テラーノベル

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テラーノベル(Teller Novel)

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ヒナがホシノの病室に訪れた時には既に姿は無かった。夕暮れの橙の光が差すカーテンに照らされるのは、血に濡れたシーツ。その光景にヒナは一抹の不安を覚えた。

ヒナ「彼女は一体どこに…あの身体で外に出たなら…長くは…持たないはず….」

彼女に喉を潰された影響か息も絶え絶えに呟くヒナ。しかしか細く叫んでも誰も来ない。ひとまず自身の病室に戻り、崩れる様にベッドに倒れた。





暗いながらにただそこに不気味に位置する元シャーレ。その前に立っていた人物こそ…ホシノ。何とか全力で止めるノノミとシロコ。しかし…覚悟とブレーキの壊れた彼女の圧力に有無を言わさずを得なかった。

ノノミ「ほ、ホシノ先輩..本当に行くんですか..?」

シロコ「…..ッ…」

かつてののんびりとした面影は無い。青とオレンジの目も黒く濁っている様に見えた。

ホシノ「死にたくないなら着いてこなくていいよ、二人まで巻き込みたくないし。」

そのままシャーレ内に無理矢理入っていく。

屋内は暗く、ライトを付けなければ何も見えない。ガラスの散らばる階段を静かに登っていく。先を進むホシノが何か発見する。

ホシノ「…血痕..?まだ温かい。…生徒会の姿はまだ避難所でも姿は見られてないし….まだ何かいるね。」

警戒した様子で愛銃と盾に手を伸ばしながら進んでいく。




一階に取り残された二人は歯を噛み締めながらこう掛け合う。

ノノミ「ホシノ先輩…先生をを失ってからどんどんおかしくなって行ってますよね…あのままじゃ本当に…!」

夕暮れの歩道から感染者が飛び出す。

シロコ「っ!」

ホシノが居ないから…なのか特にシロコの動きはぎこちなかった。感染者の爪が肩を抉る。

シロコ「ッッ…!!ノノミ、危..!!」

次はノノミに飛び掛かる感染者。通常個体より素早い動きと残虐な姿勢にノノミは背後を取られる。

ノノミ「…!」

即座にシロコの弾丸が感染者を捉えるが効果なし。結果として数センチズレた感染者の攻撃はノノミの身体を切断するには至らなかったが首の動脈はプツっと音を立てて斬られた。

ノノミ「…シロ…コ..ちゃん…!」

シロコ「ッッ油断した..!!」

即座に潜り込んで自身の先輩の真似をする様に全身に銃弾を浴びせてから落ちていたガラスの破片を蹴り感染者に刺す。動きの落ちた感染者を廃材で串刺しにする。まだ生きているが..動く事は無かった。

シロコ「ノノミ..!!」

ノノミの元へ急ぐシロコ。痛みに顔を歪め少しずつ生気を失う様子が垣間見える。

ノノミ「私は..大丈夫…です、ホシノ先輩を…頼みますよ、シロコちゃん…」

傷口から血が止まらないノノミ。

シロコ「ぁ..っっ…嫌..だ….ノノミ…!!」

涙を流すシロコ。そのうちノノミもぐったりした表情で目を閉じた。

シロコ「..!!ぁ..あぁ…ぁぁぁぁぁぁあ…!!」涙で視界が霞む。目に入る満月の怪しい光がまた、無常を伝える。その時、シロコ自身の容態が急変する。

シロコ「ゔ…ぐ…がぁぁ…..ぐぅ…ぁぁぁ!!」

悶え苦しんだ末シロコ自身の意識は失った。








ホシノ「…二人を下に置いてきたのは間違いだったかな…けど今は気にしてられない。生徒会を…殺す。..っ…頭痛が酷いなぁ…笑」

エデン条約のあの日からまともに彼女は寝れなくなった。日課の昼寝など…出来る精神状態じゃなかった。毎晩寝ようとする度夢に「あの人」が出てくるんだ。


“ ホシノちゃん…また守れないんだね…私を捨てて…自分の大切な人も…”


