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玲王愛され

キャラ崩壊、ネタバレ注意

逆行ifでやってます。なので捏造ありまくりです。

アニメ勢の方にはネタバレになってしまう部分があるので注意

口調迷子

今回は千切視点



それでも良ければどうぞ ↓














「皆さんおはようございます、今日は前々からお伝えてしていた転校生の子が来てくれました〜!」

わぁ〜!!と担任の声により教室中が盛り上がる。小学生3年生の俺たちにとって転校生というのは、それなりに楽しみなんだ。転校生に学校の分からないことを教えたい、転校生に好かれてみんなから羨ましがられたい、などなど皆それなりに幼いながらの承認欲求を満たそうとしていた。

もちろん俺はそんなものに興味はさらさらない。だって俺の今の全てはサッカーなんだ。サッカーこそが全て、サッカーこそが俺の生き甲斐なんだ。だから基本的にはサッカー以外はどうでもいいし、女子の好意も男子からの僻みも俺にとってなんの価値のないものだった。


この時までは_



「それじゃあ入ってきていいよ」

担任の声によりカラカラカラと扉の音を鳴らして入ってきた彼に、さっきまで盛り上がっていたクラス中が息を飲んだのだ。なぜなら彼は美しかったから。俺もびっくりした、転校生に期待も何もしていなかった分、衝撃が強く頭が混乱した。

そんな俺たちを他所に転校生はポッと顔を赤くした担任に諭され、自己紹介をするように言われる。そしてチラリと担任を見て頷いていた彼の視線が俺たちの方に向き直る。

「御影玲王です、埼玉の〇〇小学校から来ました。よろしくお願いします」

彼はアイドルのような笑みをして皆を見つめる。その目にみんなは釘付けだ。でも俺はなんだかその目が怖かった、なんだか全てを見透かしているような気がして。美しい、美しいと思う。でもなんだろう、アレだ。よく少女漫画とかで見る、美しいバラには刺がある、ってやつだ。でも彼は紫の薔薇みたいだけどバラじゃないみたいだ。


まるで月下美人のような彼に俺は人知れず惹かれていた。










「ねぇ玲王くん〜!!今日の体育サッカーなんだけどサッカー好き?」

「玲王くん!そのライオン?のぬいぐるみなぁにー?」

久しぶりの転校生に皆はご熱心のようで転校生の彼の周りには人が集まっていた。

「サッカーは好きだよ、このライオンのぬいぐるみは前の学校の親友が俺たちの目印になるようにくれた」

今の今まで彼はクラスメイトの声に、仮面を被った笑みで答えていたがこの時は違った。ライオンらしきぬいぐるみを撫でながら、心底嬉しそうでいて楽しそうに笑った。その笑みに、ほぅ…とクラスメイトの目に熱が籠る。

うわぁ……天然人たらしかよ…と、遠目にじっと見ていたからか、一瞬御影玲王とバチッと目が合う。やば、と思ったが遅かった。

「なぁ、お前名前なんて言うの?」

「…千切、豹馬」

俺がうげぇ…と思い御影玲王と目を合わせないように目を逸らして名前を告げると、彼は目を大きく見開いてキラキラと笑う。

「そうか…!そっか!よろしくな千切!」

そしてガバッといきなり俺の肩に抱きつく。なんだかコイツとは昔、どこかで会ったような安心するような不思議な感覚が一瞬あった気がするが、いきなり抱きつかれるのは嫌いなのでグイグイと彼を自分から離すように押し出す。

「釣れねぇな!こういう時は抱きしめろよ〜」

「抱きつくな!離れろ〜!!!」









「玲王!!ナイシュー!!!」

体育の時間、彼はクラスメイトの男子に取り囲まれて褒めた耐えられていた。

「お前すげぇじゃん!!!かっけぇー!」

「どっかでサッカー習ってたの?!あの技教えてくれよ!」

「なぁ玲王!昼休みサッカーしようぜ!!」

などなど、玲王は皆に囲まれて色々聞かれていた。というのも、彼のサッカーの腕前が小学生とは思えない程に洗礼されたものだったのだ。初めてみるドリブル、初めてみる空中からのパス、初めてみるシュートの仕方。どれも初めてだらけの彼に皆はいとも簡単に絆されていた。

俺もサッカースクールをやっているので、超人並に上手い玲王の秘訣には興味があったので、肩で息を整えながら聞き耳を立てる。

「サッカーは特に習ってないぞ。あと教えんのはまだ不完全だから教えるのはまた今度な〜!」

彼はたはっ!と楽しそうに笑いながらみんなの輪に溶け込む。秘訣が教えてもらえなかった俺は胸のつっかえがとれず、隅で頭をかいていると突然ドッ!!と飛びつかれる感覚が襲う。

