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「んっうううう……」
太陽が現れ始め、鳥の鳴き声が聞こえる朝。
ここは日本の何処かにある2階建ての一軒家。
この一軒家に1人で住む男性が、唸り声を出しながら体を伸ばす。
「腹減ったぁ……」
そう一人言を呟いた男性の名前は、 “佐藤零”という名前だ。ちなみに年齢は23歳。
成人してからはここで一人暮らしをしているが、ずっと引きこもってばかりでだらしない生活を続けている。
外に出るのは実家に帰る時だけだ。
零は階段の音を鳴らしながら2階から1階に降りていった。
基本的に零の朝は普通の人より遅め。いつもは13時過ぎに起きている。
ただ今日は違う。
なんと8時に起きたのだ。元は6時くらいに起きる予定だったのだが2時間遅れたのでそんな事は忘れておく。
今日、零は市役所に大切な書類を渡しに行く日。
別に13時に起きても早く準備をすれば大丈夫なのだが、零は久しぶりに外に出るので張り切っていた。
「水冷たっ」
零は朝起きたらまずは顔を洗う。
よく分からないが肌荒れしても対応の仕方が分からなくて困るからだ。
袋から食パンを出す。
そして食パンをオーブントーストに入れて飲み物を飲みながら焼けるまで待つ。
オーブントーストから食パンを出し皿に置くと、黙々と食パンにオレンジジャムを塗る。
ヨーグルトを添えたらこれで朝食の完成だ。
ちなみに零は基本的に食べ物は通販で買っている。
今日は市役所に大切な書類を渡しに行く日なので、いつものようにだらだらとスマホを眺めるのではなく、急いで歯を磨き、服を着替える。別に急ぐ必要はないのだが。
準備を終えると、大切な書類をかばんに入れ、髪の毛を適当にくしでとく。
忘れ物がないかチェックし、忘れ物がないことを確認すると、
「よし」
と呟いた。
家のドアを開けて久しぶりに零は外に出た。
きちんと鍵を閉めて市役所の方に零は向かう。
「本当に道合ってるのか…?」
実は内心ビビっている。
徒歩で市役所へ行くので、外に出て1分弱で零はヘトヘトになった。
バスに乗れば良かったかと後悔。
だが、歩いていると見たことのない新しいお店などが出来ているので楽しい。
ちなみに体力は限界に達している。
「はぁ…はぁ…遠すぎるだろ……お母さんが近いとか言ってたけど絶対嘘じゃん」
そう呟いた瞬間だった。
車が急ブレーキをかけた音が大きく響き、歩道を歩いていた零の前に車が現れた。
車が止まるのが間に合わなかったのか、零は轢かれてしまった。
うっすらと見えていた零の視界には顔を蒼白にしている人が見えた。
零はこの景色を最期に息を引き取った。
はずだったのだが。
目を開けると見知らぬ天井があった。
しかも自由に動ける。
何故か自分は豪華な天井付きベットの上に座っており、周りを見てみると大きなクローゼットや窓がある。
あと何故か冷蔵庫がある。
「 なんでこんな所に?………っては?なんだこの声!」
男の零から出された声はめちゃくちゃ可愛い声だった。いわゆるカワボかロリ声。
さらに自分の服装を見てみると、黒くて赤色などのチャームポイントが所々にあるドレスを着ている。
「向こうに鏡があるな」
立ち上がって鏡の方へ向かう。
鏡も何故か豪華でこれもまた大きい。
「すっげぇ……!」
思わず声を漏らしてしまう。
そして、鏡の前に立つと零は衝撃を受けた。
「は?なんだこれ、俺じゃねぇ…」
鏡に映し出されたのは、幼い女の子だった。
100人に聞いたら全員がロリっ娘だ!と答えると思う。
髪色は少し暗い赤、ロングウルフカットのような髪形、頭には触るときっとふわふわな狼のような耳。
そして燃えるようなオレンジの瞳、よく尖っている牙。
「尻尾も生えてる…本当にこれ、どういうことだ?」
まるでハロウィンの仮装のようだが違和感はない。
「………なんで女になってるんだ?」
よくよく考えると男だった零が女になっているし、知らない場所にいる。
どういうことなのか意味が分からない。
しばらく考え込んでいると、零は突然記憶に何かが入ってきて今の状況を理解することができた。
どうやら零は車に轢かれたが転生したらしい。
そして零は魔族の王(通称魔王)の娘で、零の名前は「ロア・ダークネス」らしい。
そして吸血族と獣人族のハーフらしい。
何故分かるかは分からない。
急に零の記憶にロア・ダークネスの記憶が入ってきたのだ。
恐らく転生してロアとして生きるからなのだろうかと思う。
「俺は引きこもりらしいけど強いっぽいな… 」
一人言をぶつぶつ呟いていると、廊下が騒がしくなっていた。
「なんでこんな騒がしくなってるんだ…?外の様子が気になるんだが…」
恐らく今、零がいる部屋の前で人が話をしている。
零は何をされるのかとびくびくしていると、突然部屋のドアが開かれた。
「貴方がヴラド様の娘、ロア様ですか?」