テラーノベル
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『写真』
友達から、旅行中に撮った写真が送られてきた。
「これ見て。昨日撮ったやつ」
写真には、夜のホテルの廊下が写っていた。
「普通じゃん」
「いや、よく見て」
友達が言うので拡大してみる。
廊下の奥に、女の人が立っていた。
「誰?」
「知らない。撮ったときは誰もいなかった」
少し怖くなったが、その日は気にせず寝た。
翌朝、友達からまた連絡が来た。
『昨日の写真、削除した?』
『してないけど』
『じゃあ、今見て』
写真を開く。
昨日は廊下の奥にいた女が――
**少し近づいていた。**
「……これ、加工?」
『違う』
友達から返信が来る。
『今朝撮った写真にも写ってた』
新しい写真を見る。
女はさらに近づいている。
そして、その日の夜。
友達から電話が来た。
「なあ……」
「何?」
「今、ホテルの部屋にいるんだけど」
「うん」
「さっきから、廊下で足音がする」
「……」
「写真、送るから見て」
写真が届く。
そこにはホテルの廊下。
そして女が――
**友達の部屋のドアの前に立っていた。**
その直後、電話の向こうから、
**コン、コン。**
とノックの音がした。
友達が震えた声で言う。
「……今、写真撮った」
「どうなってる?」
「女が……」
「女が?」
「写真の中で、俺の部屋に入ってきた」
電話が突然切れた。
翌朝、友達から連絡はなかった。
数日後。
警察から友達のスマホが見つかったと聞いた。
最後に撮られた写真を見せてもらった。
そこには――
ベッドで震えている友達と、
その背後に立つ女。
そして写真の端には、
**俺が立っていた。**
俺はその写真を見て気づいた。
女が近づいていたんじゃない。
写真を撮るたびに、
**撮影者の後ろにいる人間が一人ずつ増えていた。**
つまり最初の写真を撮ったときから、
女はもう――
**友達の後ろにいた。**
コメント
1件
うわ、これ……読み終わったあと、自分のカメラロールが急に怖くなったよ(笑)。 でもめっちゃ好き。一枚一枚「近づいてる」ってわかる演出がじわじわくるし、最後の「俺が立ってた」で全部の視点がひっくり返る感じ、構成がすごく巧い。怪談の王道をしっかり外さず、それでいて新鮮な着地。続きがなくても完成度高いなって思える一話完結の佳作。 泡魔璃んなちャさん、これはもう本当に上手いです。また違う話も読みたいです。