テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
attention
・太宰さんが薬物中毒です
・気が触れてる
・パビナールです(史実の太宰が中毒でした)
・いろいろ頭おかしい
・優しい目で見てね
・アンチ禁止〜〜〜
なんか最近文豪の太宰の小説ってよりかは生き方の方が好きになっちゃいました(ごめんなさい)
冷や汗が、背中を冷たく伝っていく。
全身の毛穴という毛穴から一気に体温が逃げていくような、底知れぬ悪寒が背筋を這い回る。
視界の端が急速に白み、あるいは真っ暗に落ち込みそうになりながら、大きく息を吸い込もうとして、しかし喉の奥が引きつってまともに呼吸ができなかった。
「……っ、うそ……、嘘……やば、ぃ……っ!」
掠れた声が、自分のものとは思えないほど情けなく部屋に響く。
枕元のガラス瓶を乱暴にひっくり返した。
だが、中から転がり出てきたのは、空気を切り裂くような乾いた音だけであった。
一粒もない。
粉々になった残滓の匂いすら、もうそこには残されていない。
ついさっきまで確かにそこにあったはずの、現実を繋ぎ止めるための白い救いが、嘘のように綺麗に消え失せている。
「ない……ない、ないないない、どこにもない……」
思考が激しく逆巻く波に呑み込まれたように、ぐにゃりと歪む。
顔面から血の気がサーッと引き、青白さを通り越して土気色になっていくのが自分でも嫌でも分かった。
皮膚がピリピリと引き攣り、唇は干からびて粟立ち、指先は氷の塊のように冷たくなったままコントロールを失う。
心臓が肋骨を内側から狂ったように叩きつける。
ドクン、ドクン、と耳の奥でうるさいほど大きな鼓動が響き渡り、激しいめまいが視界をぐるぐると引きずり回した。
「おくすり……お薬どこ……?」
きょろきょろと血走った目を狂ったようにさまよわせ、散らかった布団の上を這いずり回る。
掛け布団が足に絡まり、それを払い除けることもできずに情けなくもんどり打った。
畳の目を引っ掻く爪から、シャリシャリと嫌な音がする。
頭の芯が金づちで何度も殴られたように割れるように痛む。
骨の髄からぞっとするような猛烈な寒気が這い上がり、胃の腑が雑巾のようにねじ切られるような吐き気が込み上げてきた。
耐えられない。
このままでは意識が千切れて、発狂して死んでしまう。
「かわなきゃ……、お薬買わなきゃ……すぐ、今すぐ手に入れなきゃ……」
這いずるようにして布団から転げ落ち、冷たい畳の上に膝をついた。
全身が細かく痙攣し、立とうとしても足の力が全く入らない。
それなのに、頭の中の焦燥感だけがけたたましく警鳴を鳴らし続けている。
這いつくばってでも進まなければならないという強迫観念だけが、すり減った脳味噌を無理やり突き動かしていた。
どこだ、隠し場所は。
外套のポケットか、床板の隙間か、それとも昨日投げ出したあの鞄の中か、引き出しの奥か。
何もかもが思い出せない。
記憶の糸がぷつりと切れ、ただ「薬がなければ生きられない」「今すぐあの苦味を喉に通さなければ消えてしまう」という猛烈な欠乏感だけが、全身の神経を焼き尽くしていた。
「ぁ……っ、はぁ、はぁ、はぁ……!」
過呼吸気味になった肺に空気がうまく入らず、喉を押さえて畳の上で身をよじる。
冷や汗が額から目へと流れ込み、視界が涙と冷汗でぐしゃぐしゃに滲んだ。
誰か、誰でもいい。
あの白い錠剤をくれなければ、今すぐこの場で頭がおかしくなってしまう。
頭の奥で何かがプチプチと弾ける音がして、世界が音を立てて崩れ去っていくようだった。
「お薬……お薬……お薬どこ……っ……!」
爪が剥がれるのも構わず畳を引っ掻き続けながら、虚空に向かって手を伸ばした。
しかしそこには何もなくて、ただ冷たい空気と、震える細い指先があるだけだった。
思考は完全にショートし、ただ恐怖と飢餓感だけが巨大な怪物のようになって肉体を内側から食い破っていく。
喉の奥から、胃液混じりの嗚咽がこみ上げてきた。
それでも血走った目をさらに見開いたまま、部屋の隅の闇に向かって、かすれた声を振り絞り続ける。
(待て、そうだ……あそこだ、まだ、あそこにあるかもしれない……!)
