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あんこさんから連絡をもらったのは、長野から帰って1ヶ月が経った頃だった。



たまに連絡は取っていたけど、突然の報告に驚いた。



あんこさん……



北海道に行ったって。



「祐誠さん。あんこさん、結婚するんだって!」



いつしか私達の中で、敬語での会話はなくなっていた。



「あんこさんが? この前ここに遊びに来てくれた時は何も言ってなかったな」



「うん、突然決まったみたい。北海道の東堂製粉所の社長さんのところに行って、向こうで『杏』をオープンさせるって」



「じゃあ、結婚相手は東堂社長?」



「そうなんだって。あんこさん、とうとう決断したんだ。ずっとずっと想い続けた大好きな人のところに行くって……」



大切な人が幸せになる、それはもう、ものすごく嬉しかった。



あんこさん、本当に良かった。



「東堂社長も喜んでるだろうな」



そうだよね、東堂社長が1番嬉しいよね。



「今度ね、身内だけで結婚式をするから、北海道に来てほしいって。お休み取れるかな? 祐誠さんもぜひって言ってくれてるんだけど……」



「いつ?」



「4月だって。私達が結婚式を挙げた同じ日」



きっと偶然だろうけど、同じ日なんてますます嬉しい。



「いいじゃないか。正孝も春休みだしな。なら……その日にご両親も連れて、みんなで北海道に行こう。俺達も結婚記念日だし、お祝いの旅行も兼ねて」



「本当に? すごく嬉しい!」



この間の長野は、祐誠さんの時間があまりなくてゆっくりできなかったから、いつかゆったりと家族で過ごせたらいいなと思ってた。



それがこんなに早く実現しそうで、あんこさんの結婚と合わせ、ダブルで楽しみが増えた。



祐誠さんは、そんな私の頭をポンポンしながら微笑んだ。



ちょっと子ども扱い?



だけど……



こういう1つ1つの行動が嬉しくて、未だにドキドキする。



普段の生活の中で、何を言っても、何をしても、祐誠さんの魅力は日々更新され、私の全てを刺激する。



心も体も、毎日毎日あなたで満たされてる。



そんな祐誠さんと北海道旅行、家族みんなで行けることも今からすごくワクワクする。



でも、まだもう少し先だから……



それまで自分がやるべきこと、ちゃんと頑張ってやっておこうって思った。



あんこさんから連絡をもらって数ヶ月。



桜の美しい季節がまた巡ってきた。



外はぽかぽか暖かくて、時折吹く穏やかな優しい風に、桜の花びらがヒラヒラと舞って……



心まで踊り出すような春の陽気に、私は毎日幸せな気分を味わっていた。



今日は、いよいよ北海道に出発する日。



ずっと楽しみにしていた日だからテンションが上がってる。



北海道行きの飛行機の中。



私は、慧君のことを思い出していた。



私が販売しているパンに使う小麦粉は、もちろん東堂製粉所のもの。



それ以外は絶対に使わない。



注文や配送のこととか、あと、新しいものが出たら必ず知らせてくれたり……



そんなやり取りはメールや電話でたまにしてるけど、実際に会うのはあれ以来初めてだった。



もう10年以上会ってない慧君に会うのは……さすがにちょっと緊張する。

あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

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