玲王愛され
キャラ崩壊、ネタバレ注意
逆行ifでやってます。なので捏造ありまくりです。
アニメ勢の方にはネタバレになってしまう部分があるので注意
口調迷子
今回は千切視点
それでも良ければどうぞ ↓
夏休み、俺は受験勉強でてっきり玲王とは毎年のように遊んでいたが、白宝に行くという玲王の進学先を聞いたので、遊ぶことはないかと思っていた。
玲王からのLINEがくるまでは
玲王:千切、来週埼玉行くんだけどお前も来ねぇ?紹介したいヤツがいるんだ
「は???マジで言ってんのこいつ…」
自分の家の自室でゴロゴロしながら小説を読んでいた俺は、突然のバイブに反応して通知のなったアプリを開いてみると、LINEがくるはずのない相手からの頭のおかしくなりそうなLINEが来ていた。
千切:お前マジで言ってんの?白宝行くんだろ?勉強しねぇの?
玲王:別に毎日しっかりやってるし夏休みは特別勉強しなくても白宝くらい余裕だろ。で、行けんの?行けねぇの?
「マジかよ……チートじゃん…」
玲王からの返信は完全に天才のような余裕のLINEだった。確かに玲王のレベルなら普通に首席くらい行けそうな気がするけど、油断大敵じゃねぇの?なんて当事者でもなんでもない俺の方が心配になってくる。
千切:まぁ行けるけどなんで突然?
玲王:おっしゃ!なら2泊3日してくから旅行準備よろしくな。あとお前のこと俺の友達に紹介したくなったから誘った!
「あぁ…例のライオンの…」
玲王はだいぶ前にライオンらしきぬいぐるみをくれた親友のことを話してくれた。その友人はサッカーバカで二重人格らしい。普段は良い奴なんだけど、サッカーになると人格変わるから面白いんだよな〜とこぼしていた玲王を思い出す。なんだかその時の玲王の笑顔を思い出して、俺の胸の中に不思議なモヤのようなものがつっかえているように感じた。
「おっし!!着いたー!!! 」
「つ、疲れた〜……」
埼玉についた俺たちは玲王のリムジンから降りて、ホテルへと向かう。さすがのリムジンでも何時間も乗車してるとなるとそれなりに疲れる。
「ホテルは同じ部屋でいいか?お前のことだから部屋汚くするんだろ?」
玲王は慣れた感じにホテルまで歩いて俺に質問する。もちろんのその質問の回答はYESだし、なんなら助かるくらい。俺は汚すのはできるけど片付けるのが嫌いなめんどくさがり屋なので、片付けてくれると言うのなら全然いや、すごく助かるのだ。
「そんじゃあホテルついたら潔んとこいくか!」
「おっけー、で?その潔ってやつとはどこで待ち合わせしてんの?」
俺が身体中に漂っている暑さをできるだけ逃がそうと、手で仰ぎながら歩いていると、玲王は待ちきれない!とデカデカと顔に書かれているほど楽しそうに笑っている。
「公園で待ち合わせしてる」
「公園…?え、カフェとか休憩所じゃなくて?」
「公園だけど…あ、もしかして嫌だったか?」
「いや、別に嫌じゃねぇけどなんで公園?」
俺はまさかこんなに暑い猛暑の中、クーラーの効いた屋内での待ち合わせではなく、クーラーのひとつも無い屋外、しかも炎天下のなか公園で待ち合わせだと知って思わず苦笑いをする。
「潔の家の真ん前に公園があってな、すぐサッカーできて疲れたらすぐ家に入れるから丁度いいよなってことで公園。」
「なるほどな〜……。ってすぐサッカーすんの!?」
「え?!もしかしなくても千切、お前嫌なのか!?」
「サッカーすんのは嫌じゃねぇよ?!でも今日の気温いくつだと思ってんだよ?!35℃だぞ!35!!」
玲王は当たり前かのようにこの真夏の猛暑の中、非情にも公園でサッカーをすると言う。昭和の部活かよ!!!って思ったし、せっかくの夏休みまで汗だくになんなきゃいけねぇのかよ…と少々落胆する。
「あー…確かに熱中症になったらヤベェもんな…、じゃあ明日屋内でサッカーできるとこ予約しとくから明日しよーぜ!!」
「おっけ、そんじゃあここからどうする?そいつの家凸る?それともどこかで待ち合わせする?」
「そうだな…今連絡して聞いてみるわ」
玲王はそう言っておもむろにスマホを取りだしてメッセージアプリを開き、ススッと画面を操作してメッセージを送る。暫くして打ち終わったのか、チラッとこちらを見てきたのでどうしたのかと様子を伺うように見つめ返すと玲王がニヤリと笑う。
なんだかその笑みがえらく不気味で俺の背筋がゾクッと震えた。そして、その最悪の予感は的中してしまうのだ。
「さーて、潔から返信がくるまで暇だし受験対策として簡単に口頭で勉強といこうか…。な?」
ほら…マジで最悪だ…
