テラーノベル
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「クリスタルを探す旅に再び戻りますか。」
「えぇそうね。いつまでもハルモニアに頼っていては亡き祖国の民にも笑われてしまいます。」
「では、私もその旅のお供をさせてもらいましょう。」
「ありがとう『マーカス』。あなたがいるからわたくしはこうして歩んでいくことができる。」
「いえ、これが私の役目ですから…。」
城から出て宿にと戻っているその帰路にて男女のペアに絡まれる。
「おっとスマンが少し良いか?」
「えぇなんでしょうか?」
「少し聞きたいことがあってな。『風のクリスタル』って言うもんを探してるんだがお前さん知らねぇか?」
「…さぁ?それがなんなのかわたくしには分かりません。」
「そうかぁ…知らねぇのか……。」
「不思議な話ですね。『ヴィーダの王女』でクリスタルの管理をされていたはずなのに」
「……なるほど事情は全て知ってるのですね?一体誰から話を聞いたのかは分かりませんがこれは人類が軽率に扱っていいものではありません。なのでお渡しすることはできません。」
「そうですか。そうなるとこちらとしても申し訳ないですが実力行使に出るしかありません。」
「まさか街中で戦闘を!?」
「どのくらい犠牲が出るだろうなぁ?」
「そのような脅しにわたくしは屈することはありません!」
毅然として輩に対して臆することなく対応するリカルカに対して剣を抜く大柄の男。しかしそれを隣の女性は制止する。
「『バル』まだその時ではない。それは最終手段よ。」
「話聞かねぇ女はこれで従わせるのが一番だろうが!?」
「あなたの良くないところが出てるわバル。それにこういうタイプの女っていうのは暴力なんかじゃ首を縦に振らない。」
「ならどうするんだよ?」
「そうね……ちょうどいいあの子にしましょう。」
偶然居合わせた小さな子供を背後に立ち肩をがっちりと掴んだ後、首元にナイフを当てる。
「ねぇヴィーダの王女様、いや…リカルカ様?風のクリスタルくれない?私としてはそれをくれるだけでいいの。この子を殺めたくないから私としても、そして正義感の強いあなたとしても、ね?」
「くっ……。」
「人質とは卑怯な奴め!」
「卑怯なんて言われてもこれも私たちなりの配慮よ?ほかの人が犠牲になる姿は見たくないでしょ?だからこうして子供の命一つで勘弁してあげてるの。」
「……その子を離す条件は風のクリスタルなのですね?」
「えぇそうよ。渡す気になったかしら?」
「お渡ししますが今私は風のクリスタルを持っていません。なのでお持ちする代わりに子供を離していただけないですか?」
「まずは風のクリスタルが先だろうが!」
「まぁ待ちなさいバル。子供を見てて、私がボディチェックするわ。」
そういい子供を人質に取っていた女性はバルという男に子供を預け、リカルカのボディチェックを始める。
「……。言ってることは確かみたいね。とは言え、あなたを返してそのままバックれられると困るのよね。だから、子供と貴女を交換しハルモニアから北に進んだ廃屋にて私らは待つ。そこのおじい様?変な事せず風のクリスタルを持ってこれば王女の安全は保証してあげる。」
「ぐっ…。」
「マーカス。私は大丈夫ですから風のクリスタルを持ってきてくださいね。」
自ら二人組に歩み寄り子供を解放してもらいそのままリカルカを連れて外に出ていく。その姿を何も出来ずに見送ることしか出来なかったマーカス。同時刻ヴェルドは旅人アルザとエルヴィルと共闘しゴブリンを退治していた頃合だった。
ハルモニアに帰る途中アルザとエルヴィルの話を聞いていたヴェルド。
「エルヴィルは学者なのか!」
「このなりでそうは見えないわよねぇ?」
「このなりとは失礼なやつだなぁ。まぁとはいえ確かに学者のようには見えないのは確かだろう。なんせ今我は『オベリスク』を所持しておるからな。」
「オベリスク?」
「簡単に言えばそれを持っていると特定のジョブの能力値を得ることができるって言う代物なのよね。」
「我の持ってるオベリスクは『黒魔道士』というもので先程のファイアはそれになるな。」
「一応オベリスクがなくても魔法や剣術とかも会得できるけど、オベリスクがあればその会得が早いって言うだけの違いかな。」
「そうなのか。ちなみにそれって誰かに渡したりしたら自分はどうなるんだ?」
「これまた不思議なことにオベリスクを一度触れればそれは記憶されて、オベリスクを無くしたりしない限り大丈夫そうなんだよな。イマイチまだ我はこのオベリスクというものがなんなのか理解できていない。」
「よくそんな得体のしれない危ないものを持とうと思ったよね?」
「まぁ、我の師匠がこれについて研究しておりそこで害はないことは証明されているからな。とはいえオベリスク自体がなんなのかも分からない上にこれがないと師匠が残してくれたこの『白の書』が読めないのでな。」
「白の書?」
「今我の持ってるこの本がそうだ。基本は何が書いてあるのか分からないがオベリスクを手に入れて少しは解読が進んでるのだ。まぁまだまだ何を書いてるかは理解できてないのだがな。」
「つまりはエルヴィルさんはその白の書を解読するためにオベリスクが必要で、それを得るための旅をしてると。じゃあアルザさんはその付き添い?」
「そんな感じね。偶然会って傭兵として私を雇ってもらってるって感じ。ま、私も私で人探ししてるから丁度いいかなって。」
「人探しの旅人とオベリスク探しの旅人。生きてるとまた不思議な出会いもあるもんだな。」
「そういえばお主元船乗りと言っていたが、この後はどうするのだ?」
「特に何も決めてないんだよな。とりあえず故郷を目指すために陸路で帰ろうかと。」
「ならば共に行かないか?旅は道連れとも言うしな!」
「むしろ俺を仲間にしてくれるって言う事実が嬉しいな。」
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「それじゃあよろしくね!」
「俺はヴェルドだ、よろしくなアルザにエルヴィル!」
コメント
1件
うわっ、今回も重い……!リカルカ、子供を守るために自ら人質になる覚悟、すごかったです。卑怯な手を使う敵に負けない強さを感じました。一方ヴェルドたちのパーティーも自然にできて、旅の空気が変わっていくのが楽しみです。オベリスクの設定も気になるし、次が待ち遠しいです!