「可哀想な子だ」
憐れむような顔の先生は自身の心の内に気付かないふりをして目を逸らしている。
「僕からしたら貴方も可哀想ですよ」
なんて言おうとして、僕にもその権利がないことを思い出し結局何も言えない。
【同じ人を好きになった】
…なってしまった、先生も僕も。
その人には好きな人が居る、僕でもなければ先生でもないまた別の誰か、でもその思いは、届かずに、壊れてしまったのだ。
…あとかたもなく、壊れてしまったのだ!
それなのに彼は、原田 左之助は笑っている、壊れてしまったから、笑ってる。
「…原田さん」
声をかけると彼は笑って振り返る。
「どうしたんだい、藤堂少年」
「少年なんて歳じゃないですよ」って訂正を口にしながら貴方を乗せた車椅子を押す。
「今日はどこに行くんだ?」なんて貴方は穏やかに笑う。
藤堂「今日はお散歩しましょう、いい所見つけたんです。」
原田「いいな」
貴方はにこにこ優しく笑う、僕にも先生にもずっとその笑顔を向け続ける。
「ねぇ、伊東先生、僕も貴方もこれ以上ないくらい可哀想ですよね! 」
笑って言った、後ろをこっそり着いてきた先生に笑いながら言ってやったのだ。
原田さんが「伊東さんいるのか?」と問うて来たがそれに答えることもなく、振り返ることもなく先生を置いて目的の場所に向かった。
先生は付いてこなかった。
原田「なぁ、藤堂少年」
藤堂「なんですか?」
原田「明日は天気になるかな」
藤堂「さぁ?でも晴れるといいですね」
原田「鱈が降ったら大変だな」
藤堂「なんて?」
原田さんはふふふと笑う、なんて言ってるのかは理解できないがその顔が可愛らしいので些細なことかと散歩を続けた。
素敵な素敵な花畑、見つけたんです!
一方、伊東先生……伊東 甲子太郎は自宅で本を読んでいた。
「ねぇ、伊東先生、僕も貴方もこれ以上ないくらい可哀想ですよね! 」
……言われた言葉を反芻する。
報われない恋というのはなんと可哀想なものだろうか、そう笑って見せたのだ、彼は。
自分もろとも笑って見せたのだ。
きっと彼を可哀想にして、自分から目を逸らし続けて逃げてただけ、そんな現実を突きつけられただけ。
読んでいた本の内容なんか頭に入ってこない、やめだやめ。
本を閉じてキッチンに、冷蔵庫の中身は弟が買ってきた食材で満ちていた。
適当にとった3個入りのヨーグルトを1つ口に流し込む、味しないし美味しくない。
ヤケ食いなんて慣れないことするもんじゃないなと冷静になった頭が答えを出す。
「…僕は可哀想なんかじゃない」
誰もいない部屋で呟いた言葉なんて意味はないのに。
あとがき
元ネタは新選組です。
一応うちのオリキャラ君たちです。
今後も色々増える予定(というかオリキャラとしてはもう結構いる)。
以下今回出てきた子と、またすぐ出てくるであろう子達の説明。 (名前は元ネタまんま)
【伊東宅組】
原田 左之助(ハラダ サノスケ)
色々あって幼児退行気味、たまにまとも、なんかオムファタールになってる、伊東宅にて保護されている、好きな人がいたらしい。
背の高い青年、185cmくらい、。
藤堂 平助(トウドウ ヘイスケ)
伊東さん宅に入り浸ってる人、伊東に恩があるらしく先生と慕っている、主に原田の世話をしてる、原田のことが好きだったりする、割と性格悪い。
背の低い青年、150cm前後くらい、少年のような容姿だがれっきとした成人男性。
伊東 甲子太郎(イトウ カシタロウ)
みんな(家主含めて4人)が住んでる家の家主、原田が好きで拾ってきた、下記の三樹三郎くんのお兄さん(苗字が違うのは複雑な家庭事情から)、可哀想ですね。
身長は170cm後半くらい。
鈴木 三樹三郎(スズキ ミキサブロウ)
兄の家に住んでる人、今回出てない子、お料理係だったりする、原田のことは特別好きでも嫌いでもない、友達、オリキャラの中で数少ない色恋関係ない安全圏に居る子。
身長はだいたい170cm前半くらい。
【???】
斎藤 一(サイトウ ハジメ)
名前だけ先出し、時たま原田の様子を見に来て気づいたら消えてる青年、伊東に嫌われてるし藤堂にも好かれてない、斎藤本人も伊東のことは嫌いらしい、藤堂の前にはたまに姿を見せる。
身長は170cmちょっとくらい。
世界観
ほとんど現実と変わらないけど確実に現実だと有り得ないものが”いる”世界、ナチュラルに人外とか人外設定出てきます(伊東宅のメンツ”は”普通に人間)。
伊東宅
丘の上の大きめの一軒家、地味に人里から遠いので買い物が大変、付近の森をぬけた先に綺麗な花畑がある、4人住んでる。
この世界の新選組について
普通に存在した、がそれに関する情報は伊東宅ほぼ全員に見るのやめとこ…されてる情報なので原田視点シャットアウトされてたりする。
ちなみに元ネタってだけで史実要素ほぼ無い話なのであんまり気にしないで……
余談
元々ある創作なのでifルートとか大量にある
とりあえずメインルート書いてるけど別の話としてifも書くかも。
ifという名の設定もろとも変えた同姓同名の別人とかややこしい設定大量にあるのうちの創作……
そもそもがネーミングセンスがないから名前借りてるだけみたいなものなんだけどね……
元ネタ 新選組、クトゥルフ神話(TRPG含む)、色んな思考実験、数々のホラーゲーム、etc… 等
具体的な元ネタがある場合はその度に貼ります。






