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突然ソビエトの家に呼ばれた
家具も壁も何もかもが白く、ゴミ一つない生活感のない部屋
疲れていた私は新品のようなソファーに腰掛ける
「んで、なんだ?話とやらは」
「あ…えっとな…少し言いずらいんだが…」
柄にもなくどもっている。なんだか嫌な予感がした
「ナチス、好きだ。付き合ってほしい」
唐突に言われたその言葉に、私の頭は機能しなくなった
「え…あ…は?」
なにかを言おうと口を動かしてはみるものの、頭が働かずなにも返すことができない
こいつがなぜ告白してきたのか
なぜ私のことを好きになったのか
何もわからない
こいつの考えてることが何もわからない
こうしている間にも、刻一刻と時間は過ぎていく
「あ…あぁ…いいぞ…」
しまった
何を言ってるんだ私は
こいつの事なんざ全く好きではない
「いいのか…!?」
だめだ
断れるわけがない
無駄に身長高いし声も低いくせに純粋無垢な子供の眼をしやがって
「まぁ…お前となら…」
微塵も思ってない事を言うのは久方ぶりだな
これから私はどうなるのだろうか
このまま嘘で塗り固めていればいいのだろうか
…いやさすがにそれは看過できない
私もソビエトも結局傷つくだけだ
「おいソビエ…ト…」
「どうしたんだ?ナチ」
無理だ
本当に断ることができない
どうやって誤魔化そう
…腹をくくるしかないな
「せ、せっかく恋人?になったわけだ。えっと…く、口付け…して、もらえないだろうか…?」
冷や汗と思われるものが体を伝う
私たちは結婚式の新郎新婦か
と少し思ったが、乗り切るためには仕方ない
「えっ…わ、わかった」
元々赤いが、頬を染めて恥ずかしそうに俯いている様は少し妙な感じがした
ソビエトが私の体を抱き寄せた
ふわっと香るタバコと酒の混ざった不愉快な匂い
むせ返りそうだ
「…ははっ、怖気づいてんのか?最強国家さん・・・?」
早く済ませてほしい
そう思いながらソビエトを煽る
「っるっせぇな…したことねぇんだよこういうこと…」
それはそうだろうな
あからさまに性的な話題を避けてばっかだったもんな
いやお前は思春期の子供か
そんなしょうもない事を考えているうちに
「んぐ…」
ついに来てしまった
ただただ不快でしかない
私が好きでもない奴とキスをするなんて誰が予想できたのか
ソビエトは私を離す気配がない
むしろ力が強くなっていく
突然、口の中に異物が入ってきた
「んっ!?」
声が漏れた
きっと舌だ
さすがにやりすぎだと思った
思わずソビエトを突き飛ばす
「え…あ…ご、ごめん…」
脳に酸素が行っていない
少しむせながらなんとか言葉をひねり出した
「舌入れてくんな馬鹿野郎っ…!」