんだと少し思う。
黄「だから…キスしてくんない?」
翠「いやいや、…無理だよ。ファーストキス奪われるの嫌だし。」
黄「そう…やね、」
そういう顔されるとこっちも色々と、困るんだよなぁ
翠「……」
黄「…翠くん、もし翠くんが彼女できて、キスとか、そういうことしたら、こっち来た時にどんな感じだったのか教えて」
普段はそういう事が恥ずかしくて言えない黄ちゃんなのに、今の黄ちゃんは恥ずかしがらずに言える。本当に可笑しい。
翠「…分かった」
黄「うん、よろしくね…」
翠「あともう少しで書き終わると思う。」
黄「ほんと?、楽しみ……翠くんって本当に絵上手いよね~将来すごいところについてそう」
翠「そう?」
黄「…うん、」
俺は筆を動かして、唇の艶を白い絵の具で描く。最後の仕上げが終わった。
翠「できた…」
筆を止めて、黄ちゃんの方をふと、見ると
翠「……ぇ?」
びっくりした。
黄ちゃんが透けていたんだ。黄ちゃんが透けるから、夕焼けの色が見える。朱色と橙色の夕焼け。とても綺麗だった。
瞳の色も綺麗な橙色に。
黄「…もう、消えちゃうみたい」
微笑む君の姿を見て、俺は涙を流した。
無色透明の水を流す。
そして、君も涙を流した。君の涙は
透明で橙色が映った。
黄「…本当に翠くんはっ…絵が上手いね」
泣きながらも必死に笑顔を作る。
俺も必死に笑顔を作る。そして、描いた絵に俺の涙がこぼれ落ちる。滲んでしまったけれど、黄ちゃんは満足そうだった。
黄「教えてね…キスとかそいうの」
翠「ぅんっ…」
黄ちゃんは立ち上がり、俺に近づく。そして、俺をすり抜けていった。
なんとなく、俺の唇は橙色だった。
最後の似顔絵は綺麗な夕焼けだった。
コメント
1件
いやぁぁぁぁぁ神…最後に翠の唇が黄ちゃんの涙と同じ色なの好きすぎる