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#すのあべ
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それから一週間。蓮からの連絡は、再びぱったりと途絶えてしまった。 またあの場所でアルバイトに勤しんでいるのだろうか。それとも、もう俺に飽きてしまったのか。
机の脇に置いたままの、一度も鳴らない携帯を睨みつけ、理人は深い溜息を漏らす。 自分は一体、何を考えているんだ。連絡が来なくなって清々したじゃないか。
これでようやく解放されて、またいつも通りの平穏な日常に戻ることができる。はずなのに、なぜこうも意識が向いてしまうのだろう。
あんなこと、されて嫌だったはずだ。淫具を体内に収めたまま試合をさせられたり、AV女優のように拘束されて散々嬲られたり。ドア一つ挟んだ向こう側に他人がいるのに声を抑えられず、聞かれてしまうかもしれないという恐怖に怯えながら、何度も、何度も無理やり絶頂へ突き落とされて……。
思い出しただけで顔が熱くなる。怒りなのか羞恥なのか、自分でも判別のつかない感情に翻弄され、理人の胸中は穏やかではいられない。 強引に受け入れさせられた数々の凌辱行為が脳裏に浮かんでは消え、忸怩たる思いが募っていく。
「あんなこと、嫌なのに……。なのに、俺はどうして……っ」
蓮の存在が、頭から離れない。
『――本当はこうやって、苛められんの大好きなくせに』
「違う……っ!」
『――さっきからキュウキュウ締め付けてきてんぞ。よっぽど好きみたいだな、コレが』
「違う……っ、そんなはずは……っ」
心で否定してみても、内に潜む「何か」が、淫らな妄想に火を灯す。 あの日見た、蓮の切羽詰まったような欲望に満ちた貌を思い出すたびに、どうしても身体の奥底が疼いて堪らないのだ。 骨の髄まで覚え込まされてしまった快感を追想し、じわりと下腹部が熱を帯びる。
「っ……くそ……っ」
忌々しげに呟きながら、理人はハーフパンツをずらし、下着の中に熱い手を差し込んだ。そこは既に緩く勃ち上がりかけていて、先端からは透明な先走りが滲んでいる。軽く扱いただけで、ぬるりと卑猥な感触が指に伝わった。 指先で鈴口をなぞると、ビクリと腰が跳ねる。
ゆっくりと上下に扱き始めると、自身のものはすぐに硬度を増し、猛々しく天を仰いでいった。
『――どうして欲しいか言ってみろよ。ここが気持ちいいんだろ?』
耳元で囁かれる蓮の声が、幻聴のように蘇る。
「っ、は……ぅ、んんっ……」
自分は今、勉強をしていたはずだ。なのに、何を狂っているのだろう。 こんなのおかしい。そう言い聞かせる理性とは裏腹に、身体は貪欲に快楽を求め始めていた。気がつけばペンを置き、椅子に深く腰掛けて、もう片方の手で自らの胸元をコリコリと弄り回していた。
カリッと爪を立てて先端を引っ掻けば、甘い刺激が全身を貫く。鼻から抜けるような声が出そうになり、理人は慌てて唇を噛んで、漏れそうになる呼気を必死に飲み込んだ。
「ん……っ、ふ……っ、ンッ」
芯を持った乳首が、不格好に硬く尖っていく。摘まんでは引っ張り、捻り上げるたびに、身体中に電流が走るような感覚に襲われた。 もう片方の手は、止まることなく忙しなく股間を突き動かし続けている。
「ぁ……っ、あ……っ、く……っ」
少しでも声が漏れないよう、着ているシャツの襟元を強く噛み締める。それでも、堪えきれずに零れ落ちる熱い吐息が、静かな室内に生々しく響いた。 時折聞こえてくる近所の子供たちの無邪気な笑い声が、真昼間から一人で穢れた行為に耽っているという背徳感を、さらに無慈悲に煽っていく。
「は……っ、はぁっ……っ、ん……!」
いつの間にかペニスは完全に反り返り、痛いほどに張り詰めていた。 このまま達してしまいたい。早く、この行き場のない熱を解放してしまいたい。
