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痛い、痛い。
遠くでは、魔法の様な赤、青、黄色の火花が散っている。
私の腕からは血がポタポタと滴っていた。
どうしよう、どうしよう。
私は腕の傷口を抑えながら目の前にいる怪物を見上げた。
怪物の唸り声がひびく。
私の住む家が、町が、炎に包まれていく。
怪物はこちらに気づいたのか、私を見下ろした。
怪物は手に持っていた電柱約2個分程の大きさの鈍器で私を潰した。
ドロドロと流れていく血。ぐちゃぐちゃになった身体は見れば見るほど吐き気がする。
私は口を手で抑えた。
あれ、私はあのぐちゃぐちゃになった身体だったんだよね?
よく考えてみれば、気持ち悪いがさっきまでの痛みはない。そのうえ、あんなにぐちゃぐちゃにされても痛くない。「おかしい!さっきまであの肉体にいたはずなのに!もしかして私……死んだ?もしかして私、幽霊になっちゃった感じ?」
その時、ふと新たな考えが頭をよぎった。いや、もう私には脳みそもないのかもしれないが。
私は足元に転がっている血のついた短剣を持った。
血なまぐさい。普通に持ちたくない。
そういえば、幽霊って物を持てるんだ。よくある定番のすり抜けはないのか。
短剣から力を感じる。この怪物を倒せるのは私しかいないと感じる。
私は勇気を振り絞り短剣を怪物の太もも辺りに差した。
怪物は唸り声ともに崩れて、消えた。
「私、幽霊になって試したいことがあったんだけどね。」
私は手に持っている怪物を倒した、この短剣を、私の胸元に近づける。
そして、刺した。
これで100回目の世界の滅びとはこの時には想像も出来なかっただろう。