俺には、好きな奴がいた。
だがそいつには”運命の人”がいて、
その”運命の人”は俺の友達。
好きだった奴をA、友達をB、としよう。
好きになったのは去年の夏頃。
誰にでも友達みたいに接して、一緒に居て楽しくって、俗に言ういじられキャラのような奴だった。
俺はそいつと一緒にいるうち好きになっていった。
数ヵ月後、修学旅行で俺の好きな人を明かした。
その夜、同じ部屋の人に言われた。
「BはAのことが好きだからやめときな。」
「あいつらは絶対両想いだから。」
今思えば、あいつなりの気遣いだったんだと思う。
…
本当は、気付いていた。
気付いていないふりをした。
2人はいつも仲良しで、ふざけあって、楽しそうで、
本当に、恋人同士みたいだった。
今でも思い出す度に心臓を握りつぶされるような感覚に襲われる。
恋をするのは何度かある。
けれど、失恋は生まれて始めてだった。
数日の間は毎晩涙を流した。
BがAを好きになったのは秋の始め。
俺の方が、先に好きになったのに。
どうして、
どうして、
どうして…
2人は遂に結ばれた。
クリスマスの事だった。
どちらも大切な友人なのに、素直に祝えない自分がいる。
誰かの失恋話。
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