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#すのあべ
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「んんっ、ん――っ」
酸欠で頭がクラクラとする。酸素を求めて浅く口を開けば、待っていましたとばかりに舌を絡め取られ、熱く吸い上げられた。
荒々しい接吻の合間にも、絶え間なく最奥を穿たれ、理人の身体は芯から甘く疼き始める。 気づけば、突き入れられる無慈悲なリズムに合わせて、理人自身も無意識に腰を揺すっていた。喉の奥から漏れ出る声は、もはや拒絶の色を失い、淫らな響きを帯びて室内に溶けていく。
「ふ……っ、は、ぁ、ァッ! ……ん、ん――っ」
「は……っ、堪らないな……」
いつになく余裕のない、蓮の熱っぽい呟きが鼓膜を震わせた。その一言だけで、理人の背筋にはゾクゾクと粟立つような戦慄が走る。
「ひぁっ……。あっ……だめっ、だ……ふ、ぅっ……。もう……は、ぁあっ……っ」
「えろい腰遣いだな。さっきからキュウキュウ締め付けてきてんぞ。よっぽど好きみたいだな、コレが」
グリ、と抉り込むようにして、蓮はさらに深く腰を突き入れた。根元まで容赦なく埋め込まれ、一瞬、呼吸が止まる。理人は天を仰いで口を大きく開き、酸素を求めて喉を喘がせた。絶妙な角度で内部を掻き乱され、強烈すぎる快感に全身が細かく震える。
「んぁっ……ぁ、あっ……ダメ、だッ……ん、ふ……。も、ぅあっ! は……っ、またッ……」
「おっと、勝手にイクなよ。もっと僕を愉しませてくれなきゃ」
「っ、んな……こと……言われても……ぁっ、も、我慢でき……な……っ」
「チッ……仕方ない、なッ」
「ぁ……っ!?」
蓮の手が突然、理人の性器の根元を強く握りしめた。せき止められた熱い塊が逆流し、行き場を失った快楽が下腹部に重く沈殿する。狂おしいほどの疼きが、鋭いナイフのように理人を苛み始めた。
「ぁっ、あ……っ、や、くそっ、なんで……っ」
「駄目だって言っただろ。お前は……そうやって、ただ僕の下で啼いていればいいんだ。よがり、悶えて、僕を……もっと求めてさえいればいい」
蓮が何を口にしているのか、理人の朦朧とした意識ではもう判別できない。ただ耳元で繰り返される呪文のような囁きに、ビクビクと身体を痙攣させることしかできなかった。
「う、っ……ぁ、はぁっ、や、ぁあっ……あ、あぁっ! っ……」
泣きじゃくるような声を上げながら、理人は全身をヒクつかせる。内臓を直接犯され、射精感が急速に昂まっていく。しかし、根元を固く戒められているために、どうしても頂点へは届かない。身体の中で荒れ狂うばかりの奔流に、気がおかしくなりそうだった。
我を忘れ、本能が命じるままに理人は腰を振りたくった。無様に身悶え、喘ぐ自分が、蓮の瞳にどう映っているのかなんて考える余裕など微塵もない。
「っ……ぁ、あ……っ。は、ぁっ、あぁ……っ、も、イきたい……っ。頼む、イかせてくれ……っ、蓮……っ」
生理的な涙を浮かべ、屈辱もかなぐり捨てて懇願するその姿は、ぞっとするほど艶めかしく、そして壊れそうに儚かった。
「――ッ」
蓮が喉を鳴らして生唾を呑み込んだ、その直後。 蓮の剛直が、猛獣のような獰猛さで再び腰を使い始めた。小刻みに、そして力強く揺すられ、安っぽいベッドがギシギシと悲鳴のような軋みを上げる。
「う……っ、ぁあッ!! 話、聞いて……っ、ぁっ……待て、や、激し……っ!」
激しい抽挿のたび、結合部からはグチュッグチャと濡れそぼった卑猥な音が響き渡る。最奥の弱点を何度も執拗に貫かれ、理人の視界は真っ白に染まった。 蓮がようやくその戒めを解くと同時に、強引に顎を掴まれ、深い接吻で唇を奪われる。
「んっ……ふっ……っ……んん……」
何も考えられず、思考も意識も、積み上げてきた誇りさえも、すべてが崩壊していく。口腔を蹂躙する蓮の舌に自らのそれを必死に絡ませる。互いの唾液が混じり合い、口の端から銀色の糸を引いて零れ落ちた。 声すら奪われたまま、理人は二度目の絶頂を迎えていた。一度放った後とは思えないほど、熱い飛沫が勢いよく迸り、二人の腹を汚していく。
「――ッ!!」
貫かれた後孔と、射精し続けるペニスの両方から押し寄せる凄まじい快感。目の前で眩い光が弾け、理人はただ蓮の腕の中で、その余韻に身を委ねるしかなかった。 蓮もまた、理人の奥深くで自らの熱をすべて解き放ち、重い吐息をその肩にこぼした。
「……」
「おい、いつまで拗ねてるつもりだ?」
「うるさい」
ホテルを出た後、理人の機嫌は最悪だった。 あの後、結局ベッドでもう一回、さらには風呂場に連れ込まれてもう一回……。休憩時間の限界ギリギリまで散々抱き潰された結果、理人の身体は芯から重だるく、一歩歩くごとに腰に鈍い違和感が走る。
「お前が悪いんだろ。あんな可愛い声で強請られたら、誰だって止められるわけないさ」
「可愛くなんてねぇし、強請った記憶なんてねぇよ、馬鹿!」
「ほぉ? 『我慢できないからぶち込んでほしい』とか、『もっと』なんて甘えた声で強請ってたのは、どこのどいつだ?」
「……っ!」
「お前のそういう、往生際が悪くて素直じゃないところがたまんねぇんだよな」
「……っ、変態! 死んじまえ!」
「はいはい」
言い合いながら夜の街へ踏み出すと、あれほど猛威を振るっていた土砂降りはすっかり止んでいた。雲一つない夜空には、洗われたような月が冷たく輝いている。
「……じゃあ、俺、こっちだから」
「おう、じゃあまたな」
「……」
別れ際、急に黙り込んだ理人に、蓮は不思議そうに首を傾げた。
「なんだ、寂しいのか?」
「そんなわけあるか! さっさと帰れ!!」
「はいはい、おやすみ」
蓮はくすりと喉を鳴らして笑うと、軽く手を挙げて踵を返した。 理人の怒りとは対照的に、蓮の方は上機嫌そのものだ。今にも鼻歌でも歌い出しそうな足取りで去っていく背中を、理人はいつまでも無言で見つめていた。
「……」
理人の瞳に、微かな、だが確かな影が落ちる。去りゆく蓮はそのことに気づく様子もなく、夜の闇に溶けていく。 彼の姿が完全に見えなくなるまで、理人はその場に立ち尽くしていた。やがて、遠くの街灯に消えたのを見届けてから、ようやく重い足取りで歩き出す。
(今日は、秀一が一緒じゃなくて本当に良かった……)
あんな無様な姿、純粋な彼にはとてもではないが見せられない。 こんなはずじゃなかった。自分はただ、ケンジや秀一と平穏に過ごしたかっただけなのに。どうして、あんな男の手のひらで、あんなに浅ましく乱されてしまったのか。
「くそっ……」
理人は小さく、自分自身に向けるように悪態をつくと、濡れたアスファルトを蹴って夜の帳へと消えていった。