冬が近づき、マーラも大きくなりました。ディンゴももっと仕留めるのが簡単な獲物を狙っているのであまり襲ってきません。しかし、敵は空からも襲撃してくるのです。
いつものように草を喰み、毛づくろいをしていると、みんなが驚いたように上を見上げ、走り出しました。マーラは、驚いて上を見る間もなく、仲間たちのあとを追いました。またはぐれたら大変です。マーラを、大きな影が覆いました。その影と恐ろしい気配はどんどん迫ってきました。何者かの気配はどんどんさらに迫ってきました。そしてその鋭い刀のような爪がマーラの肩甲骨のあたりをかすめました。
しかし、ドッという鈍い音がして、マーラに迫ってきた爪は、弾き飛ばされました。さらに走って後ろを振り返ると殺気立ったロワナと羽ばたいてロワナを睨みつける大きなワシがいました。と、ちらっとロワナがマーラを振り返りました。その目は、「お逃げ!」と言っていました。マーラは逆らわず、ちらちら見ながら仲間のもとへ走りました。
それから少し経つと、泥まみれ、砂まみれのロワナが駆け戻ってきました。「大丈夫」とロワナは毛づくろいをずっとしました。しかし、マーヤの2つ下の友達、オスのバルーンが、あのワシに襲われ、亡くなりました。手放して喜べる状況ではなかったのです。
春。もうマーラは立派なメスカンガルーです。気風のよく、力も知恵も兼ね備えた理想で自慢のロワナの娘カンガルーとなったのです。マーラは自立をしました。その立派な後ろ足がロワナから渡された命のバトンをつなぐために跳ねるのです。
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最終回も面白かった!!