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4 - 仕掛けたのはどっち?④n×m

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2025年06月12日

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「じゃあ… 元貴ってさ、 触られるのと、触るの、どっちが好き?」





唐突な問い。

答える間もなく、二宮の指がテーブルの端をなぞるように滑る。

まるで、触れてもいないのに肌を撫でられたような錯覚。





「……なんですか、それ」


「駆け引きの一種。質問で心を揺らすのって、わりと効くんだよ」





にやりと笑うその顔は、まさに“策士”。

けれど、元貴の中でも、何かが確実に変わり始めていた。





(……もう、逃げるつもりはない)





ずっとテレビ越しに見てきた人。

尊敬してた。でも今は――

ただの“男”として、目の前にいる。





「……触るほうです」


「へぇ」


「でも今日は、触られてみたくなってるかもしれない」





言い返すように笑った瞬間、

二宮の目が、ほんの一瞬だけ揺れた。


それが、火をつけた。





「じゃあ、確認しよっか」





静かに、手が伸びてきた。

グラスの代わりに、今度は元貴の指をとる。

絡められた指先。

少し汗ばんでいて、けれど温かい。


そのまま、テーブルの下。

他の客から見えない位置で、ゆっくりと指が撫でられる。





「……やっぱり震えてる」


「してません」


「嘘。さっきからずっと、指先が熱い」


「……」





その手が、布越しにゆっくりと膝に触れる。

そして、太ももをなぞるように上へ。





「これ以上は、お店でやることじゃないですよ」


「そうだね。でも、君が“されたい”って顔してるから」


「……なに、それ、ズルい」


「君の顔のせいだよ?」





返す言葉が見つからない。

言葉より、呼吸のほうが先に乱れそうになる。





「出ようか。ここ、もう飽きた」





そう囁いて、二宮は席を立つ。

一歩、二歩、歩いて振り返る。





「……来ないの?」





挑発的なその笑みが、喉の奥を乾かせた。





「……行きますよ」





気づけば立ち上がっていた。

身体の奥が、もう勝手に動いていた。








タクシーの中。

沈黙。

でも、視線だけは何度も交差する。


二宮の膝が、わずかに元貴に触れるたび、心臓が跳ねる。

それは偶然のふりをした、確信犯的な接触。





「……緊張してる?」


「……してません」


「じゃあ、今から試そうよ」


「何を」


「俺がちゃんと触れたらお前がどうなるかを」





その言葉の余韻が消える前に、

ホテルの明かりが、2人を迎えた。






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コメント

6

ユーザー
ユーザー

いつも読ませて頂いてます♪心理戦がメッチャいいです💓そして元貴さんの敬語の破壊力がすごすぎて。次のお話し楽しみにしてます♪

ユーザー

あらあら🫢 尊いねぇ…🥹✨ もうほんとに駆け引きやばいなぁ!?😭 疲れた体に染み渡ります… ありがとうございます…🥹💞

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