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祐誠さんから「店長さんのおまかせで」とリクエストがあった。
そう、私は仕事を終えて、あの豪華なマンションに向かってる。
祐誠さんは了解を取らなくていいって言ったけど、私はあんこさんに全て話した。
やっぱり、知っておいてもらわないと、仕事が終わってからのことだとしても、勝手なことはできないと思ったから。
あんこさんは、ものすごく喜んでくれて、祐誠さんのリクエストを聞くように言ってくれた。
温かいベーグルのホットサンドとあんパン。
あんこさん自慢のあんパンは、甘さ控えめで味は保証付き。
塩コショウでグリルした厚めのサーモンとレタス、オニオンのホットサンドも美味しそうだ。
体のことを気にする祐誠さんだけど、
『雫と一緒にジムに行くから気にしなくていい。店長さんにも、何も気にせず美味しいパンをお願いしてくれ』
って、電話で言ってくれた。
それをあんこさんに伝えたら、心を込めてパンを焼いてくれて。
そして、私が仕事を終えて店を出る時、なぜかガッツポーズで送り出してくれたんだ。
あんこさん、顔にも気合いが入っててちょっと笑えた。
本当に優しいお姉さんで頼もしい。
でも、私も……実は少しだけ楽しみにしてるんだ。
祐誠さんとのジム。
今日、一緒に行こうって……誘ってくれたから。
ドキドキしながら、私は祐誠さんのマンションのロビーからインターフォンを鳴らした。
『上がって来て』
祐誠さんの声。
「は、はい」
今度はガチガチにならないようにしなきゃ、また秘書の前田さんみたいに笑われちゃう。
何も考えず、リラックスして楽しめばいいんだよね。
私は、そうやって何度もおまじないみたいに自分に言い聞かせた。
でも、やっぱり……
あのイケメン過ぎる祐誠さんの顔が浮かぶと、心は正直で、勝手に胸が高鳴る。
あんな顔面偏差値の高い顔に免疫が無さすぎて、見つめられたら直視できなくて思わず目を逸らしてしまう。
そんな胸のドキドキと比例するみたいに、エレベーターの数字はどんどん大きくなっていく。
お願いだから、誰か心拍数を止める方法を教えて。
「うわ……着いちゃった。早いよ……」
私はドアの前に立って、人差し指をゆっくりとインターフォンに伸ばした。
かすかに……震えてる。
ガチャっとドアが開いたと同時に、祐誠さんは、
「待ってたよ」
って、ものすごく甘い声で囁くように言った。
この距離で見ると、頭で思うより何倍も美しい顔立ちに圧倒される。
しかも……
視線を少し下げるとワイシャツのボタンがいくつか開いてて、今日は大胆に胸元があらわになっている。
こ、これは見てはいけない?!
私は、そのセクシー過ぎる場所から慌てて目を逸らした。
「す、すみません」
なんで謝ってるの、私。
どうしよう、胸の鼓動がだんだん強くなっていく。
このまま倒れて、祐誠さんに迷惑をかけないことを祈る。