「おはよう、朝ご飯良かったら食べて。僕先に行くね、いってきます」
いつも通り起きた俺より早く先生幸せは起きて何にもなかったみたいに、けどいつもより早く出かけていった。
「いってらっしゃい···」
見送ったあとの部屋が静かで寂しい。
俺が思ったことをを伝えたいのに、それは好きだと伝えるしかなくて今の先生がそれをどう受け取るか怖くて···朝から夕方家に帰るまでぐるぐるとそればっかり考えた。
夜、帰ってきた先生は本当にいつも通りで···でもすることがあって、とご飯を食べるとすぐに部屋に戻っていった。
そんな微妙な空気の中、金曜日の夜に先生は俺がお風呂から出たところに声をかけてきた。
なんだか良くない予感がして、あんまり聞きたくなかったけどテーブル越しに先生と向かい合った。
「ちょっと話があって···少しいい?」
「うん···」
「若井くんが家に居ていいって言ってくれてもうすぐ2ヶ月になるよね、本当にありがとう。すごく助かったし、嬉しくて楽しかった···やっと、いいところが見つかってね、来週末にはそっちに移れそうなんだ···」
「···やだ」
ほら、やっぱり。
こんな風にする話はだいたい良くないお知らせなんだよ。
先生の言葉を遮るように俺ははっきりと嫌、だと告げる。
「若井くん···」
「やだ、いやだ。なんで?俺があんなこと言ったから?まだ、ずっといればいいじゃん!なんで···」
「若井くんがどうとかじゃない。最初からずっとお世話になるわけにはいかないと思ってたし、学校にね、ここの住所を報告するわけにはいかないから···探してはいたんだ。それで空きが出たのが今だったんだよ。前のアパートの近くだから若井くんの家にも近いよ、泊まりに来てもいいしご飯も一緒に食べよう、ね」
先生が言ってる意味はわかる。
けどどんなに近くても一緒に住むのとは違う。いってきます、も聞けなくてたまに失敗する料理に2人で笑ったり眠そうな先生を可愛いと思いながら見ることも出来なくなるんだ。
「それでも、いやだ」
指先が冷たくなって強く握りしめすぎた手が痛い、けど何より心が痛い。
俺は耐えきれなくなってふらふらと部屋に戻ってベッドに座り込んだ。
「急に話してごめんね、けどそんな顔しないで···僕がいたら邪魔なこともあるだろうし、本当に2ヶ月も感謝してるよ」
俺の後から部屋に先生が入ってきて、隣に座る。やっぱり先生はわかってないよ、邪魔だなんて1回も思ったことがないこと、毎日楽しくて幸せなことも。
「先生はわからないでしょ···付き合ってる人がいないかどうか聞いたのも、タイプを聞いた理由も。俺がなんで先生を引き留めるのかも」
「それは先生のこと、好きだからなんだよ」
隣にいる先生の身体を押すと先生は小さく驚きの声あげて、けど簡単に俺に押し倒された。
「若井くん···?」
「先生が好き、恋愛の意味で。俺のこと嫌い?俺じゃダメですか?」
最後は声が震えて、離したくなくて先生を押さえつける手にはもっと力が入った。
「僕は···ぼく、は····先生、なのに···」
先生の表情も言おうとしていることもわからなくて、俺は息をのんだ。
永遠にも思える時間だった。
コメント
15件

更新ありがとうございます🥹 先生と生徒の関係って、切ないですね…🥹
こんな苦しい告白があるだなんて😢💙💛 先生と生徒だからこそ、出会えたのに、それが1番苦しめてて、、、でも好きです🫶💓
きゃーーー!!!やっと告白きた! 押し倒すとか積極的すぎてもう見てられない(?)