※本作は、前垢にて投稿していた《拝啓、本当の幸せを求める君へ_。》という作品を元に作成しています。(こちらはリメイク版です。)
↑リメイク前を観たい方は、こちらの方を検索してご覧ください。
(小説の中で、暴言等の要素を含みます。しかし 、作者はこれらを肯定したり、助長したりなどの意図は一切ございません。)
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《噂の連中…それってどんな連中なんだ?》
《…詳細は分からない。東の街を中心に目撃情報も多数ある。お前の街はその連中に狙われたに違いない。》
《…でも、俺の街、東じゃないぞ?しかもその連中、街を破壊してんだろ?姉さんを誘拐する必要は…。》
《…もしかしたら、リヨさんは人質として捕らえられたんじゃないですかね、本来の目的はランダさんかも…。》
真相は深まるばかり。
その時、羽衣が口を開いた。
《…お前、どうしても姉さんを助けたいんだな?》
《!!もちろん助けたいよ、絶対に!》
羽衣は少し考えてからキュウメイにこう言った。
《…師匠、お願いです。こいつの旅に同行させてください。お願いします。》
まさかの発言をした羽衣にランダは目を見開いた。自分に同行するなんて言うと思わなかったのだ。
羽衣は、最初はランダを最近増えている賽銭泥棒じゃないかと敵視していたが、ランダの話を聞いていて、賽銭泥棒でないことも分かった。むしろ人を想える優しいやつだと感心し、そんな人に協力したい、ついていきたいと思ったそう。
彼の目は本気の目をしていた。
《…羽衣がそう言うなら…でも、ついて行かせて良いのかい?ランダさん》
これは自分自身の旅。
優しいランダは他人を巻き込みたくは無かった。でも、人が多い方が頼りになるし、旅も楽しくなる。
ランダは考え抜いた末にこう答えた。
《…分かりました。きっと旅も楽しくなるだろうし、頼りになるから…》
《…本当かい?それじゃあ、羽衣を頼むよ。羽衣も、ランダさんを困らせないようにね。》
《頼み込んでおいてあれだけど……本当に良いのかランダ…?俺、そんなに力になれないし、料理と武術しか取り柄ないぞ》
《良いんだよ!俺はついて行かせてって言ってもらっただけで嬉しいからさ!それに、料理も武術も取り柄あるんじゃん!羨ましいし、頼りになるよきっと!》
そう言ってランダは微笑んだ。その笑顔はまるで、明るい太陽の様だった。
《…絹綿?》
羽衣はボソッと呟いた。
ランダの笑顔は、まるで自身の亡き親友とそっくりだったのだ。
羽衣はしばらく固まった後に優しく微笑んだ。ランダは意味が分からなかった。
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そうして、ランダ達はキュウメイに別れを告げて神社を出た。しかし、神社を出たときにはすでに日が暮れかけていた。
《…ランダ》
《…?なぁに?》
《…さっきはすまんかった。ほら、その…》
《あっ、この傷?気にしないで!すぐ治るから!》
《…ありがとう。そうだ、自己紹介まだだったな。改めて、俺は羽重羽衣だ。羽衣って呼んでくれ。》
《俺はランダ!これから宜しくな羽衣!》
《…おう!》
二人はその場で笑い合った。
《そういえば、行く場所決めてんのか?》
《うん!とりあえず向こうの街に行こうかなって》
《…カルメシル街の事か、あの街めっちゃ資材あるから、たくさん道具買えるぞ》
《マジか!よし、明日行ってみようぜ!》
《よし、ならランダ、街の近くのマイマイ洞窟まで競争な》
《あー!!ちょっと待ってよー!》
ランダは新たな仲間、羽衣と共に、カルメシル街へと走り出したのだった。
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→次回
《恵まれない才能》
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