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Irregular Casino

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Irregular Casino

2 - 第2話

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2025年05月17日

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客の波が引いた深夜の《Irregular Casino》。煌びやかな光は少しトーンを落とし、まるで誰かの秘密を守るかのように静けさを纏っていた。


スタッフも全員引き上げ、今フロアに残っているのは、Ifと初兎だけ。


「……さっきは、ごめんね。ちゃんと見てるつもりだったのに」


カウンター席で、Ifが優しくグラスを拭きながら言った。


「ううん、助けてくれたじゃん。……まろちゃんが来たとき、ほんと、ホッとしたんだから」


「……まろちゃん、って」


くすっと笑うIf。二人きりのときだけ許された呼び名。

初兎の小さな反抗心と、隠しきれない好意の混じったその響きに、Ifは内心嬉しさを隠せない。


「でもね、あんまり守ってばっかだと、僕、弱くなっちゃいそう」


「いいじゃん。俺の前では、甘えていいんだよ」


その言葉に、初兎は視線を逸らす。

頬にじんわりと熱がこもり、バニーの耳がぴくりと揺れた。


「……じゃあさ、言ってもいい? 甘え……じゃないけど、ちょっとだけ本音」


「もちろん」


「……まろちゃんが他の子に優しくしてると、ちょっと、胸がきゅーってなるの。僕、変だよね」


Ifはグラスを置き、ゆっくりと初兎の隣に腰を下ろす。


「変じゃない。俺だって、初兎が他の男と笑ってるの、あんまり好きじゃないよ」


「……えっ」


「初兎は、俺にとって特別だから」


その言葉に、初兎の目が見開かれ、やがてふるふると瞬きを繰り返す。


「……言ったね、そういうの。後で責任取ってもらうから」


「何してほしい?」


「……まずは、手、つないで」


そっと差し出された手を、Ifは迷わず握る。

その温度は、夜の静寂の中で何よりも確かだった。


「じゃあ、その次は?」


「ん……内緒。まろちゃんが、ちゃんと僕を好きって証明してくれるまで、教えてあげない」


「じゃあ、ずっと証明し続けなきゃだな」


「うん、それがいい」


月明かりがフロアに差し込む頃、二人の距離は、もう誰にも割り込めないものになっていた。



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