衝動に駆られ、自然と手を動かす速度を上げていく。しかし、どれほど自分を弄めても、決定的な「何か」が足りない。あと一歩の刺激が届かず、どうしても絶頂へ辿り着くことが叶わなかった。
「くそ……は……っ、なん、で……っ」
もどかしさに身体を震わせ、目には生理的な涙が浮かぶ。 はしたないと自覚しながらも、理人はズボンと下着を足早に蹴り脱ぎ、床に放り捨てた。机の縁に突っ伏して、自らの手で双丘を割り開く。唾液で濡らした指で後孔に触れると、そこは既に期待にヒクつき、驚くほどあっさりと侵入を許した。
「ふ……っ、う……ぁ……っ」
二本の指を根元まで深く挿入し、内壁を探るように動かす。だが、一番欲しいポイントにはあえて触れず、自分自身を焦らすように周囲をなぞり上げた。
「は……ぁ……、ん……ふ……っ……」
静まり返った部屋に響く自らの声が、死ぬほど恥ずかしい。なのに、どうしても喉の震えを抑えられない。無意識のうちに腰が淫らに揺れていることに気づき、理人は愕然とした。これでは、蓮に「淫乱だ」と嘲笑われても言い訳すらできない。
心でどんなに否定しても、身体の芯はあの感覚を鮮明に求めている。 もっと奥を、あの熱くて太い質量でめちゃくちゃに蹂躙してもらいたい――。
「はぁ、ん、ふ……っ!」
浅ましい欲望が膨れ上がり、理人は夢中で指を動かし始めた。さらに奥へ、もっと強い衝撃を。蓮を受け入れた時の、あの脳を焼くような快感を、細胞の一つ一つが記憶している。
欲しい。もっと、もっと――。
貪欲に快楽を追い、激しく指を抽挿させていた、その時だった。 唐突に、階下で家のチャイムが鳴り響いた。
両親は仕事で不在。家にいるのは理人一人だ。 一瞬、居留守を使おうかとも迷ったが、先日ネットで注文していた商品のことを思い出し、理人は慌ててズボンを履き直すと、乱れた呼吸を整えながら玄関へと向かった。
「こんにちは、シロネコ急便です」
「――はぁ、どうも……」
配達員の爽やかな声が、今の自分にはあまりにも眩しすぎた。下肢にもどかしさを抱えたまま、伝票を受け取ってサインをする。その間、配達員の視線が妙に自分に注がれていることに気づいた。
「……」
「……? どうかしました?」
「いや、この商品、君のなのかなぁって思っ……い、いやっ! 何でもないです! じゃ、僕はこれでっ!」
伝票を返した瞬間、お兄さんは弾かれたように顔を上げると、何かに怯えるような、あるいは困惑したような様子で脱兎のごとく去っていった。
「……んだよ。変な奴」
何だったんだ。首を傾げながらも、理人は受け取った荷物を抱えて自室へと戻った。
(……もしかして、あいつ、中身に気づいたのか?)
だとしたら、顔から火が出るほど恥ずかしい。だが、今の理人には、その羞恥すらも火に油を注ぐ材料でしかなかった。
段ボールを前に、ゴクリと喉が鳴る。 はやる気持ちを抑え、震える指で封を解く。中から現れたのは、先日、蓮への飢餓感から衝動的に注文してしまったアダルトグッズの数々だった。
数種類のバイブに、卑猥な色をしたコードで繋がったローター。他にもアナルパールやコックリングなど、定番のものから用途の想像もつかない奇怪な形状のものまでが並ぶ。
(どんだけ欲求不満なんだ、俺は……)
こんなものにまで頼る自分に呆れ果てる。だが、一度火がついた身体が治まるはずもなく、理人は再びベッドへ倒れ込むと、履いていたものを全て脱ぎ捨てた。
手にしたバイブをじっと見つめる。黒光りするそれは、暴力的なまでに太く、スイッチを入れた瞬間にブルブルと小刻みな振動を始めた。
「は……っ、あ……」
想像しただけで、期待に胸が高鳴る。理人は躊躇いがちに、しかし抗えない引力に導かれるように、その振動する先端を自身の秘部へと押し当てた。