濁った頭の中で、わずかに残された理性の断片がひとつの場所を指し示した。
押し入れの、一番奥。
誰にも見られないように、予備として隠しておいたはずの、あの暗がり。
這いつくばったまま、床を這うようにして押し入れの前に移動する。
障子の取っ手にすがりつき、力任せにそれを乱暴に引き剥がした。
ガタガタと音を立てて戸が開き、中から埃っぽい匂いと、暗い空間が顔を出す。
震える手を真っ暗な押し入れの奥へと突っ込み、がむしゃらに探る。
ガラクタや古い着物の隙間を爪が引っ掻き、血がにじむのも気にせず奥へ奥へと指を這わせた。
そして、指先が硬いガラスの感触を捉えた瞬間、心臓が跳ね上がった。
あった。
手探りでそれを引きずり出すと、紛れもない、パビナールの詰まったガラス瓶だった。
しかも一瓶どころではない。
手探りで触れた感触からして、数瓶分の貯蔵がそこに転がっている。
「はは……あ、ははは、あった……」
歓喜に狂ったような笑い声を漏らしながら、爪で無理やりコルクの栓を弾き飛ばした。
瓶を口元へとひっくり返し、中身を確認する余裕すらないまま、溢れんばかりの白い錠剤をまとめて喉の奥へと流し込む。
ざらりとした大量の粉と粒が喉を直撃し、激しくむせた。
涙が溢れ、咳き込みながらも、次から次へと瓶から薬を口に放り込み、乾いた唾液と一緒に無理やり飲み下し続けた。
足りない。
これだけではまだ、あの底知れぬ恐怖と寒気が完全に消え去らない。
別の瓶の栓も乱暴に引き抜き、さらに一掴みの錠剤を口に押し込む。
ガリガリと歯で砕きながら、狂ったように次々と胃へと流し込んだ。
「……っ、くっ……げほっ、……はぁ、はぁ……」
大量の薬物を一気に摂取したせいで、胃の腑が激しく痙攣し、強烈な吐き気が込み上げてきた。
しかし、それを上回る圧倒的なスピードで、猛烈な薬効が脳髄と神経の隅々にまで駆け巡っていく。
狂おしく鳴り響いていた耳鳴りが、波が引くようにスッと消えていった。
骨の髄まで凍りつくようだった寒気が、嘘のように消え去り、代わりにドロドロとした熱が全身を包み込んでいく。
過呼吸で引きつっていた肺がゆっくりと緩み、張り詰めていた神経の糸がぷつりと音を立てて切れた。
「あぁ……、……きいた……」
天井がゆっくりと、まるでバターのように溶けていくのが見える。
思考の輪郭が完全にぼやけ、どす黒い恐怖の代わりに、言いようのない気だるさと強烈な眠気が一気に押し寄せてきた。
押し入れの前で、そのまま糸の切れた人形のようにガクリと崩れ落ちる。
床に投げ出された細い身体は、もうこれ以上の恐怖を感じることもなく、ただ泥のような深い眠りへと引きずり込まれていった。
散乱した白い錠剤の瓶が、暗い部屋の中で冷たく、静かに光を反射している。
呼吸はゆっくりと小さくなり、やがて完全な静寂が、すべてを優しく包み込んでいった。
薬中って現実にいたら関わっちゃダメだけど
創作だったらちょっと好きなんだよね・・・(終わってる)
コメント
7件
またまたお久しぶりです!! 太宰さんメインの作品、最高でした 現実的に考えたらヤバいんですが、推しとかが苦しんだりしてる姿は最高ですよね。 薬が無くなって焦って半狂乱からの、薬を見つけて狂気的に喜ぶ太宰さん最高でした
仲間です(o^―^o)ニコ なんかめっちゃ繊細に表現されてたぁ パビナール?中毒って途中で急に減量とか飲むのやめると不安とか嘔吐とかせん妄とかの症状も出るっぽいですね… (ニタァ
うわ……これ、読んでて息ができなくなりそうだったよ。 太宰さんの「薬がないと生きられない」っていう飢えとか恐怖が、こんなに生々しく描かれるなんて……。 特に「ない、ないないない」って畳みかけるとことか、押し入れの奥で瓶を見つけた瞬間の狂った笑い、もう心臓がぎゅってなった。 「おくすりちゅーどく」ってタイトルも、軽そうでいて全然軽くない内容で、ギャップがすごい。 創作だからこそ描ける“闇”ってあるよね。ちゃんと受け止めたよ。
#にょたスト
夏の穂|双黒中心|低浮上
1,187
#役者パロ
パピコォォォ
777