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私は何も知らない。何も知ろうとしない。
それがいい。それでいい。
何も知らないは何も知らないでいい。
世の中は知らないことだらけでいい。
ある朝、1人の少女は目を覚ました。目は虚ろとしており顔はお祭りの今にも連れていかれそうで絶望している金魚と同じような目をしていた。今日は4月4日月曜日入学式だ。楽しそうな声が街中でしている。新しい学び舎で新しい友達を作るということが楽しみでたまらないのだろう。
……………羨ましい限りで。
間時出莉(まじだり)高校1年生。入学式という日に相応しくない顔の女子高生が本作の主人公である。この小学生の前に出したらクラスの1人は泣き出しそうになる顔になるのにも理由がある。
「行きたくねー。まじだる〜。」
そう。こいつ間時出莉は気力がないのである。いや気力がないだけではすまないレベルで無気力なのである。ジトーとした目、ボサボサの髪の毛、手入れの行き届いていない部屋。軽く見積っても今からキラキラの学園生活を送るそれではなかった。
「ご飯出来てるから食べに来いよー」
母からの号令が飛んできた。母は今は珍し専業主婦である。とても綺麗と街中からの噂されるレベルで出莉が顔だけ良いのもそのおかげあってのものだ。
「飯冷めるぞー、はよ来いよー」
2分後父からも布団からの脱出の指令が飛んできた。おそらくさっきの号令で起きて、母から起こすように頼まれたのだろう。出莉は面倒くささと気怠さはあったが、父は声がマイクを持っていると思われるほど大きいため、耳が耐えられなくなる前に起きた。全員部屋は2階にあり、リビングは1階にあるので、起きてすぐ階段を降りなくてはいけない。非常に朝起きたばかりの状態には難易度の高い道で毎日降り終わる頃にはヘトヘトである。リビングにはローテーブルが置いており、そこで食事を毎日営んでいる。2人は席に座っているので、私が座ったら食べ始めれるようだ。出莉は座全員が手を合わせて
「いただきます。」
と言った。これは父が決めた家のルールである。毎日いただきますを全員が声を上げてから食べる。普通のことのように聞こえるかもしれないが、家族が集まり家族で同じことをする。父が家族みんなでやれることを精一杯考えた上での行動である。朝ごはんを食べ終え、身支度を済ませ、出莉は行きたくない二次会に無理やり行かされる人のようなフラフラした歩みで高校に向かった。
コンプレックス高校と呼ばれる高校に出莉は入学した。理由は近かったから。他に何か理由があるわけでもない。そんな高校の門に今足を踏み入れ
「おっはははー、君も新入生よね、私太陽朱里(たいようあかり)。すごく可愛いから声掛けちゃった」
底抜けに明るそうな女性が話しかけてきた。見た目は華奢な体で、でも背筋はピンと伸ばし目はパッチリと開いており出莉とは対象的な人間であった。
「……何か用なの?」
出莉は何かされるのではないかと不安で声を小さく出した。
「用って訳じゃないよー。ただお友達になりたい!と思って声を掛けただけだよ? 」
新手のキャッチか何かかと思った出莉は肩の荷を下ろした。
「友達には……なってもいいけど…あんたの声大きすぎるからもうちょっと小さくしなさいよ」
出莉はめんどくさかった。はっきり言ってしまえばダルいのだこの女。全ての行動がダルいその一点に尽きる。
「うーーーん………これくらいでどう?」
彼女が出莉と同じくらいの音量に合わせて声を上げた。
「うん……それでいい」
出莉と朱里は2人身長差もあり朱里が目線を合わせに行き2人は学校に入っていった。声があまりに小さすぎるのであの2人距離近いのに話し声が一切聞こえないと会う人に驚く人もいるようだった。
「あなたは入る部活とか決めてるの?」
彼女が聞いてきた。出莉は
「…………考えてない……」
とだけ答えた。印象最悪である。だが、彼女は
「そうなんだー。楽しい部活もきっと沢山あるだろうねー。考えただけでワクワクするよー。」
とあの返答から帰ってくるとは思えない明るい調子の言葉が帰ってきた。驚くべきほどのメンタルである。
「学園生活楽しみだねーー!!」
「………私はあんまりだけどね……」
と会話をしているうちにクラスの教室に着いた。田舎の学校と言うこともあり1クラスだけのようだった。何人か先に来ている者もおり席は黒板に張り出された出席番号順に前の左から座っていけと書かれていた。彼女と言うと、
「友達よーー!!席替えでまた隣り合えると信じているぞーー!!」
とオーバーなリアクションを取りながら席に座って行った。そして、続々と生徒たちがやって来てハプニングがあったものも居るようだが全員が集まったようだ。そして担任の先生がチャイムがなると同時に現れた。
「どうもこんにちはです、皆の衆。私担任を努めさせていただく学授教(まなぶじゅきょう)と申します、以後お見知り置き下さい」
と中々癖の強い人が出てきた。特に注目して起きたいのが目だ。出莉と同じような目をしていながら、とても元気の良い声を張っていた。俗に言う、第一印象とは違うねを体現している男である。
「では、最初の授業なんでね、自己紹介と行こうじゃないか。始めは誰でもいいからしたいやつから始めてくれ」
と先生が言ったところ最初に立ち上がったのはやはり朱里だった。
「太陽朱里って言います!!1番好きなことは人と喋ること。嫌いなことは1人になることです!よろしくお願いします!」
と最初に相応しい良い自己紹介であった。出莉もあれぐらいなら私でも…と初めの人のコンセプトを真似する準備を考えていた。そして次々と自己紹介が行われて行った。
「俺の名前は海乗(かいじょう)って言います。好きなことはサーフィンすること。嫌いなことは勉強っすかね。」
「私の名前は皆野導(かんのみちびく)と言います。皆さんを正しい方向に導く者として3年間ありたいと思っています。よろしくお願いします」
と続々と自己紹介を終えて行って出莉が最後の1人になった。出莉はなんせこういう舞台とかで目立とうとしている訳では無いのだが自己紹介で失敗してイジメられ、3年間いじめられっ子生活を強いられることへの畏怖から緊張が止められなかったのだ。
「……あ…あ…わ、私は間時出莉とい、言います。好きなことは何もしないことで嫌いなことは行動することです。よろ…しく…」
空気が凍りつく音がした気がした。いや少なくとも出莉の中では確実にした。しかし自己紹介が終わってすぐ1人大きな拍手をした者がいた。朱里だった。大きな拍手はみんなをも巻き込み最後の発表に相応しい拍手の量と音が教室に響いた。
「よし、じゃあこの3年間頑張って行こうじゃないか。今後ともよろしくな!」
担任の声でこのカオスクラス25人の生活が幕を切られた。間時出莉は今後果たしてどのように変化するのか、そして他の登場人物とどのような関係になっていくのか、この長い長い3年間の大きな砂時計が今ひっくり返された…気がした。