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僕は今、別館にある今は誰も使われていない教室を目指して歩いている。

目的地に近づけば近づくほど、綺麗なバイオリンの音が聞こえてきて、無意識のうちに早足になる。


ガラガラ


扉を開ければ、そこには会いたかった人がいた


「ハオヒョン!!」


バイオリンを弾いていたその人は弾くのをやめ、ゆっくりとこちらを向いた


「ハンビナ、会いたかったよ」


「ハオヒョン、僕もです!」


「ふふ、可愛い」


そういって僕の頭を撫でくるこの人は、1個上の先輩であるジャンハオという人だ。

入学式で迷子になってしまった僕を助けてくれたというのが最初の出会い。

あまりにも綺麗な人だったのでその後もずっと忘れられずにいた時、どこからかバイオリンの音が聴こえてきた。辿っていくとそこにはあの日、助けてくれた人がいた。


『君はあの時の……』


『…あ、はい!あの時は本当にありがとうございました』 


『気にしなくていいよ。それよりも、どうしてここに?』


『えっと…バイオリンの音が聴こえてきて、それを辿っていったらここに貴方がいたので』


『なるほどね』


『…あのっ!また、ここに来てもいいですか?』


『え?』


『あなたのバイオリン凄く素敵なのでもっと聴いてみたいんです』


『…………』


『め、迷惑だったら大丈夫です!』


『……ふふ、全然構わないよ。いつでもおいで』


『!…ありがとうございます!』


『僕はジャンハオ、2年生だよ。君は?』


『1年のソンハンビンっていいます!これからよろしくお願いします』


『うん。こちらこそ』


バイオリンをもっと聴きたいと思ったのも事実だが、この人ともっと仲良くなりたいと思ったのが大半だった。

そこからどんどん仲良くなった僕らは、1年経った今でも大の仲良しだ。


でも、最近ハオヒョンの何気ない仕草や言葉に心臓がはやくなり、顔が熱くなる。


今だってほら


「ハンビナ〜、僕を癒して」 


そういって僕に抱きついてくるハオヒョン。


「も〜、ハオヒョン何言ってるんですか」


そう言って平然を装っているが、僕の心臓は今にも破裂しそうだ。

自分の感情を不思議に思いつつも、こんなに綺麗な人が近くにいるのだからドキドキしてしまうのは当たり前だ、と無理矢理に自分を納得させて過ごしている。


そんな僕が、その感情の名前を知ることになったのはなんでもない日だった。


ある日、ハオヒョンに借りてた本を返しに行くために僕は3年生の教室へ向かっていた。

廊下にハオヒョンの姿が見えたので声をかけようとした。


「あ、ハオ……っ」  


ハオヒョンと呼ぼうとした瞬間、僕は固まってしまった。

なぜかって、ヒョンの横には1人の女子生徒がいたからだ。


とても綺麗なその人はハオヒョンと仲睦まじそうに話しており、どこからどう見てもお似合いだった。

ハオヒョンもその子に相槌を打っては楽しそうに会話をしている。


ハオヒョンと声をかければ、きっとヒョンは僕の事を見てくれる。

でも、僕はなぜかその場から動けなくなってしまって、ただぼーと二人を見ているだけだった。


「あれ、ハンビナ?」


すると僕に気がついたヒョンがこっちに向かってきた。


「君がここに来るの珍しいね?何かあった?」


「あ、ヒョン…この本を返そうと思って…」


「あぁ、これね。わざわざありがとう」


そこから少しだけハオヒョンと世間話をした。

あの女子生徒より自分を優先してくれているという事実が嬉しかったし、ハオヒョンとも話せたのだ。

なのに心の中は、何故か悲しくて…辛くて、胸が張り裂けそうになる。


僕は上手く笑えていたのだろうか?

頭の中を整理しようとしたその瞬間、3年生であろう女子生徒達の会話が耳に入ってきた。


「あの2人仲良いよね」


「2人とも学年を代表する美男美女。おまけに成績もトップクラス。あの二人以上にお似合いなカップルなんかいないんじゃない?」


「近いうちに付き合っちゃったりして?」







「っ…………」


その瞬間、体がほぼ反射のように動き、僕はその場から逃げるように走った。















「はぁはぁ………」


いつの間にか誰もいない所に来ていた。

壁に背をつけそのままズリズリと座り息を整える。 

頭の中ではさっきの女子生徒たちの会話が繰り返し流れている。


『あの二人以上にお似合いなカップルなんかいないんじゃない?』 


『近いうちに付き合っちゃったりして?』 



付き合う……ハオヒョンが、あの人と付き合う。


視界が段々と滲んでいく。

めでたい事のはずなのに僕の心の中は悲しみと絶望が渦巻いている。






「……いやだ…っ」 





ポロリと零してしまった本音。




あぁ、やっと気づいた。


なぜハオヒョンにだけ鼓動が早くなるのか


なぜ今、こんなにも胸が苦しいのか



やっと見つけた自分の感情。



「………ヒョン、好きです…っ」



誰かがいっていた。

恋とは楽しいことだけではなく、苦しいことの方が多いと。


確かにハオヒョンを想うと愛おしさが込み上げてくる。

ヒョンと一緒にいられると思うだけで幸せを感じる。


でももう遅い。

きっとハオヒョンはあの人が好きなのだろう。

あんなに楽しそうに女の子と会話をしているヒョンを僕は見たことがなかった。


自覚と同時に失恋してしまったこの恋。

しかし、ヒョンに対する想いを捨てるだなんて僕には到底出来そうにない。


胸に抱いておくだけなら許されるだろうか?

これ以上は何も望まない。

ハオヒョンとあの人との恋も応援しよう。


だから、だからっ……


「好きでいてもいいですか…っ?」


答えが返ってこない質問を小さな声で呟く。


あまりにも小さいその言葉は夕焼けの空に消えていった。












「好きでいてもいいですか…っ?」








答えが返ってこない質問を小さな声で呟く。


あまりにも小さいその言葉は夕焼けの空に消えていった。

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