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溢れ出る興奮

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溢れ出る興奮

1 - 第1話

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2022年08月31日

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「APEXのチャンピオンになりました」

そうアナウンスが響く。そうだ。今回俺はチャンピオンだ。そしてキルリーダー。ここまで最高な興奮を手に入れることは無い。

「新記録が達成されました」

あの時と似ている。俺が走る源を1度無くしたあの競技の時と。

「おめでとう。チャンピオン。」

後ろから声がする。今回チームで一緒だった「クリプト」だ。

「相棒!ナイスプレイだったぜ!」

そうやって彼に抱きつく。もう慣れたらしい。彼は一言いい抱き返した。

「グッドゲームだ。お前と一緒に出来たからな。」

少し自分の頬が染まる気がした。何故だろうと思いながら、ドロップシップのラウンジで聞く。

「…なぁ、クリプト。」

「どうした?オクタン。」

パソコンに集中している目をこちらに向ける。話はしっかり聞く良い奴だ。

「お前といるとなんか恥ずかしくなっちまうんだ。なんか分からねぇけどよ。」

「……気のせいじゃないか?」

少し間が開き、彼はそう答える。チラリと見えた彼の頬は少し赤く染まっている気がした。

俺と同じように。

「おーい、クリプト〜オクタン〜」

聞き覚えのある声が耳を通り抜ける。ミラージュだ。

「お〜どうしたんだ?ミラージュ。」

「いや、今日さ、パーティに誘われたんだ。だから、お前らも来ないかな〜ってな。」

パーティ。聞こえはいいが、俺には退屈だったあの場所しか思い浮かばない。

「それはどこだ?少し興味がある。」

クリプトが口を開く。そういうものには興味がないと思っていたから驚いてしまった。

「えーっと、シルバ製薬ってとこの一部を…」

俺はそこの場所を聞いた瞬間、ミラージュの言葉を遮って言い放った。

「俺は行かない!」「俺はいい。」

偶然、クリプトを同じことを言った。興味を示していたのに、行かないのか?

「ええっ!?…ああ、そうか。分かった。他の全員は行くらしいからな。お前らは留守番だぞ。」

「分かった。色々話聞かせてくれよ!」

「もちろんだ〜オクタン!」

そう言ってアネキ達の方に戻っていく。その背中は俺らに断られたせいか、少し寂しそうに見えた。

「俺ら留守番だってよ。…せっかくだ。2人で呑まないか?…な〜んてな…へへ。」

冗談混じりでクリプトに話しかける。クリプトは食い気味に俺に応える。

「いいぞ。俺の部屋で呑むか?」

あっさりと答えられ、頬がまた赤く染まる。俺はこいつにどんな感情を抱いてるんだ?

「あ〜…おう。そうさてもらう。」

俺らにはラウンジっていうマッチ前に集まるところがあるが、別に俺らは部屋を持ってる。そこで各々過ごしてる。

「まずシャワー入ろっと…」

俺が腰をあげると、クリプトも立ち上がる。

「俺もそうしよう。…上がったらそのまま俺の部屋な。」

共にシャワーを浴びるのはよくある事だ。いつもはミラージュもいるが、あそこにいたレジェンド達の姿はない。俺とクリプトだけだ。

ますます頬が赤く染まった気がした。知らない感情が頭を巡る。顔が見えてないかとクリプトの方に目をやると、いつの間にか隣にいた。驚きでゲーミングチェアに思いっきり腰が下がる。

「うおっ!?」

ガタン!と音をたてるイスにクリプトは驚く。

「大丈夫か!?オクタン!」

「ああ、怪我はしてないぜ。」

「驚かせてしまってすまない…」

「大丈夫だ。こっちこそすまん。」

「立てるか?」

こちらに手を伸ばす。俺はその手を掴む。

手を一気に包む優しい温かさ。俺はドキドキしていた。なぜ、なぜ、と思いながら。

「さ、行こうか。」

俺の手を引いて歩き出すクリプトに、俺はかろうじて隣を歩いた。

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