「うわっっ!!!!」

「千切!!お前もサッカー好きなんだろ!サッカー、やろうぜ!!」

そう言って笑う彼はまるで太陽のようで、俺のサッカーしかなかった世界にはキラキラと光る宇宙人のように思えた。








中学3年


「千切ってよく玲王に足のケアしてもらってていいな〜!!俺にも玲王に足のケアしてあげるように言ってくれよ〜」

「やだね、自分で言え」

そんなー!と話し相手の男子が悔しそうに声を上げる。俺の親友である御影玲王はあの体育の後から俺によく話しかけてきて、サッカー以外にも意外と趣味があって打ち解けて今は親友である。

俺は走るのが速いことを玲王に誇らしげに言うと、知ってると楽しそうに笑う。「お前は脚が命なんだからケアは毎日すること。」と、言いながら俺の脚を毎日懲りずにケアする玲王。才能を妬むことなく俺の才能を伸ばそうとしてくれる玲王にいつの間にか惹かれていた。

勿論玲王に惹かれていたのは俺だけではい、あいつは「これぞ御影玲王流人心掌握術!」と豪語して人の心を垂らしこんでいる自覚を持っていた。それにはうわぁ…という声しか漏れなかった。まさか天然人たらしと思っていた相手が人心掌握と言って人をたらしこんでたとは想像もしていなかったのだ。

だが玲王は人をたらしこんだのはいいが、まさか好意まで持たれているというのには無自覚だった。誰が自分を気に入っていて、誰が自分を友好的に思っているのかはわかるくせに、好きとか恋愛とかに関するものが彼には大きく欠如しているのだ。この間だって

『御影くん、好きです!付き合ってください!』

クラスで1番可愛いと男子の中で噂の女生徒からの、まさかの帰りの会終了してすぐの公開告白に玲王は

『おう!俺も友達として好きだぜ!で、どこ行く?あ、千切ー!放課後3人で遊びに行こうぜ!』

などと抜かす鈍感っぷり。告白した女子はガクッと膝から崩れ落ちて友達に慰められる。玲王は

『千切、どこ行きたい?やっぱ桜島?それとも熊本行っちゃう?フェリーなら出すけどどう?』

なんて馬鹿みたいな話をしだすから、玲王に呆れながら口を開く。

『お前なぁ…フェリーなんていくらすると思ってんだよ、お前普通の中学生なんだから金持ち自慢も程々にしとけよ〜』

俺が珍しく子供の自慢みたいな発言をする玲王をからかうように言うと、玲王はポカンとした顔を作ったと思ったら直ぐに元の調子を取り戻してハハッ!と笑う

『お前なぁ!今まで気づかなかったのかよ〜!俺、御影コーポレーションの一人息子だぜ?休日に遊びに行く時リムジンできてたし…って、毎回千切遅刻するからあってねぇもんな!そりゃ知らなくて仕方ねぇわ!』

たはっ♪と軽快に笑う彼にクラス中が静まり返る。そしてそれは俺も同じく、あまりの情報量の多さに頭がパンクして思考停止。

だって仕方ねぇじゃん…庶民じみた感じで給食もりもり食べてるし、外で元気に遊ぶし、ゲーセンで年相応にはしゃいで庶民感超でてたやつが御曹子って…しかも総資産7000億超えの御影コーポレーションの一人息子?少女漫画でも設定盛りすぎなくらいだろ…しかも文武両道、容姿端麗、人たらし…+高収入だぜ!?!?おかしいだろ神さま!

『千切〜?おーい目の焦点あってねぇぞ〜?』

彼は面白そうに俺の目の前で手を振るが、俺はガッと玲王のその手を掴みとる。

『しょ、証拠は…?』

俺は咄嗟に意味のわからないことを言って玲王を見つめると、玲王は仕方ないなぁという顔を作って指パッチンをするとゾロゾロと黒い服に身を包んだ大人たちが教室に入り込む。

『どうしましたか玲王坊ちゃま』

『んー…特にないけどいつも陰ながら護ってくれてありがとな。戻っていいぞ』

『お褒めいただき光栄です、では失礼します』

玲王が礼を言うと黒服の大人たちが教室からゾロゾロと出ていく。出ていく中でペタ…と腰を抜かす子もいれば、白目を向いて試合終了のポーズを取り椅子に座ってるやつもいた。