そうして、俺は問答無用で全教科をビシバシ叩き込まれてボロボロに、玲王の正論パンチにボコボコにされてしまった。そんな心身ともにズタボロの俺に光が差した。ブブッと玲王の方からスマホのバイブ音が聞こえてきたのだ。
「あー…もうかよ。次は理科入ろうとしてたのに…」
玲王は悔しそうにスマホを眺めながら言うが、俺からしたらもう最 & 高なので悔しくなんてないしむしろ幸せを噛み締められるくらいだ。
「それで??潔ってやつからはなんてっ?!」
「……。おい千切、お前なんかテンション高くね?」
「さぁ?気のせいじゃね?」
俺は指摘された通りテンションが上がってしまったのを誤魔化すように玲王から視線を逸らすと、玲王はじーっと俺を見つめたあと小さくため息をついてスマホに目をやる。
「…、まぁ別にいいか。潔からは”俺の家に来てくれ”だとよ、ってことで行くか!」
「だな!」
玲王の提案に「ついに勉強地獄から抜け出せた!」と、心踊っていた俺に玲王は容赦ない鉄槌を下す。
「あ、移動中さっきの続きでもするか?」
「しねぇよ!!!!俺が話振るから今日と明日はもう二度と勉強の話はやめろ!」
「へいへい笑」
玲王はペロッと舌を出して面白おかしく笑う。そんな玲王を見ていてつい考えてしまう。彼の癖なのだろうか、彼は自分で認識していないのかペロッと会話中や考え事、運動している時といつもどんな時でも舌を出す。それがなんだか、とてつもなく俺には愛しく感じてしまったからか、彼のその笑顔を俺は真っ直ぐ受け止めてやることはできなかった。
<潔の家の前>
「ここが例のやつの家…」
いつもみたいに何となく、ボーッと意味の無い話をしていた俺達は玲王のいう小学校の友達の家の前に来てしまっていた。玲王がよく彼のことを自慢げに話すので玲王の実家つながりかと思ったが、全くそんなことは無いような家で拍子抜けしてしまった。
「なんか普通だよな〜」
「いや、お前の家がおかしいんだわ」
前に玲王の家の写真を見せてもらったことがあるが、マンションの部屋まるまる自身の持ち家だと言い張った玲王にはもう驚きを通り越して、呆れも通り越して現実味のない真実が衝撃すぎて更にランクの高い、呼吸を止めるという驚き方しかできなかった。その後呼吸してない俺に気づいた玲王に「呼吸しろ!」って意味わかんねぇ怒られ方したし。
本当散々だよなぁ…と昔の思い出を思い出していたら、玲王はすでに家のチャイムを押していてインターホンから「はーい」と気の抜けた声が聞こえた。
「いらっしゃい」
「よっ!久々だな〜」
玲王と俺を明るく迎えてくれた彼をチラリと見た。やはり家の通りどこからどう見ても彼は平々凡々の普通の中学生だった。玲王みたいにお金持ち要素なんて微塵もないし、玲王みたいになんでもできる天才みたいには到底見えない。ただのどこにでもいる普通の俺と同じ中学生だ。
「あの…君が玲王が言ってた千切豹馬くん…?」
「ん?あぁ…悪い挨拶するの忘れてたわ。初めまして俺は玲王の友達の千切豹馬。お前のことはちょいちょい玲王から聞いてたけど、なんかあれだな!びっくりした!」
「……。一応聞くけど俺とお前、初対面だよな?」
「? 何言ってんだよ!初対面に決まってんじゃん!」
「ハハハ…まぁいいや、上がって」
「おう、有難くお邪魔させてもらうわ」
「んじゃ失礼しまーす」
俺と玲王はそれぞれ適当に挨拶していざ潔の家に乗り込んだ。家のリビングに進むと何だかあからさまに綺麗に着飾った、潔のお母さんらしき人物が、ピシッと卒業式で背筋を伸ばして座る無邪気な小学生みたいにソファに座っていた。潔がその人物を視界に入れた時、少し恥ずかしそうに目を逸らすが、楽しそうにしている様子から話しかけない訳にもいかず渋々といった様子で声をかける。
「母さん。玲王たち来たよ」
「! まぁまぁ!!ついに来たのね!玲王くんとお友達く…ちゃん?もいらっしゃい!」
潔が声をかけた人物はやはり潔の母親だったらしく、俺たち(正しくは玲王)を見た瞬間嬉しそうに頬を緩ませてこちらに足早に近づいて微笑みかける。あと俺男です
「今年もお邪魔します。おば様がお元気そうでなによりです。これ、つまらないものですが…」
玲王は俺が男だと訂正することなく、慣れたようにササッと高級そうな包装がされているきんつばとデカデカと書かれたお菓子を2箱程潔母に手渡しする。
「まぁまぁ!!毎年ありがとうねぇ…!よっちゃんったら玲王くんが帰ったらきんつば1箱まるまる食べちゃって…「母さん! 」」
潔が可哀想なことに母親に恥ずかしいであろう事実を暴露させられ、顔を真っ赤に染めながら母を叫ぶように呼ぶと、潔母は標的を俺に変えたのか俺に視線を移す。
