ここまでが、事の顛末。
つくづく酔うとろくなことがない、と思い知らされる。しばらくは飲みたくないな……。
「え、えと……湊くん……?」
寝ているところを悪いが、トントン、と寝ている肩を叩いてみる。
すると、うっすらと目を開くのがわかった。
「………んぅ……?」
朝の光に反射して、銀色の髪と、オーロラのような瞳がキラキラと光ったように見えた。
昨日はすこしメイクをしていたのか、歳にそぐわない、少しキツそうな顔立ちに見えたが、今はやっぱり普通の17歳だ。
「…おはよ、よく眠れた?」
「……ん、ちょっと狭かったけどねぇ。」
それは湊くんが一緒に寝ようって言ったからじゃ……とは思ったが、俺もほんのちょっと、満更では無かったので口には出さなかった。
そもそも誰かと寝ること自体、本当に久しぶりだったし。
ピーンポーン
唐突にインターホンが鳴った。まあ、相手はわかっている。
「ごめん湊くん、ちょっと行ってくるね。」
「…ん。」
ドアを開けると、案の定。きちんと制服を着て不機嫌そうな顔をして立っている、お隣さんがいた。
「毎日毎日、大学生なら自分で起きるくらいしてくださいよ。僕がいなくなったらどうするつもりなんですか……。」
「ほんといつもありがとね……でも今日は先に起きてたんだよ!」
「ぜひこれからも続けて欲しいですね。」
彼は剣持刀也。
わけあってこのアパートに1人で住んでいるらしいが、詳細は知らない。たまに誰かを呼んだりしているみたいだけど。
まあ最近ひとり暮らしする高校生も増えているらしいし、という風にしか思っていなかった。
「刀也くんは、今日は朝練?」
「はい、大会が近いので。」
「そっか、頑張ってね!」
「言われなくとも。」
少し大人びてはいるが、これが普通の高校生。勉強や部活に青春を注いで、毎日を過ごす……それが俺の認識だった。
これが相応の幸せ、なんだよね。
「それじゃ、僕は行きますので。」
「うん、いってらっしゃい!」
そう言って、静かに階段を降りて行った。
(やっぱり警察に行った方が、あの子も幸せになれる……のかな。)
いつまでも、ここに置いておくわけにはいかない。
to be continue…
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