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関西弁が不安な今日この頃

すっごい長くなっちゃった


「…そうか」

不破は話した。甲斐田に好意を自覚したのも全て。

もう、これ以上溜め込むのが無理だった。

「そら辛いなぁ」

聞き終わっても、戌亥はいつも通りのふわふわとした感じだ。

不破としては、とにかくありがたかった。

無駄に大袈裟に同情されるより、いつもと変わらない感じで同情される方が、傷つかないでいられる。

「…あれ? とこさん?」

いつの間にか、向かいのカウンター越しにいた戌亥が居なくなっていた。

「はい、本日の日替わりランチ」

右に居た。

料理が出来たから運びに来たのか、と不破は納得。

「ありがとうございます」

目の前に置かれた美味しそうなご飯を見て空腹感を思い出した。

ふと右からカタンと音がしたと思えば、戌亥が椅子を引いて座っていた。

「アタシも一緒にお昼。一緒に食べた方が美味いやろ?」

「…ですね、じゃあ…」

「「いただきます」」

揃って手を合わせた。

今日の日替わりランチは、ミックスフライ定食だ。エビフライとコロッケ、メンチカツ。

不破は一口味噌汁を飲んだあと、コロッケを一口に箸で切って口に運ぶ。

「! 美味」

「おお、良かったわ」

そう言って、戌亥はエビフライを口に運んだ。

「ところでな、さっき言ってへんかったんやけどな」

「? はい」

「貸切状態にしてると言っても、もしかしたら誰か来てしまうかもしれへんのは承知しといてな」

「あ、はい。分かりました」

ピロン

「?」

スマホの通知の音がした。

不破は自分のかなと思い、ポケットからスマホを出そうとしたが、

「あぁ、大丈夫よ。アタシの」

と言われ、再び食べ始めた。

「…」


約10分後。

「ご馳走様でした」

ずっと考え事してたからか、こんなに空腹だったとは分からなかった。

集中しすぎって怖いな、と思う不破だった。

「お粗末さまでした」

不破が戌亥の方をチラっと見ると、戌亥はまだ食べ終えていなかった。

「とこさん、何かあったんですか?」

「…おふわ」

「はい」

「なんかなぁ、ンジュとイゼがな」

「はい」

「社長と剣持さん連れて昼食べに来たいんだけど良い?─って言うとって」

「…ぇ?」

少し体温が下がった気がした。

今2人に会うのはマズイ。直感でそう思った。

「とりあえず今は、ちょっと貸切やから少し待っとってくれる? って返して、うんって来たからコレやけど…今かがみもちに会うんは嫌やろ?」

「……はい」

顔色が悪くなってる気がすると感じた戌亥は、言わんくても良かったかと思うが、話を聞いた矢先、そのまま帰す訳にはいかなかった。

「だからな」

「…はい」

「ちょっと裏隠れといて貰っていい?」

「…………はい?」

いや、全く分からない。

不破の頭上には大量の ? があった。

「せっかくおふわが話してくれたのに、アタシまだ特に返してないからなぁ。そのまま返す訳には行かへん」

「いや、話聞いてくれただけでありがたかったですし」

と両手を振る不破。

「いいや。言うてくれたんならちゃんと答えて返す。そうさせたってくれや」

「…はい、ありがとうございます」

押しに負けた。でも、面倒だとは思わなかった。

「ん、それ」

口に入れた白米をもぐもぐしながら、戌亥は言った。

「?」

それとは? とキョトンとなる不破。

「そういう緩んだ表情の方がええで。おふわは特にな」

そう言われ、先程まで自分が表情かお創りにつくりまくってたのを思い出した。

「とにかく悩んだ時はな、あまり近くでは無い第三者を頼るのが楽よ? 実際、今おふわはろふまおに特に関係の無いアタシに話した。少し落ち着いたやろ?」

「… 」

不破は、自分の頬をペタッと触る。

「……はい」

フワフワした感じで笑った。

「それでよし。…ご馳走様でした。んじゃ、おふわちょっとこっち」

「あぁ、はい」

裏、と呼んでた倉庫の、今入ってきたのれんのすぐ側に、戌亥は背もたれを席側にして椅子を置いた。

「ここ座ってな」

「え、でもここじゃ、見えてしまうんじゃ… 」

「大丈夫よ、カウンターの厨房側からしか見えんのよ?ココ」

ちょいちょいと手招きした戌亥の隣へ行き、今椅子が置かれた所を見る。

今度は席の方からその場所を見る。

「あ、ほんとだ」

「な?」

戌亥がニコッと笑う。

「アタシ人間より耳良いし、なんか聞きたいことでもあったら小声で呼んでくれればええよ。だからちょっと、ココ座って今から来る人達の話聞いてのんびりしな」

不破の背中を押し椅子に座らせ、スマホを取り出す戌亥。

「多分待ってるからすぐ来るな」

返信を送信した戌亥は、自分と不破が食べた後の食器を片付ける。

「あ、すんません、片付け…」

「ええよ、アタシが勤めとるとこやし。それより、もう来るよ?」

言われた途端に緊張し、少し体が強ばる不破。

(これから俺がするのは盗み聞きかぁ…のんびりなんて出来ませんが??)

カランカラン─

「とこちゃーん!」

「戌亥お疲れさーん」

「おー、いらっしゃい。早いななんか」

「いつでも行けるようにずっと待ってたからね!」

「リゼスマホとにらめっこしてたもんね」

「ゔっしてないよぉ…」

さんばかのホワホワした会話に、不破は少し癒された。

「すみません戌亥さん、貸切状態だったと聞きましたが…」

(!! 社長の声…!)

「大丈夫です。貸切状態だった理由は、そのかたが他のお客さんいるとヤケに緊張してしまうみたいで。それでです」

「へーそうなんですか」

剣持がふーんといった感じの返答をした。

「立ったまま話してもうたな。お好きな席どうぞー」

戌亥はカウンターの厨房側に来た。

「お二方、テーブル席にしましょう」

「そうですね、その方が焦らず話が出来ますよ?」

と、テーブル席の窓側にリゼとアンジュ。

向かいに加賀美と剣持が座った。

「なんや、なんかあるんか? 他の人に聞かれたくないもんやったらさっきみたいに貸切状態しますけど」

カウンター越しから戌亥が問う。

「…どうです? お二人さん」

と、アンジュが視線と共に問う。

「お願いします。あまり容易に広めてもいい話では無いので」

加賀美がそう言ったのを聞いて、不破は、

(甲斐田が怪我して、まだ起きてない事言うんやな)

と思った。

ガタッと音がした。

不破がその方向を見ると、戌亥がしゃがみ、シンク下の食洗機に食器を入れているところだった。

戌亥はこちらを見る不破に気づき、

《大丈夫よ》

と口パクした。

不破はそれを読み取り、とても小さく安堵のため息をついた。

甲斐田が怪我をする話

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