子供っぽい私と彼
私、七瀬 莉帆。中学2年生だ。
中学2年生…たくさんの人が子供から大人へと変化していく時。それなのに、私はまだ子供っぽかった。
普通に男子と言い合いするし、馬鹿みたいに変なことを信じてたりする。…そう、私は小学生みたいに無邪気なのだ。
でも、ちゃんと好きな人はいた。靴をはきかえていると、私の好きな人、西藤 凪とでくわした。
「おはよー七瀬。おっ、今日いつもと髪型違う!なにそれ」
「おはよう、凪。そう、今日ポニーテールにしてきたんだぁ。似合う、似合うっ!?」
いつもはハーフアップにしているのだが、今日はポニーテールにしたんだ。気づいてくれたのが嬉しくて、私は声を上げる。すると、「はいはい、似合う似合う」と乾いた返事が帰ってきた。
「えーっ、何それっ。ちゃんと褒めてくれてもいいじゃん!」
思わず口をとがらせると、凪は分かったよ、と言いながら私の頭2、3回ポンポンと優しく叩いた。
その瞬間、頬が熱くなるのを感じた。そのまま立ち去りそうになる凪に、私は声をかけた。
「…凪」
いつもと違う私の声音に。凪はさっと振り返る。その瞬間、私は自分でも驚くような言葉を発していた。
「凪…好き…好きだよ…」
声が震えているのが分かった。凪の目が見開かれるのと同時に、視界がにじんだ。
言ってしまったと思った。でも、今の私には、後悔という概念はなく、どうにでもなれと言葉をつなげる。
「私…ずっと好きだったの…凪のことが…っ」
めちゃくちゃな言葉だ。その瞬間、目の前が真っ暗になり、夏の温かい香りに包まれた。
何が起きたのか分からず困惑していると、不意に視界が開かれた。それと同時に、凪が私を見ていることに気がついた。
凪の腕が私の腰に回されている。……抱きしめられてるんだ、私。なんで……?
「な、ぎ……」
私が凪の名前を呼ぶと、凪はくしゃっと笑った。
「今の、本当?」
凪の言葉に私は小さくうなずく。すると、凪は頬をゆるめた。
「俺も好きだ、莉帆」
「え……?」
私のことが好き?凪が?どういうこと…?というか、今莉帆って…。
「莉帆は他の女子とは違って、接しやすいから好感を感じた。馬鹿みたいなことしてたりするけど、周りに気配りできる一面も持ってる。そんな莉帆が好きになってたんだ」
こんなことを凪から言ってもらえるなんて思ってなくて、胸がいっぱいになる。
「改めて、俺と付き合ってください」
「……はいっ!」
そう言って、私は凪に抱きついたー。
コメント
0件