ホシノ「ッッ違う..違うッッ!!私は…守れる..まだ失ってないものはあるんだから….」

そんな独り言を呟いていると気付けば白く四角い部屋に入っていた。部屋の真ん中に置いてあったのは…先生の愛用していたシッテムの箱。

ホシノ「何でこんな所に…」

キヴォトス重要人物の先生。その人の盾とも言える物がこんな箱の様な部屋に無雑作に置いてある。その周辺の資料を漁り、何かを知る。

ホシノ「…!?山海経は事故じゃなくて…」

おかしいと直感していたその時。

ノノミ「ホ…シノ….せんぱ….」

ホシノ「ノノミ…ちゃん..!?」

喉元を切られたノノミが息も絶え絶えに階段を上がってきた。彼女の服は赤く染まっている。

ノノミ「シ…ろ…コ…ちゃ…が….つ……き….」

ほとんど声が出ていない。その背後から黒い影が飛び出し、ノノミの上半身を噛み切った。

ホシノ「ッッッッノノミちゃん!!!..ぁはは……ははは…笑」

ホシノの髪が黒く染まる。…彼女自身の何かが変わったのだろう。

感染者を盾で殴り飛ばし脳髄を吹き飛ばす。しかしどれだけ強くなろうと..前日の傷は塞がっていない。力を込めすぎた影響か血を吐く。

ホシノ「やり過ぎた…かな…ケフッ」

そのまま壁にもたれ掛かる。呼吸こそ出来るものの身体があまり動かせない。隣の小さな部屋のシッテムの箱に手を伸ばした時、

部屋に大きな何かが飛び込む。

ホシノ「ッ何…!?」

急いで愛銃を手に取り黒か大きい何かに銃弾を浴びせる。何かの腕が落ちる。しかし勢いは止まることを知らない。ホシノは黒い何かに銃弾を浴びせ盾で殴る。しかしホシノの体力も限界に近く、脇腹を抉られる。そのまま、















シロコの目が覚めると…先ほどの一階と異なる部屋だった。既に夜が明け、昼を過ぎた頃。

シロコ「…?私は….そう..だノノミ….!」

立ちあがろうとするがすぐに転ぶ。見てみれば..右足と左腕の小指、中指が飛ばされていた。

シロコ「っっ..な….んで…」

痛みを堪え舌を噛み締め暗い視界の中シャーレから脱出しようと這う。スマホの光を付けた途端驚く光景が目に入る。

シロコ「…え」



身体が半分失われている死体と、自身の目の前に転がっていたモノ。大きな爪で裂かれた様にワイシャツの切れ端は赤黒く…腹部の中心から中身が飛び出す様に..目を疑った。信じたくはなかった。目の前の遺体の横にまだ血で濡れていないがボロボロに裂かれたノートらしき物が落ちている。中身に綴られた文字。それこそホシノが大切に持ち歩いている例の先輩の贈り物。

既に面影もないその姿に吐き気を催す。彼女はどの人物を誰か殺したのか。なぜ自分は生きているか。まだ考えたくない説が脳内に飛び交う。そのうち体の異常に気付いた。爪の間に固まった血がこびりついている。それに口の中が血の味がする。何か確信した。何よりも信じがたい最悪そのもの。


シロコ「私…が…..?」

それが的外れな見解だろうが確定事項として…少なからず、この瞬間には二人失ったのだから。一度の思い込みは人間を激しく動揺させる。いつ結果が出ようが最後は苦く終わる。








