テラーノベル
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桜が咲く季節になると、決まって同じ夢を見る。
「かっちゃん、久しぶり」
「……出久?」
「うん。久しぶり」
「何でお前がいるんだよ」
「僕にも分かんないよ。気づいたらここにいたんだ」
「夢か」
「たぶんね」
「たぶんって何だよ」
「だって、夢なんて自分で分かるものじゃないでしょ?」
「……まあいい。元気そうだな」
「かっちゃんもね」
「俺は元気だ」
「ちゃんと寝てる?」
「寝てる」
「無理してない?」
「してねぇよ」
「本当に?」
「お前は昔からそればっかだな」
「だって心配だから」
「……そうかよ」
「仕事は?」
「忙しい。お前は?」
「僕もそれなりに。最近は結構大変かな」
「そうか」
「でも、こうして話してるとそんなこと忘れるね」
「大げさだろ」
「そうかなぁ、かっちゃんと話すの、久しぶりだから」
「……何年ぶりだと思ってんだ」
「数えるのやめちゃった」
「お前な……」
「だって、数えたら余計に寂しくなるから」
「……」
「……ごめん。変なこと言った」
「別に」
「かっちゃん」
「あ?」
「ここ、前にも来たことある気がする」
「俺もだ」
「やっぱり?」
「ああ。桜の木もある」
「うん」
「前もここだった」
「じゃあ、何回も会ってたのかな」
「覚えてねぇのか」
出久推し
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「全部は。でも、かっちゃんと話したことは覚えてるよ」
「何話した」
「くだらないこと」
「お前、昔からくだらねぇ話ばっかだからな」
「かっちゃんも付き合ってくれたじゃん」
「暇だっただけだ」
「じゃあ、また暇だったら付き合ってよ」
「……ああ」
「約束?」
「約束だ」
「……そっか」
「何だよ」
「嬉しいなって」
「……そうかよ」
「ねぇ、かっちゃん」
「あ?」
「また来年も、ここで会えるかな」
「会えるだろ」
「絶対?」
「……ああ」
「よかった」
「何でそんなこと聞くんだよ」
「分かんない。ただ、次も会えたらいいなって」
「なら会えばいいだろ」
「うん」
「……出久」
「うん?」
「次もちゃんと来いよ」
「分かった」
「待ってっからな」
「うん!」
「じゃあな」
「またね、かっちゃん」
その声が、少しずつ遠くなっていく。
「……出久?」
呼んでも、もう返事はなかった。
それでも、最後に聞こえた「またね」だけは、いつまでも耳に残っていた。
次に目を覚ました時、部屋には誰もいなかった。
「……夢、か」
窓の外には、今年も桜が咲いている。
「……またな、出久」
夢の中でもいい、一瞬でもいい。
……また、お前に会えるなら。
次に眠る時も。
きっとまた、お前に会えるから。
コメント
3件
はる。だわ。読んだよこの話、めちゃくちゃグッときた……。 「夢の中で会う」って設定、それだけで既に切ないのに、会話の一つ一つがすごくリアルで、二人の距離感とか想いがビシビシ伝わってきた。 特に「数えるのやめちゃった」からの「寂しくなるから」って台詞が刺さりすぎてやばい。かっちゃんの「待ってっからな」がまた良すぎるんだよな……。 まだ1話だけど、この先どうなるのか気になって仕方ない。続き楽しみにしてる🔥