テラーノベル
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放課後の教室には、夕焼けがじんわり差し込んでいた。
🦈「いるまくーん」
のんびりした声と一緒に、こさめが机に突っ伏す。
そのまま横目でちらっといるまを見る顔が、あまりにもあざとい。
📢「……またなんか企んでる顔してんな」
🦈「してないよぉ。こさめ、いい子」
📢「その言い方してる時点で怪しい」
いるまが笑いながらノートを閉じると、こさめはむくっと起き上がった。
🦈「ねえねえ、今日さ、帰り寄り道しよ」
📢「どこ?」
🦈「ひみつ」
📢「絶対ろくでもねぇ」
🦈「ひどーい!」
こさめはぷくっと頬を膨らませる。
けれど次の瞬間には、にへっと笑っていた。
🦈「でも、いるまくん、こさめのお願い断らないじゃん」
📢「……」
図星だった。
いるまは昔から、こさめに弱い。
自由奔放で、思いつきで動いて、ふわふわしてるくせに、人の懐に入るのが異様にうまい。
気づいたら振り回されてる。
でも――。
📢「まあ、いいけど」
🦈「やったぁ!」
嬉しそうに笑う顔を見ると、結局なんでも許してしまうのだ。
こさめに連れてこられたのは、駅前の小さなゲームセンターだった。
📢「寄り道ってここ?」
🦈「うん!」
📢「珍しいな。こさめ、ゲーセンとか来んの?」
🦈「いるまくんとなら来る」
さらっと言われて、いるまが一瞬黙る。
こさめはそんな反応を気にもせず、クレーンゲームを見上げていた。
🦈「これかわいい」
指差したのは、ゆるい顔をした熊のぬいぐるみ。
📢「欲しいの?」
🦈「ほしい」
📢「自分で取れよ」
🦈「えー。いるまくんが取って」
📢「なんでだよ」
🦈「こさめ下手だし、いるまくんからもらいたいから」
その一言があまりにも自然すぎて、いるまは思わず吹き出した。
📢「ずりぃなぁ、お前」
🦈「だってほんとだもん」
悪気ゼロの顔。
こういうところだ。
こさめは無自覚に心臓を殴ってくる。
📢「……はいはい」
いるまは財布から百円を取り出した。
何回か失敗して、ようやくぬいぐるみが落ちる。
📢「お、取れた」
🦈「わー!」
こさめは目をきらきらさせながら受け取った。
🦈「いるまくんすごい!」
📢「まあな」
得意げに笑うと、こさめがぬいぐるみをぎゅっと抱えながら言う。
🦈「これ、いるまくんに似てる」
📢「どこが?」
🦈「なんか、頼れそうな顔してる」
📢「ぬいぐるみに頼るな」
🦈「あとちょっと悪そう」
📢「それは余計」
二人で笑いながら歩いていると、突然こさめがぴたっと止まった。
📢「……?」
🦈「いるまくん」
📢「ん?」
🦈「手」
📢「手?」
🦈「つなぐ」
あまりにも当然みたいに差し出された手に、いるまは少し目を丸くする。
周りには人もいる。
高校生くらいの男子二人が手をつないでいたら、目立つかもしれない。
でも、こさめはそんなこと全然気にしてない顔だった。
🦈「だめ?」
ちょっと首を傾げる。
反則だろ、それ。
いるまは小さくため息をついてから、その手を握った。
📢「……ほら」
🦈「えへへ」
途端に嬉しそうに笑う。
指をきゅっと絡めてくる感触に、いるまの胸が妙に熱くなる。
📢「こさめ」
🦈「なにー?」
📢「お前さ、絶対わかってやってるだろ」
🦈「なにが?」
📢「そういうかわいい顔」
🦈「えー?」
こさめはきょとんとしてから、ふふっと笑った。
🦈「でも、いるまくん、こさめのことかわいいって思ってるんだ」
📢「……っ」
🦈「顔赤い」
📢「うるせぇ!」
からかわれてるのに、不思議と嫌じゃない。
むしろ、こさめが楽しそうならいいかと思ってしまう。
駅につき
ホームで並んで座る
🦈「いるまくん」
📢「ん?」
🦈「こさめね、いるまくんと付き合えてうれしい」
夕焼けの中で、まっすぐ言われる。
いたずらっぽい顔じゃない。
いつものあざとい笑顔でもない。
本当に大事なことを言う時の、やわらかい顔。
いるまは少し照れたように頭をかいた。
📢「……俺も」
🦈「ほんと?」
📢「ほんと」
🦈「じゃあ証拠」
📢「は?」
次の瞬間、こさめはするっと近づいて、いるまの肩にこてんと頭を乗せた。
🦈「充電」
📢「お前なぁ……」
文句を言いながらも、いるまは離さない。
むしろ自然に、こさめの頭をくしゃっと撫でる。
するとこさめが幸せそうに目を細めた。
🦈「いるまくん、だいすき」
その言葉に、いるまは少しだけ笑って。
📢「はいはい。俺も、こさめ好きだよ」
そう返した瞬間、こさめの顔がぱあっと明るくなる。
夕焼けよりずっと眩しいその笑顔を見て、いるまは思った。
――やっぱり、こいつには一生勝てない。
リクありがとうございましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
きゅん‥きゅん…してください??
リク待ってます☆
コメント
1件
感想をありがとうございます。第2話、拝読しました。 こさめの「無自覚なあざとさ」といるまの「気づいてるのに抗えない」関係性が、会話の自然なやり取りで丁寧に描かれていて、とても惹き込まれました。特にゲームセンターでぬいぐるみを取る流れと、手をつなぐ際の『反則だろ、それ』といういるまの内心。ここに彼の弱さと優しさが鮮やかに出ていて、巧いなと。最後の『充電』という言葉も、距離感と信頼が感じられて素敵です。この空気感、続きが気になりますね。