エデン条約予定日3日前

とある生徒が大人と話している。

「先生、童話は好きかな?と言うのも…私が今語るのは歪んだ心の持つ作者が精神を病む際に記した物語だけどね。」

「…ふむ、少々興味があると言ったところかな?この話は私でも…異質な物だと思ってる。では語ろう。」


ある小さな村に、村人達が住んでいた。小規模なのはもちろん、電気も通ってない辺境の山中で。夜の光源は月の光だけ。空気もよく、眺めの良い山なら十分に明るかった。村人達が祭りを開く前日の夕方。村に侵入者がやってきた。強盗と同じ様に小さな村中を銃を持って巡り、村人を一人ずつ殺していく。あまりの残虐さに大人は抵抗も出来なかった。とうとう残ったのは3人の子供と一人の大人。子供にまだ起きた事は伝えてなかったが、最後の大人は「子供達に絶対に声を出すな。私の指示があるまで。」と約束した。やがて納屋に鍵を掛けて外から銃声と男の叫びが広がる。子供達は耳を塞ぎひたすら固まっていた。数時間が経ち、一人がもう出たいと駄々をこね二人が必死に止めるがまだ幼かったその子は鍵を開け納屋を出て行ってしまう。納屋の外に待ち構えていた侵入者に撃たれ即死。震える二人は泣いて謝りながら納屋の裏から飛び出す。侵入者はそれに気付き追いかけながら最後は刃物で終わらせようとしていた。一人が転び。後ろから一突きされる。その様子を見ていた子供は恐怖と混乱でおかしくなっていた。隙を見て侵入者の足に枝を強く刺し、動きが鈍くなった隙に刺された一人と共に逃げる。しかし様子のおかしいもう一人は何を思ったか瀕死の一人を刺し殺した。侵入者がその現場にやってくると既にもう一人は居なかった。死体の確認をしなくても分かるほどに酷かった。侵入者がもう一人を探そうと振り返った瞬間気が触れた最後の一人に首元を噛みつかれ肉を噛み切られる。あまりの痛みと苦しさにパニックになる侵入者を後ろから倒し、何度も、何度も侵入者の後頭部に噛み付き、腹部を捌く。やがて夜が明けると口内の異常感に吐き出し、現場の惨状を見た唯一の生き残りの子供は、自らの頭を出刃包丁で切り、命を絶った。









シロコは惨状に耐えれる筈も無く、懐のナイフで首を掻き切った。









死亡 3名



十六夜ノノミ シロコと共にホシノの無事を祈り一階で待っていたところ感染者と遭遇。なんとか倒したが喉元を切られる。薄くなる意識の中容体のおかしくなるシロコを薄目に首を必死に抑えホシノの元へ。辿り着く頃には死んでいてもおかしくない状態だったがホシノの元へ辿り着いた瞬間背後から感染者に上体を喰われる。


小鳥遊ホシノ

生徒会の元へ急ぐため重傷の身体を引きずり病院から抜け出しシャーレへ。後輩二人を取り残して最上階へ進む。シッテムの箱を発見し何かを考えるが目の前にやってきたノノミが食われ感染者を撃退。その衝撃で傷が深くなり、その後シロコ..の様な物と接敵するが万全の状態ではないため敗北。そのまま意識のないシロコに全身を食い破られる。結果的に後輩を一階に置いてきた事が最大な過ちとなったが..唯一死ぬ直前に黒幕の正体を知る。


砂狼シロコ  様子のおかしくなったホシノを止めようとしたが無駄だった。ノノミと一階で張っていると感染者と接敵。ノノミはその際死んだ訳でないものの悲惨な現場を見てしまったのと今までの精神状態が気付かない内に変異していた。何の関連性か…月を見た瞬間に凶暴化し、自らの手で最後に残った先輩を殺した。そのショックから自害。

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コメント

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ユーザー

時は満ちて〜♪おお救世主〜♪おお救世主〜♪達〜♪ サッピー:「よくも、、、!よくもっ!!」 プツン 身勝手の極意サッピー:「もう許さないぞ、、、」 (ドラゴンボールネタですすみません)

ユーザー

あはは…サッピーが見たら発狂しちゃうんだろうな……ホシノ…ホシノぉ…何でこうなっちゃったんだろうね? まだだ、まだノゾミが!……生きてたら良いんだけどなぁ…ホシノ…今までお疲れ様

ユーザー

平穏はぁ!!どこですかァ! ”ないよ平穏なんて” 知った顔すんなピンク玉風情が ”んだと”

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