テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
3件
胡朱さんが胡朱さんだ…🙃(??) え?アルバートさん???え、死………ワッワァ… 第2章楽しみにしています…👍️
やっっっっっっと融合怪物との戦闘シーン終わりました。 書くのまぁまぁ楽しいのですが大変です…。 とりあえず戦闘もほとんど終わって一区切りついたので、そろそろ次の話になると思います。言ってしまえば第2章みたいな感じです。 バトルシーンまぁまぁ長かった(まるまる4話使った)のでもうちょっと日常シーンや探索シーンも増やそうかなと思います。
※微グロ注意
◇ ◇ ◇
突然現れた融合怪物。その皮膚は溶け、その特徴のひとつでもある黒い血肉が覗いていた。
融合怪物は、ゆっくり体ごと4人の方へと振り返った。顔があったであろう場所はどす黒く染まっており、本当に顔があったのかすらも分からなくなっている。……一体、何があったのだろうか。考えるだけでもおぞましい。
「……っ!?」
胡朱がそんなことを考えていると、融合怪物は地面を蹴り、一気に4人との距離を詰めた。そして、そのまま腕を伸ばしてくる。融合怪物は鋭く尖った爪を持っており、それに突き刺されでもしたらひとたまりもないだろう。咄嗟に、先頭に居た志音が融合怪物に向けてピストルを数発撃った。それは融合怪物の左腕に当たり、その左腕は吹き飛んだ。融合怪物は、呻き声を上げながら飛び退いた。
それに続いて、デイジーとアリスも攻撃を仕掛ける。それぞれナイフと剣で融合怪物の右腕を斬ろうとしたが、どうにもタイミングが合わずに一度後退した。しかし、今度は胡朱が融合怪物との距離を詰め、右脚に剣を突き刺した。
「……今です!」
胡朱が融合怪物の右脚を攻撃したのを見て、志音は左脚を攻撃する。融合怪物は倒れ、再び呻き声を上げる。すかさずアリスが、融合怪物の頭に剣を突き刺すと、融合怪物は先程よりも大きな呻き声を上げピクリとも動かなくなった。よく見ると、少しずつ体が灰のようになりどこかへと消えてゆく。倒したのだ。
「……? 待って、あれは?」
何かを見つけたのか、声を上げるデイジー。融合怪物が居た場所の奥に、先程まではなかった空洞を見つけたのだ。地底湖の奥、何やら神秘的な雰囲気を漂わせているそこを見て、4人は疑問を抱いた。
──どうして急に?
疑問に思いつつも、4人は少しずつ空洞に近付く。しかし、空洞の中に入るには地底湖を通る必要がある。泳いで渡ることはできるのだろうか。そんなことを考えていると、再び地面が揺れた。今度は何だと一行が身構えると、地底湖と空洞までを繋ぐ道のようなものが現れた。
「これは……行けと言われているかのようですね」
「……行ってみますか?」
空洞の奥に何かしらあるのかもしれない。胡朱の提案に3人が頷く。そ
して、空洞へと入ってみることになった。
◇ ◇ ◇
空洞はそれなりに広さがあり、その気になればここで生活することも出来るのではないかと思わせられるほどだった。……ただ、来るまでが少し長いのだが。しかし、地底湖の先にちょっとした空間が広がっているだけで、他は先程まで4人が歩いてきた洞窟と何ら変わりはない。
「何もないですわ……。でも、どうしてこのような場所が?」
「そうですね。──おや、これは?」
空洞の中を見て周り、特に何もないということを確認する志音。本当に何もないのかと考えていたが、爪先にコツンと何かが当たる感覚がして、爪先にあったものを拾い上げた。何かの透明な瓶のようで、その中には随分と古い紙が入っている。瓶のコルク栓を開け、中に入っていた紙を取りだし広げた。紙には走り書きのような文字が書いてあったが、志音には何と書いてあるのかが分からなかった。もしかすると、この地域で使われている文字なのかもしれない。志音は、瓶の中の紙を3人にも見せた。胡朱、アリスは首を傾げながら紙を見ている。やはり、この地域で使用されている文字なのだろう。すると、デイジーが紙を手に取って読み上げた。
