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鯨人のお話

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鯨人のお話

6 - よりどころ5

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2025年04月09日

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エースside




あれから、俺なりに精一杯考えた。

寺家を気にかけろと言われたからじゃない、寺家くんの為やない。俺、俺のため。

俺がしんどいから。頭の中が寺家くんばっかて、イライラしてモヤモヤしてどうしようもない。

スッキリしたいから、寺家くんを飯に誘い出した。



「あれ…」


「店、閉まってるやん。」



個室がある行きつけの店は臨時休業だった。

怯えた目をした寺家くんを、頑張って連れ出した結果がこれや。



「違うとこ行く?」


「え、ああ、でも週末やから何処も混んでますね。」


「やな」


「どっか探します…」



寺家くんの気持ちが冷めない内に、俺は急いでスマホの画面を開く。



「なぁ、角、あそこ行かへん?」


「へ?」



寺家くんの指が示す方向を見れば、そこにはどこか懐かしさを感じるネオンの光。少し古びたラブホテルが建っている。



「え、何言って…」



寺家くんの心が読めなくて、俺はただ狼狽える。



「角、知ってたんやろ?」


「寺家くん?」


「俺がお偉いさんや先輩と寝てるって。」


「俺は…」



知らんよ、そんなん。

だって、信じたくなかった、そんなこと。

信じてたのに、なんで本人から聞かされなあかんねん。



「軽蔑してる?」


「そりゃ、しますよ。」


「お前はほんま正直やなぁ。」


「俺と寝たいんすか?」


「うん」


「なんで?俺と寝たって仕事増えませんよ。」



頭に血が上って、つい突き放すような言い方をしてしまう。



「俺なぁ、好きやってん。」


「は…」


「角のこと、好きやねん。」



この人は 何を言っているのだろうか。

今、好きって言った?俺を?



「え、な、」



パニックになっている俺に、寺家くんはまるで他人事のように笑っている。



「まぁ、忘れて、今のことは。」


「…」


「色んなヤツに抱かれたからさぁ、汚れすぎたかなって、心も身体も。」


「なんでそんな、」



なんでそんなこと言うんですか。寺家くんは、出会った頃からずっと綺麗なままですよ。

そう言いたかったのに、言葉が出てこない。



「…やから、お前に抱かれたら、帳消しになるかなって。今までのこと。」


「なるわけないでしょ。」


「そやなぁ。」



俯いた寺家くんは、どこか寂しそうで、疲れたようにも見える。

その姿に、なぜかたまらなく劣情を覚えた。



「俺が寺家くんを抱いたら、もう今までみたいなこと辞めてくれますか?」


「…え?」


「他のやつらに、自分を売るようなマネしませんか?」



最初に誘ってきたのは寺家くんなのに、大きな目で何度も瞬きをして、信じられないとでも言う表情でこちらを見ている。


寺家くん、俺ら、もう後戻りなんて出来ませんよ。

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