テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
スノ担⛄️
162
注意書き
・捏造表現
・個人的解釈
・息抜きに作成した手抜き作品
・ご本人様とは一切関係がございません。
・この作品は数日後にタグを消し、フォロワー限定公開にさせていただきます。
・💉と🌭のCP表現はしておりません
ワンクッション
ここ数週間。ずっと見続けて、気づいたことがある。両手の人差し指と親指で、写真を撮るように四角いフレームを作る。写し出したのは、真隣に座る男。
「…な…なんですか、レダーさん。その…さっきから変なことばっかして。」
「ねぇ、ぐち逸。」
少々引き気味に見つめ返される。
「もし俺がさ、本当のほんとうに人を殺しちゃったら。どうしてくれんの?」
数秒間から十秒の間の沈黙。それはぐち逸が考え込んでいるのではなく、突飛なことを言い出す俺に驚いているだけかもしれない。
「私に責任を求められても困ります。どうでもいいんで。」
「お前は医者でしょ?」
「結構医者ですよ。」
「俺、これから人殺しちゃおうかな。」
「冗談でも不謹慎です。やめてくださいね。」
頬杖を付きながら、言った。
「信じてくれてんの?」
「はい?」
最初から最後まで、ぐち逸の声色は暖かいまま変わらなかった。
突然、どこかから通知音と思わしき音が鳴る。
「…ああ。」
「すみません。急患です。」
スマホを握りしめながら、せっせと医療バッグを手に持って玄関へと掛けていくぐち逸を見送った。
ココアでも入れてあげようか、先程まで薄々思っていたその案は実現しなかった。
最近はめっぽう治安が悪い。俺らのアジト付近で、薬売買やスプレーで壁に落書きをするとか、そんなことが続いている。
電灯の灯りが目立たせた、壁に書かれた見知らぬギャングのスプレーを見た。後で掃除しなければ。
「散歩くらいについてこなくても。」
「ダメだよ。ぐち逸。チンピラに絡まれるよ。」
やがて、アジトに戻ってくると入口にゴミ袋が何袋か捨てられていた。ゴミが散乱して、なにやらカラス付き。
「三十分の間によくやりますね。」
「ちょっとおいたがすぎるよね。」
内心、苛ついて苛ついて不信が募るのを隠した。たむろしたカラスの群れに突っ込んで、触りたくはないがゴミ袋をどける。
「あだっ!いででっ、なに!」
バサバサと羽音がうるさくなった。唐突に頭や脇腹に衝撃を感じたのは、カラスに攻撃されたからだった。俺は何もしていないのに?
腕を振り回してカラスを遠ざけようとしても避けられるばかり。視界の端には、カラスに絡まれる俺を流し見て放置されたゴミ袋を黙々と運んでいたぐち逸。
ちょっとばかし躊躇った。ぐち逸が目の前にいては…流石によくないだろうか。
「いでっ!」
くちばしで額を突かれた。思わず顔を覆うと、生ぬるいモノが手につく。血液だ。目元がピクピクと痙攣した。
カァカァ。繰り返される同じ様な鳴き声がたくさん集まった中、バンッと異質な音が鳴る。
バンッバンッ、バババッ。連射したような音。カラスの鳴き声は次第に小さく、少なくなって、やがて生き残ったカラスも遠くへ飛び去った。
今眼前のコンクリートに見えるのは、カラスの血と混ざった俺の血液少量のと、カラスの亡骸。銃痕も大量に残されている。
やってしまった。ぐち逸は怒るだろうか。命を奪ってしまったら、ぐち逸は怒るだろう。
銃声に気づいたぐち逸が、俺を見た。ゴミ袋は片付け終わっていた。
「怪我してるじゃないですか。」
ゆっくり近づいてきて傷口を見上げる。
「何見てんですか。治療しますから、早く中に。」
ぐち逸は親指でアジトを指し、俺の背中を押し出した。
「あ、うん。」
ジャケットや靴は血で汚れていたが、ぐち逸はなにもかも素通りして俺の怪我に集中していた。
「ぐち逸。俺、命葬ったよ。」
「そうですね。アレはもう助かりません。貴方のせいですよ。」
ぐち逸の声色は変わらなかった。思わず吹き出して言った。
「無責任。」
あとで、とっておきのココアを淹れてあげよう。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!