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ぴくと さん 「」
その他 『』
第1章 2話 「落ち着く」
×××××年、寒い時期。
物語がまた1歩動き出す。1日が経った。彼は楽しかっただろうか。そろそろ思い出した頃だろうか。
あぁ、わくわくする。彼はいったいどんな反応をしてくれるのか。
あぁ、ぞくぞくする。はやく、おれに、あいにきてくれないだろうか。
「えっ……あ………。」
突如、思い出した。1度忘れていたことも、本当に真の意味で忘れていたことも。
そして…
「う、わ”あああああ!!」
なんの進展もあるわけないその叫びは、近所迷惑として今度大家さんからお叱りがくるだろう。
だが今はそんなことはどうでもいいのだ。
ただ、怖い。
急に溢れ出した記憶と忘れていた恐怖に怯えるしかなくて。
ただガタガタと、布団に潜り震えていた。
…どれくらい時間が、経っただろうか。
やっと少し落ち着いてきた。
もしかしたらあれはまだ夢の中だったのかも……
そっと布団を上げて、自分の寝室を見た。
「夢じゃ……ない…。」
赤い花弁は、部屋に満遍なく散っていた。
しかも、前の時のより多くなってるような…?
心臓がうるさい、痛い。
そうだ、前と同じならきっと他の部屋は……、
そう思って勢いに任せ、寝室に出るためのドアに向かって開ける。
眩しさに目を瞑る。慣れてきた頃、目を開ける。
心の底から安心した。
なにもない。昨日と同じ部屋だ。
もう一度寝室に目を向ける。
異質以外の何物でもなかった。
「…ぁ…、すまほ。」
いつも寝室に置いているから、取りに行かないと…。
「大丈夫、大丈夫…ここは俺の部屋だ。」
ゆっくり深呼吸しながら取りに行く。
入った瞬間、
なんだか、居心地よく思えた。
不思議な感覚だった。
体が、この空間に馴染んでいるような。
なんなら、ずっとここにいたくなるほど……
《はやくでろ》
また、俺の声だった。
《もどれなくなる》
いったい、なににだよ。
《………》
居心地がいいなら、ずっとここに居たって…
《……し、…が…、……ま………》
…ノイズ?
《たましいがつれていかれるまえに!》
戻ってきた瞬間、俺の体はすぐ動いていた。
スマホを手に取り、寝室から出た。
自分でも驚くほど素早かったと思う。
あれは、ほんとに俺の声だったのか…?
なんだか、少し…、
ぴろりん ♪
手に持っているスマホの振動と、通知の音に思考していた頭を現実に引き戻した。
『大学来てるか〜?授業終わったら遊ぶんだろ?どこにいる?』
あ…そうだ、今…12時?!
授業…!はまだいいけど今日その後に遊ぶんだった…!
俺は急いで友達に返信する。
「ごめん!完全に寝過ごしてまだ家!授業すら受けてないわ!」
『なんじゃそりゃwどうする?遊ぶだけ遊ぶか?気分じゃないなら別にいーぜ?』
なんて優しいんだ…!察しのいい友達ができたことに俺は感謝しながら返信した。
「ほんとごめん!今度学食奢るわ!」
変な言い訳は相手に悪いだろう。簡単な返信と詫びを入れて、目の前の世界に戻る。
まだ、あの異質な部屋はそこにあった。
心なしか、花弁の量が増えているような気がする。
ちらちらと赤以外の色も見える。
そういえば…、
前のときの記憶が蘇った影響か、あれもザクロの花弁か、とすぐ理解できた。
手にあるスマホでザクロを調べる。
ザクロ(柘榴、石榴)とは
ミソハギ科ザクロ属〜〜…、(前略)
まぁ要するに、赤い果物ってわけだ。健康にもいいらしい。
なんで柘榴の花弁があるんだ…?
少しスワイプすると、花言葉が記載されていた。
こーゆーの覚えてる人ってすごいよな…なんて考えながら眺める。
子孫の守護
成熟した美しさ
優美
互いに思う
ひとつの花に色々いっぱい意味があるんだなぁと眺める。
ん?
愚かしさ
さっきまでいいことばっか書いてたのに、全然違うじゃん。
俺はこんなん覚えらんねぇなぁ…。
これからどうしようか。
寝室を見ながら、俺は思考する。
そもそも、なぜこんな印象深いことを忘れていたんだろう。
俺まだ20代だぜ?記憶喪失とか…そんな1部分だけ??
詳しくは知らないけど、記憶喪失って、脳にショックが起きたりするとなるのかな?
あん時の俺はショックというより不思議な体験って程度だったと思うけどな。
それにしても、前消えたんだから今回もいつの間にか消えたりするのだろうか?
消える瞬間、見れないかな。
さっきまでの恐怖は忘れ、少しのわくわく感が湧いてきた。
前は外出してた間に消えたし、今回もそうなのかもしれない。
そう考えたあとの俺の行動ははやかった。
「ふぅ…、よし、行ってきます!」
財布が入ったかばんだけ持って外出する。
ばっちり充電したスマホは、何度も何度も確認して寝室が映るように録画をしてきた。
我ながら天才的な発想だ。
地元のコンビニでメロンソーダでも買おう。
家に帰って確認することは、決まっている。
靴を脱いですぐ寝室へ向かった。
寝室には、なにもなかった。
消えてる!これはきた!
俺は置いてたスマホを手に取り録画を停止、録画を押した瞬間、
目の前が暗転。俺はそのまま倒れて眠ってしまっていた。
「…ん、硬っ……、」
…え、なんで俺床で寝てんの?
そら硬いわ。
あれ、スマホ、録画が再生されてる。
なにもない寝室だけが映し出されていた。
どこを再生してもなにもなく、なんでこんなのを?と身に覚えのない動画を消し、とりあえず起き上がった。
買ってたメロンソーダはぬるくなっていて、とりあえず冷蔵庫に入れた。
そういえばいつメロンソーダなんて買ったっけ。
いつも買ってるから忘れてるだけかな。
とりあえず今日は動画撮るか〜〜。
そうして俺は、いつも通りの生活に戻った。
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