『これで証明になったか?』

『な、なっけど……マジか…』

『マジマジ』

玲王は威厳の何も無い繕っていない笑みで笑ったその日、俺は玲王に連れられて桜島に行かされた。













「玲王ってさ、金持ちのくせして金持ち特有の自慢?みたいなのないんだな」

放課後、まだ少し夕日が出ていない日に俺たちは近くのスーパーに寄ってパピコを庶民らしく食べていた。

「んー?なんだよ千切、自慢して欲しいのか?」

「んなわけねぇじゃん!」

「たはっ!だよな〜」

玲王はあっけらかんと嫌味のない笑顔で俺に向かって微笑む。コイツ、金持ちのくせに威厳とかプライドとかねぇの?とも思ったが、過去に彼と仲良くしようと小学生男子のような、好きな子をいじめるという幼稚な媚の売り方をした男を思い出した。

彼は玲王がよく身につけていたライオンらしきぬいぐるみを見て『汚ぇぬいぐるみww何これゴミ?ww』と笑って、玲王をからかった瞬間、玲王が普段とは違うありえない表情を見せてその男子の胸ぐらをつかみこみ、

『俺を馬鹿にするのはいいが、俺の親友のモンにケチつけんじゃねぇ…!社会的に殺すぞ?』

と言い放ち、小学生男児のようなからかい方をする彼を一蹴したのだ。玲王が俺に『帰るぞ』と言い連れられて行く間に横目で、胸倉を掴まれた奴を見ると何やら黒服の人と揉めて最終的に、HUN〇ER × HUNT〇Rのツボネのようなおばあさんに首根っこ掴まれていた。

この時、普段から優しく接してくれている玲王を下手に怒らせるな。という掟が学校中に広まったのはきっと玲王も知らないだろう。

「お前なに思い出にふけってるような顔してんの?お茶飲んであったまってる爺さんみてぇ笑」

コイツ…!!とも思ったが、後ろにいる黒服の人が見えるので怒るのはやめておいた。

「てか俺らもう受験生じゃん。千切どこ行くの?」

「えー…?俺はサッカーで俺の名を知らしめてぇからあのサッカーの強豪校の羅古捨実業高校ってとこ行く」

「……、そっか」

玲王は何故か俺が高校名を言うと寂しそうに笑った。

「何?寂しいのかよ〜!」

俺がニヤニヤしながら突っつくと玲王はヘラっと笑って俺の肩に手を回す。もうこいつのスキンシップも慣れたもんだ。そりゃ6年もいれば慣れるだろ、と周りから言われるがこいつのパーソナルスペースは極狭なのだ。

俺と玲王は中学で同じサッカー部に入っていたのだが、シャワールームが空いてないと「入るな〜!」といって入ってくるのだ。しかも「おっ、意外とデカイじゃん」とブツも笑ってみてくる。コイツもうデリカシーもクソもねぇじゃん…と呆れるしかなかった。

「そんで?玲王はどこ行くの?まさか俺と同じとこはねぇよな〜!」

ニヤニヤと笑いながら玲王をせっつくもいつものノリがなく、玲王は静かに前を向いて俺の問いにこたえる。

「俺は白宝にいくよ」

「はぁ!?!?お前マジで言ってんの?!あの白宝高校!?偏差値クソ高ぇじゃん!」

俺が思わず国内で1番という程の高レベルの高校名を出されて玲王の肩から手を退ける。確かに玲王は小学でも中学でもほぼオール万点で成績は上位だった。でもまさか白宝とは思ってなかった。

「白宝って東京じゃん…お前東京行くのか?」

「あれ?言ってなかったっけ、俺の家元々東京なんだけど。東京から埼玉に俺だけ引っ越して、その次に鹿児島に来たんだ。」

「へー、だから毎年夏休み東京に行くって言ってんの?」

マジかコイツ…と思ったけどもう驚くのに疲れてしまって溶け始めてしまったパピコを吸いまくる。

「まぁな、でも東京だけじゃねぇよ。埼玉に友達がいるからな、毎年会いに行ってる」

「ふーん、あっちぃじゃん」

「だよな〜!ま、俺が東京行ったら今度は鹿児島に来てやるよ」

玲王はもう懐かしむような顔をして笑う。まだ俺とお前の夏はこれからだろ…なんて思って玲王の肩に腕をかけてギュッと自分に寄せる。

「馬鹿言ってんじゃねぇっての!俺がお前が会いに来る前にサッカーで有名になってテレビで会ってやるわ!!」

そう豪快に笑うと玲王は「なら俺もテレビで取り上げられるように頑張るわ!」と笑う。玲王は豪快に笑ってなきゃらしくない、辛そうに悲しそうに笑うのなんて絶対許さない。お前は楽しそうに笑ってろ。と、心の中でひっそりと呟いた。

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