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私は黒笠と呼ばれる組織の長 遥だ。
黒笠という組織は遥か昔から禁術に手を染めて強力な力や術を持った大きな一派だ。
私の組織の仲間はあやかしも人も入り混じっている。
まぁ、人かどうか怪しいやつがたくさんいるが…
もちろん私もさまざま禁術に手を染めもはや人間とは言えないだろう。
そんな私たちだが、昔ほど活発には動けていなかった。
なぜか。
それはぬらりひょんというあやかしが凄まじい勢いで勢力を拡大し、私たちのような組織を壊滅、または脅しをかけ、抑え込んでいたためだ。
正直私はもう疲れている。
私はもう100年以上生きているが、ぬらりひょんが日本に平和をもたらしていたこの時代が好きだった。
禁術など、私は手を出したくなかったのだ。
しかし、私の家は秘密裏に禁術に手を染めていて、私も例にもれず、父や母に禁術を使われた。
それからは、私はむりやり禁術を教えられ、使わされた。
そして気づいたら、引き返せないところまで来てしまっていた。
そんな時、ぬらりひょんが現れたのだ。
ぬらりひょんが多種多様なあやかしを率いて恐ろしかった父や母、家族のことごとく殺したのだ。
私はその時とても感謝した。やっと解放されると。
しかし、ぬらりひょんは私を殺してはくれなかった。
そして、黒笠もしぶとく、壊滅はしなかった。
私はその時、黒笠と呼ばれる組織の長になったのだ。
壊滅はしなかったが大きな動きを見せるとぬらりひょんに気づかれるため、大きな禁術などには手を出せなかった。
しかし、この間ぬらりひょんが負けてしまったのだ。
陰陽師五家の一つ、黒田家に。
それからは、私の組織の動きは早かった。
人やあやかしを攫い、さまざまな実験や禁術を始めた。父や母が生きていた時代のように。
私は黒笠の長ではあるが、誰も私の命令など聞きはしない。ただのお飾りだ。
都合がよければ、頭など正直だれでも良いのだ。
黒笠の連中は、自分の好きな実験、禁術ができれば。
たまたま私が父の子だから私が長なだけ。
そして、今度は土地神から力を得る実験をしたらしい。
なんとも罰当たりなことだ。人やあやかしに飽き足らず、神をも自分達の糧にしようというのだから。
すでにいくつかの土地神を捕らえて実験しているようだが、弱い土地神だとすぐに死んでしまって、実験の最後まで持たないんだとか。
かといって、強力過ぎる土地神はこちらが返り討ちにされてしまう。
最近はちょうどいい土地神を探し回っていたみたいだが、ようやく見つけたみたいだ。
なんでも、前に弱っていた大百足を倒したとか言っていたな。
今回は私も駆り出されるらしい。
黒笠の総力をあげてその土地神を捕らえるんだと。
もちろん私は強い。父の禁術の粋が注ぎ込まれている。あやかしで言うと2級に届かないくらいだろうか。禁術とはそれほど強力なのだ。連中は私の力も当てにしているだろうが…
私はそこでこの黒笠という組織を壊滅させようと思っている。
私は秘密裏にぬらりひょんのところの大幹部の上秀と密談し、その土地神のことを天災様と呼ばれる2級以上のあやかしが守っているということを知っている。
つまり、その土地神を襲えば2級以上のあやかしと戦闘になると言うことだ。
我らはその戦いで敗走または辛勝し、その背をぬらりひょんの大幹部の誰かに討ってもらうということで話しが付いている。
少し時間がかかるだろうが、できるだけ黒笠の構成員を集め、その戦いのあと黒傘を再起不能にできるようにする。
黒笠のほぼ全ての力を結集するためその土地神も生捕が目的とはいえ、ただでは済まないだろう。
本当に申し訳ないが、私たちが生きている方が今後被害が大きい。
これでやっと私も黒傘もおしまいだ。