〔この洞窟の地底湖の水は、融合怪物にとっての毒となっています。融合怪物にここの水をかけると、皮膚が次第に溶けて動きが鈍くなり、倒すのも楽になります。
洞窟にやって来てこの紙を見た貴方にお願いがあります。
どうか、私達の代わりに融合怪物を倒してください。
きっと、この洞窟の最深部に到達することができた貴方になら、この世界に存在する悪を根絶することができるでしょう。]
「……毒? つまり、先程の融合怪物はあの水を浴びてああなった、ということですか?」
「おそらく。これで融合怪物を楽に倒す手段は見つかりましたし、残すは──」
2体目が引き連れている小さい個体を倒すだけですね、と胡朱が言いかけた時。ふと、後ろから風を切るような音が聞こえてきた。……そう、ここは洞窟の奥の奥。風が吹き込んでくるだなんてことはほとんどありえない。振り返ると、融合怪物が攻撃を仕掛けてくるところだった。胴にはあの印がある。2体目が引き連れている融合怪物だ。先程4人が来た時に道が出来たので、あの水に浸かることなく来れたのだろう。
「こんなところに……!」
胡朱は、融合怪物からの攻撃を受け流した。襲いかかってきた融合怪物の奥……地底湖のある方を見ると、そこには何体もの融合怪物が居た。全員、体の様々な箇所ににあの印がある。どこかで隠れていたのだろう。
融合怪物の襲撃に気付いた3人もそれぞれ攻撃を仕掛ける。志音は怪物に向けて発砲し、アリスとデイジーはそれぞれ融合怪物の後ろに回った。4人で一気に攻撃を仕掛ければ、融合怪物はすぐに倒れ灰となって消えた。
それを見届けた後、志音は地底湖の方を見遣る。融合怪物が束となってそこに居るのだ。すぐに倒せるとはいえ、4人でこの狭い洞窟内で倒すというのはほとんど無理だろう。そこで、志音は地底湖を見た。透明で透き通った液体はただの水かと思われたが、あの瓶の中の紙には融合怪物にとっての毒だと書いてあった。──ならば、することは1つ。試すだけだ。
志音は融合怪物に向かって発砲し、融合怪物達をおびき寄せた。最初に1体の融合怪物が近付いてくると、志音は融合怪物を思い切り蹴った。体制を崩した融合怪物は地底湖へと落ちる。すると、その体は溶け、どこかへと消えていった。
「……やはり、この液体は融合怪物にとっての毒で間違いないようです」
「えっと……あの融合怪物達を地底湖に突き落とせばいいのですよね? 私も戦うのです!」
アリスが剣を構えながらそう言い切る。そして、次々とこちらへやって来る融合怪物を薙ぎ倒していった。それを見習い、全員がそれぞれ怪物に攻撃を始める。剣やナイフで斬り、銃で撃ち抜き、地底湖に突き落とす。そうして、4人は一気に融合怪物の数を減らしていった。
気付けば、洞窟内の融合怪物は最後の1体になっていた。デイジーが融合怪物の脚をナイフで突き刺し、よろけたタイミングを見て押し飛ばす。融合怪物は地底湖に沈み、這い出てくるようなことはなく、そのまま消えた。
「はぁ、はぁ……。やっと終わりましたね……」
融合怪物が沈んでいったのを見ながら、胡朱が呟く。地面に剣を突き立て、肩で息をしているようだった。それは他の3人も例外ではなく、何体もの融合怪物と戦ったためか疲れが出ているのだ。しかし、向こうではまだ大きな個体と戦っている。一刻も早く応戦するべきだろう。
そんな時、おもむろにデイジーが立ち上がった。彼女は、地底湖のそばに近付くと、しゃがんで何かをし始めた。胡朱が横から覗き込んでみると、デイジーは瓶のコルク栓を引っ張って開け、その中に液体を汲んでいた。それが終わると、再び立ち上がって振り返った。
「できるだけこの液体を汲んでから戻ろう。きっと、あっちで戦う時に有利になるだろうから」
「では、私は使えそうな容器を探しますね」
「あ、私も手伝いますわ!」
志音がそう言うと、続けてアリスがそれを手伝うと言った。そして、2人は液体……毒を入れることが出来そうな容器を探しに、奥の空洞へと向かっていく。それを見て、胡朱は汲むのを手伝うことにした。