「初めまして、玲王の友人の千切豹馬です…これ、良ければ貰ってください。あと俺男です」
俺はすかさず男であると訂正しながら、九州土産の柔らかい生地の中にトロッとしたカスタードが中に入った、有名店の蒸し菓子を潔母に渡す。すると、潔母は大きく目を見開いてこちらを見つめる。
「あら!ごめんなさい!綺麗なお顔してたからつい…玲王くんに可愛い彼女さんができたのかと思っちゃって1人で興奮しちゃってたわ〜!」
潔母の何気ない言葉に俺はピクリと反応する。何気なく視界の端に移った潔もそれは等しかったのだろう、少し不機嫌そうに眉を歪ませていた。
「まさか!!俺に彼女なんてできませんよ!」
「えぇ!?玲王くん外見も良いし、成績優秀、文武両道の優等生で優しいし、気遣い上手で話し上手に聞き上手で綺麗で、愛想がよくて面白いのに彼女つくらないの!?」
おい、なんか色々と息子の友人として見てるにはすげぇ詳しい情報がポンポン出てきてんだけどどういうことだよ…と思い、息子である潔を見てみると潔もなんだかイマイチつかみ取れない複雑な感情に包まれているのか、うんうんと唸っている。
「あー…そうですね、恋人には興味あるんですけどイマイチ恋愛とか、彼女とか彼氏とかよくわからなくて踏み込めないんですよね。なのでそういう感情で見れた相手がいたら恋人になりたいな…って思うかもしれません」
玲王は返答に困ったのか、当たり障りのないことを言って会話を終わらそうとしているのが丸わかりだ。やはり天下の玲王様でも恋愛事情を友人の母親に知られるのは恥ずかしいのだろう。いや、普通にこの状況おかしくね?
「あら…じゃあ今は相手がいないだけで恋人自体はウェルカムなわけね!!」
「まぁそうですかね…」
困惑する俺達を置いて2人は話をどんどん進めていく。いやマジでなんで友人(俺にとっては友達の友達)の母親と友達の恋愛事情聞かされなきゃなんねぇのか、意味がわからなすぎて頭が混乱してきた。
そんな時、にっこにこの笑顔で爆弾を潔母は落としてきた。
「それじゃあもし好きになった対象が男でもそれは変わらないのよね?」
「え」
「ちょっ!母さん!?」
潔母の予想外の言葉に俺は思わず困惑の言葉を思わず呟いてしまった。それに同調してかさすがにやばいと気づいた息子が、暴走する母を止めに入るがそれでも母は止まらない。
「玲王くん中身派?それとも外見派?外見派だったら千切くんかもだけど中身だったらうちのよっちゃんも負けてないと思うんだけど!どう?」
「母さん!!!!何言ってんだよ!!失礼だって!!」
いやもうマジで何言ってんの!?!?流石のぶち壊れ具合に驚きの言葉すら出てこない俺は、このカオスな空間をただただ眺めることしか出来ない。潔が必死に母親を止めているのがわかるが、それでも母は止まらない。メロスじゃねぇんだからもう止まってくれよ…マジで…
俺も潔も精神的に疲れ始めた時、ついにやつが口を開いた。
「えっと……。まぁ、相手が素敵な人なら好きになった相手が男でも変わらないと思います…。中身派か外見派かと言えば、欲張りですがどちらもですね。常識がある人なら基本大丈夫です」
玲王は根掘り葉掘り聞かれたのが相当恥ずかしかったのか、頬をポリポリと書きながら視線を逸らして潔母の質問に答える。潔母も玲王の返答に納得したのかご満悦の笑みを見せる。
「あらぁ!そうなのね!良かったわ〜!これならまだ希望があって安心したわ!ねっ、よっちゃん!」
「あー!!!母さんもう喋るの禁止!!玲王、千切!俺の部屋行こ!」
顔を林檎のように真っ赤に完熟させた潔は、もう泣きそうなくらい恥ずかしそうに(少し涙目)俺たちを引き連れて2回へと上がっていく。そして、一応部屋にあがらせてもらうからということで潔母に挨拶をしていく。
「お、おう。おば様、それじゃあ失礼します」
「失礼しまーす」
「はーい!後でお菓子と飲み物持っていくわね〜!」
潔母はご機嫌そうに鼻歌まじりに俺たちに返答し、笑顔で俺たちを見つめてくる。なんだかその全てを見透かされているような生暖かい視線が俺にはどうも気持ち悪く感じてしまい、申し訳ないがブルっと身震いしてしまった。
コメント
10件
コメント失礼します! 主様の作品、初めて読ませていただいたのですが、文章構成、言葉チョイス、ストーリー性、どこをとっても最高すぎて…!え、神?天才? 続き楽しみにしてます!
神作すぎて眩しいです!続きお願いします!
コメント失礼します! 続き頑張ってください!!!!