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暴力的、またはセンシティブな表現を含みます。苦手な方はお勧めしません。











部屋に戻ると、湊くんはベランダから窓の外を見ていた。全く、何をしていても絵になるんだから困ったものだ。

そんな彼を横目に、俺はカチッ、とガスコンロに火をつけ、棚から粉末のコーヒーを取り出した。




「湊くん、朝ごはん食べる?」


「んーん、お腹空いてない。」




元々俺も朝食はあまり取らず、思わぬ来客に食材もなかったため、少し助かったなどと考えながらぼーっとお湯が沸くのを待っていた。








「ほい、コーヒー……あ、砂糖かミルク入れる?」


「……子供扱いしないで。」


「あっそ、無理すんなよ〜?」




俺が高校生の時はカフェオレしか飲めなかったけどね。








しばらく沈黙が続いた。

湊くんは、何が楽しいのか、たいして景色も良くないベランダから何かを眺めている。

3月の初め、朝の風から、少しだけ春の匂いを感じる。まだ少し肌寒い。




「おにーさんはさ、」




ふと、湊くんが口を開いた。




「俺のこと、どうしたいの?」




すぐには答えられなかった。




「………、」

「……そうだなぁ、俺が勝手に連れてきちゃったからね…。」

「親御さんとかも、きっと心配しているだろうし……。」




俺の曖昧な答えを、湊くんはこちらを向かないまま聞いていた。そよそよと、綺麗な銀髪が風に揺れる。




「俺、さ。」

「両親はいないんだよね。」




少しは想定していた。きっと訳ありなのだろうと。

俺が何も返さずにいると、湊くんは外を眺めたまま、ただひとこと、




「これは俺の独り言だからね。」




と前置きをして、静かに、自らを語り始めた。





















物心ついた頃から、親の顔は知らない。

ホストクラブのオーナーが言うには、俺はあの街に捨てられていたんだって。




「どうせキャバか、水商売かなんかのバカな女が若いうちに子供作って後先考えず捨てたんだ。」


「蛙の子は蛙。お前は生まれた時から落ちこぼれなんだよ。」


「死に損ないが。赤子の時に死ねば楽だったのに。」




そんな言葉は、もう聞き慣れた。




「……はは、そうよな、俺なんて生きてる価値ないよな。」




ガキの頃は、大人たちに貶される度に、ヘラヘラと笑ってそう答えるしか出来なかった。自分を誤魔化すので精一杯だった。






拾ってくれたホストのオーナーもまた、気持ち悪い人でさ。


俺の顔をやたらと気に入ってて、他のところは殴られたり、蹴られたり、時には刃物で切りつけてきたこともあったっけ。


なのに顔だけは絶対に手を出さないんだよね。今思うと、後々体売らせて稼がせて、俺に寄生する気だったんかな、なんて考えたりする。ほら、顔が良いと優しくしてもらえるからさ?


おまけに、俺に重い鎖がじゃらじゃらついてる首輪をさせて、2人の時は犬みたいに扱われたり。そういうプレイもよく強要された。ほんと悪趣味。






ヴァージン捨てたのは10歳だったかな。

とは言っても、そのオーナーじゃなくて。小汚いおっさんに薄暗い路地に連れていかれて、無理矢理犯されちゃったんだけどね。


ぬるくて、痛くて、とにかく気持ち悪くって。同人誌とかで、男で初めてでも気持ちよくなれる、みたいなのあるでしょ?あれ、嘘だよ。


そもそも、10歳の体で耐えられるわけなかった。しばらくは意識飛ばしてて、気づいたらおっさんは居なくなってた。ヤるだけヤってあとは放置、なんて酷いもんだよね。






その後もずっと気持ち悪い感覚が残って。

早くこの感覚を消したくて、それからは自分から適当な人を誘って、抱かれるようになった。

ああいう街って、男でも抱ける男多いいんだよね。ちょっと引っ掛けたらすぐ釣れるよ。




本当に誰でも良かったんだと思う。お陰様で相手には困んなかったし。




相手も千差万別で、ちゃんとやってくれる人もいれば、ただ性欲を晴らすために、こっちのことなんかお構い無しの人もいた。


それでも俺は、痛くても気持ちよくても、頭が空っぽになればなんでも良かった。




相手が俺のことを、ただの都合のいい性処理道具としか思ってなくても、どれだけ乱暴にされても、殴られても。




何も考えずに済むから。




ただそれだけ。




女の人抱いたこともあるよ。でもやっぱなんか違う、ってなっちゃったのは、初体験が散々だったからかなぁ。かなり狂わされたのかもね。

俺も大概、変態だとは思うけど、さ。






しばらくはそうやって、毎日が過ぎてった。ろくに寝てもいない、ご飯も食べていなかったけど、不思議と生きてた。











……いや、何度も何度も死のうとしたよ。











でも死ねなかった。











ああいう街って、危ない薬とか普通に出回ってるからさ、いろんなのを試した。


飲んだ直後はすごく気分が良かった……気がするけど、その後の吐き気と頭痛。あれは敵わないね。


それでも、何度かやってみた。明らかに致死量を超えているであろう量を飲んだり。




中にはキメセク……っていうの…?が好きな人もいて。結構トべる。


あとは、最中に首を絞められたりもしたっけ。

死なない程度にやるのが本当に上手くて、いつもあと少しのところで離しちゃうの。





















生きてる心地もしないのに、死なせてもくれない。






本当にクソみたいな街。






最初から俺には、真っ当な幸せが用意されてないんだもん。





















だから_____。











to be continue…

高校生fwが大学生aknに拾われる話

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