2人を待っている間、胡朱は地底湖の様子を観察していた。見た目はただの水で、よく透き通っている。手で掬ってみても何も起こらないことから、本当に効果を発揮するのは融合怪物にだけなのだろう。胡朱は、地底湖の底に沈んでいく融合怪物の姿を思い出しながら、そんなことを考えていた。
少しだけ思考に耽る時間ができた。すると、胡朱の脳裏には自分が仕えている主の姿が思い浮かんだ。自分に休暇を言い渡し、わざわざ旅行のチケットまで渡してきた彼女。まだ休暇中だとはいえ、連絡が繋がらずに心配していないだろうか。……自分は、無事に主の元へと帰ることはできるのだろうか。そんな考えが脳裏をよぎった。……が、それは戻ってきた2人の声によってかき消された。今はそんなことを考えていても仕方がない。とにかく、融合怪物を倒さなければ。胡朱は立ち上がり、容器を探してきたであろう彼女達の元へと向かった。
◇ ◇ ◇
……本当に、どうなっているのだろうか。謎の球体がやって来たが、これといって変わったことはない。その球体も、なぜか声が自分の同僚と似ている気がする。アルバートは、そんなことを考えながら融合怪物と戦っていた。
いち早く融合怪物を倒すために二手に分かれてから結構経っている。状況は全く変わらないどころか、それぞれ疲れが見えてきて若干押され気味でもある。なぜか大きな個体の腹から腕が現れ小さな個体を大胆に握り潰した時は驚いたが、その腕を操作していたという謎の球体が現れた後でも状況は変わらない。そもそもどうしてあの腕を操作することができたのだろうか。いつでも操作が可能ならすぐに終わるはずだ。
その時、突然風を感じた。見ると、大きな個体の拳がすぐそこにまで迫ってきていたことが分かった。咄嗟に避け、こちらからも攻撃をする。矢は融合怪物の腕に突き刺さり……否、突き刺さるだけで終わった。
(やっぱり、攻撃が効かなくなってきている。……また、何も出来ていないな)
「…………また?」
『また』。妙にその言葉が引っかかり、アルバートは一瞬立ちすくんでしまう。……それがいけなかったのだろうか。
「危ない──っ!」
誰かが声を上げた。それが一体誰の声なのかは分からなかった。顔に影がかかるのを感じて顔を上げると、目の前に融合怪物の腕が迫ってきていた。その動作がスローモーションのように見える。命の危機が迫っている時にそうなるのは、嘘ではないのかもしれない。そんなことを思いながら、アルバートは迫ってくる腕を避けきれず、攻撃に当たってしまった。
◇ ◇ ◇
「危ない──っ!」
「急になんだ……って、は……?」
すぐそばから叫び声にも似た声が聞こえてきて、幸斗はすぐに後ろを振り向いた。それは、アルバートが大きな個体と戦っていた方向。見ると、先程まで立っていたはずのアルバートはどこにも居なかった。……代わりに、地面に倒れて血を流しているアルバートが居た。
「あいつ、何してんだよ……」
「ぼ、僕にも分かりません! ただ、融合怪物の腕が迫ってきているのだけが見えて……!」
慌てた様子でレグが説明する。その様子を見て、幸斗は分かったからもういい、と制しながら再びアルバートの方を見た。頭から出血しており、軽く血溜まりができるほどには出血しているし血が広がっていた。
──まさか、死んでいるのでは? というか、あのまま出血していたらいつ出血多量で死ぬかも分からない。それに、幸斗とレグは小さな個体達と戦わなければいけない。数は確実に減ってきているが、それでも面倒なことに変わりはなかった。
そうこうしていると、融合怪物がこれがトドメだと言わんばかりにアルバートに向かって拳を向け、腕を伸ばしてきた。距離が遠い。大きな個体に攻撃をしようとしても届かない。……そもそも、翠はこの事態に気付いているかどうかも分からない。絶体絶命のピンチかと思われた時。ふと、どこかから何かが飛んでくるような音がした。それはとあるガラスのボトルだった。そのボトルは、軌道を描きながら大きな個体の腕へと飛んでゆく。そして、そのボトルが大きな個体の腕に当たると、ボトルは割れ、その中の液体が大きな個体の腕へとかかった。
◇ ◇ ◇
【おまけ】
作者のオリジナルキャラクター達の見た目です
アルバート・オブリビオ
成瀬 翠
レグ
ウィズ
デイジー