テラーノベル
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僕たちは、気持ちを伝え合うことができた。
そのあとは、彼女を抱き上げてベッドへ運び、互いの温もりを確かめるように抱き合いながら眠った。
腕の中の彼女はあたたかくて、ずっと離したくないと思った。
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カーテンの隙間から、朝日が差し込む。
目を覚ますと、視界いっぱいに彼の顔。
スースーと穏やかな寝息を立てている。
「ふふっ……かわいい」
そっと、さらりとした前髪を指先でなぞる。
「ん……みおちゃん……おはよ」
「おはようございます、もときさん」
そのまま彼に抱き寄せられ、心臓が一気に早鐘を打つ。
「……みおちゃん、好き」
甘く囁かれ、胸の奥がじんと熱くなる。
「……わたしも、好きです」
もときさんがニコッと笑う。片方の頬に小さなえくぼができて、たまらなく愛しい。
「もときさん、今日お仕事は?」
腕の中で顔を上げて尋ねる。
「昨日レコーディング終わったから、今日はオフだよ。
……まぁ、今日仕事だったとしても、みおちゃんといたいから休むかな〜」
「大人気バンドのボーカルさんが言うセリフじゃないと思います、それ」
二人で目を合わせ、あはは、と笑い合った。
――わたし、もうもときさんの彼女なんだ。
そう実感した瞬間、胸の奥で不安と心配がざわめいた。
彼の目を見て、思い切って話す。
「あの……もときさん。
実は、わたし、ミセスの曲、全然追えてなくて……。
それに、わたしなんかが彼女だってバレたら、ファンの方に刺されるんじゃないかって……」
重くなりすぎないよう、冗談めかして伝える。
すると彼は、なにかを感じ取ったように、背中をあやすようにやさしく撫でてくれた。
「じつはね、みおちゃんがリヴァとして『ウォールフラワー』を歌った配信の動画……Twitterで見たんだ。
僕がみおちゃんの夢のきっかけになったことも、昨日話してくれた今までの苦しみも。
全部知ったうえで、受け止めたいって思ってるから。」
少し間をおいて、彼はやわらかく笑う。
「だから、僕のことも知ってほしい。
無理しなくていいけど、少しずつでいい。僕たちの曲、聴いてほしいな」
そして、いたずらっぽく目を細める。
「それと――刺されそうになる前に、僕が守るから安心して?
心配してる澪ちゃん、なんか可愛い」
その優しさに胸がじんわりと熱くなる。
と同時に――彼に歌を聴かれていたことを思い出して、頬が一気に熱くなった。
「き、きいたんですか……? はずかしい……」
今のわたし、耳まで真っ赤だと思う。
恥ずかしくて、そっと目線を外した。
「聞いたよ。……すごくよかった。また歌って?」
彼はそう言って、わたしの額にそっと口付けた。
額が触れ合うほどの距離で、彼が小さく息を整える。
「……こんなこと言ったら贅沢な悩みだって、思われるかもしれないけど」
もときさんの声は、どこか震えていた。
「僕は有名になって、歌えて、挑戦もできて……全部手に入れたはずなのに。
それでも孤独と寂しさだけは、ずっと埋まらなかったんだ。
歌にすがって、必死で生きてきたけど、結局どれだけ光を浴びても虚しさが残った。
――でも、みおちゃんと出会ってから、はじめて思ったんだ。
守りたい、知りたい、隣にいたいって。
それが、みおちゃんなんだよ」
彼の瞳が真っ直ぐに射抜くようにわたしを見つめる。
「だから……ずっと、そばにいてくれる?」
胸の奥が熱くなり、自然に笑みがこぼれる。
「もときさん……もちろんです」
わたしはそっと彼に触れ、触れるだけのキスをした。
フェーズ1、終了です。いやフェーズ0.5かもしれない、、(笑)
これからも続きますよ!!
♡、コメントなどなどいただけたら死ぬほどよろびますのでよろしくお願いします。
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