テラーノベル
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夏は今年でおしまい。
世界はこの夏で終わりを迎える。
何年も前から確定した未来。
最初こそあがいた世界中が、一年を重ねるごとに受け入れていくのも妥当だったのかもしれない。
「あそいや今年の夏祭り前だおしになったってさ」
「がち?それどこ情報?」
「市役所」
「がちやないかい」
放課後。
自転車を押しながら歩く未来と理子。
「ま、そらそうよな」
「それなー」
しれっとした顔で笑う。
「うちらに未来ないもんね」
「しゃーないんだぜー」
「で、行くん?」
「行く行く」
「浴衣出すかぁ…」
「めんどくせっ」
「虫食われてないかなー」
青い空を見上げた。
ひたすらに、高い高い空。
「あー…まだ見えんね」
「何だっけ?UFO?」
「それ宇宙人ww」
「あ隕石か」
「いやー、人間がダイナソーと同じ運命辿るとか地球もびっくりだろ」
「恐竜って言えよ恐竜って」
わざわざ横文字にしたがる謎の習性は、JKにも余裕で存在してるらしい。
「コンビニ寄る?」
「金欠だから無理」
「それはそうか」
コンビニは素通りする。
「チャリ通は日傘差せないのが痛いよね」
「分かりみが深い」
「マリアナ海溝?」
「おん」
適当に覚えた単語を出す未来。
理子は未来の肩に雑に肩をぶつける。
「夏祭りいつなん?」
「明後日」
「えー…」
「だってこの情報仕入れたの今日の朝なんだもん」
「まぁ…いっか?」
「急いで浴衣出さなきゃー」
「てか明日文化祭あるし、放課後使えんやろ?」
「昨日体育祭だったし、一般高校生酷使しすぎだってばよ」
「実質今日が夏祭りまでの最後の暇期間じゃねえか」
「詰め込みすぎぃ」
「最後の…思い出作り的な?せんせーも必死なんだろーね」
「うちらそんな思い出いらんっての」
「最後くらい、いい思い出を作ってやりたいーだっけ?」
未来は、担任の先生の顔真似をする。
「似てるww超似てるwww」
「お前ツボ浅いww」
「お互い様だよばか」
未来が理子の頭をはたいた。
「じゃ、うちはここでー」
「ばーい」
未来は横断歩道を渡り、理子は直進する。
後何度、同じ道を通れるか、だなんて。
今を生きる女子高校生には何ら関係のない、大人の戯言でしかなかった。
―――世界の終わりまで、残り72時間。
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