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海岸から町に帰る途中離れたところに人影がちらっと見えた。遠くからなので確かでは無いが、自身を助けてくれたリカルカの姿がそこにあったと思われる。その左右を大柄の鎧を着た男と白を基調とした衣装に身を包む女性の姿があった。しかし、この時のヴェルドは彼女に何があったのかを知らないため特に気に求めることなくその姿を見送り町にと帰る。
「ここが近くの町というか小国ハルモニアっていう場所らしい。」
「ハルモニア!名の通り春のような過ごしやすい気温に心地の良い風が吹いてるわね。」
「ほぉ〜…。これは良い国じゃないか!老後はここで過ごすのも悪くないな!」
「別にここの住民ではないが、気に入って貰えて何よりだ。」
「では、仲を深めるためにも酒場にと行こうではないか!」
その言葉を放った直後前方から泣きじゃくりながら走ってくる子供がやってくる。何かと思い彼を止めて事情を聞いてみる。
「おい!一体どうした!?何があった!?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!お、お姉ちゃんがァァァァァァァァ!!?」
「お、落ち着け!俺らは何も悪いことをしないし急かすこともしない!一度深呼吸をするんだ!」
子供をあやしてるとさらにその後ろから見覚えのある顔が現れる。
「私から説明しよう。」
「アンタは確かリカルカの……。」
「そうだ。少ししか顔を見合せてないから覚えられてないと思っていたが記憶力がいいな?」
「んな事より子供が泣きながら走り出すなんてそうある事じゃないんじゃないのか?」
「そうじゃな。では、結論だけ言おう。リカルカ様が人質となった。」
「なっ!?」
「リカルカって人はどんな方なの?」
「今は亡き国ヴィーダの王女じゃな。」
「うっそ!?そんな人がなんでこんなとこに…。 」
「詳しいことを説明するために場所を移そう。お主が目覚めた宿屋に行くか。」
「さて、それじゃあ詳しく話していく時間もないので手短に話していこう。」
「お願いするご老人よ。」
「まず、私はリカルカ様の護衛マーカスという。そしてリカルカ様は先程話した通り亡国ヴィーダの王女じゃ。今は訳あって旅をしてる。 」
「ヴィーダが襲撃にあった理由って幾つか噂があるけど一番有力なのは、ヴィーダが管理してるクリスタルじゃないかって……。」
「その通り。ヴィーダはクリスタルを管理していた国でな、このクリスタルというものがどういうものかと言うと、人智を超えた力を持つ鉱物が分かりやすいかの。その力を解放すると天変地異を起こせるほどのエネルギーがそのクリスタルに宿っているのだ。 」
「昔話とかでよく聞いてるのはクリスタルは世界の均衡を保つもの。そう聞いてるけど…」
「その通りだ。クリスタルは悪意ある者が使えば今の世の中の惨状となるのだ。海が荒れたり、風が止んだり、山が噴火したりとその姿はまるで世界の終焉を思わせる。そして何よりクリスタルは『世界の終焉』と呼ばれる存在を封じているものでもあるのだ。」
「つまり、それらが悪意ある者の手に渡るとクリスタルの制御ができなくなり最終的に『世界の終焉』が生まれるってわけか…。」
「それを防ぐためにヴィーダが責任をもって管理していた訳だが、数年前に襲われ国が無くなりクリスタルも失ったわけだ。幸いなことに風のクリスタルだけは守ることが出来た。」
「しかしその風のクリスタルを今ならず者に要求をされているという状況なんですなご老人よ?」
「左様。しかし、不自然なのは何故名の知れぬものが風のクリスタルの存在を知っているのかという点だ。」
「リカルカ殿がどこの誰かと知っている上に風のクリスタルも所持してると知ってるとなると、絞るのは容易いだろう。」
「王族とか貴族間の話になるわね。」
「大枠見当はついているが泳がせることにしよう。今はまず目先の目的であるリカルカ様の奪還になる。当たり前だが、クリスタルは渡すことができぬ。なので何とか交渉してみるが十中八九うまくは行かないだろう。」
「それじゃあ奪還も何もないじゃない!」
「慌てるなお嬢さん。そうなるのを見越してこういったものを用意してる。」
そういい小袋から取り出したのは、くすんだ白色をした小さな鉱石であった。
「これは?」
「『衝光石』というもので名の通り衝撃を与えると強く発光する鉱石だ。地面に強く叩きつければ即発光するが、例えば少し衝撃を与えると時間差で光るようにもなる。この特性を活かしてお主らにこの石を光らせて欲しい。」
「なるほど了解した。」
「プランとしては私が一人で交渉しに行く。その背後の物陰があればそこにおぬしらが待機してもらう形を取って、『太陽の輝きを!』と私が言うのでそれが衝光石を使う合図じゃ。その瞬間にリカルカ様を救出しそのまま廃屋から去るという作戦じゃ。」
「そんなうまくいくもんかねぇ?」
「衝光石の存在を知っていなければそう避けられるものではない。」
「それじゃあ準備を整えてから向かうか。」
コメント
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読み終わりました!「衝光石」の小道具の使い方がすごく好きです。衝撃の与え方で発光タイミングを調整できるって、戦術的にめっちゃ面白い。しかも「太陽の輝きを!」って合図のセリフも決まってて、これで一気に作戦が動くんだなってワクワクしました。クリスタルと世界の終焉の設定も重厚で、物語の根幹に触れる情報が少しずつ明かされていく構成がいいですね。救出作戦、うまくいくのか気になります!