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それから少しして、ショーが始まる。流れ星のような演出やカラフルに変わるツリーの演出など様々な演出があった。
「ねぇ!今の見た?すごくない!?」
晃河は明日香の顔を見て、目を輝かせてそう言う。
「見たよ。すごいね」
明日香が笑顔でそう返すと、晃河は前を向き、再びショーを見る。綺麗な演出を見る度に「おぉ〜」と声をあげる晃河を明日香は微笑みながら見ていた。
「おぉ〜!今のも凄かった!」
晃河はそう言って再び明日香の顔を見る。ショーじゃなく晃河ばかり見ていた明日香に晃河が気づき、少し不満そうな顔をする。
「ちょっと。俺じゃなくてショー見てよ。すごい綺麗なんだから」
「見てるよ?」
「嘘だ。俺が今たまたま見たらこっち見てたじゃん」
「うん、まぁ…8割晃河、2割ショーかな」
「ほぼ見てないじゃん!」
「だって、晃河楽しそうで可愛くてずっと見てたいんだもん」
「あれ〜?さっきショーちゃんと見ろって言ったのは誰だったかな〜?」
「俺はいいんだよ。晃河が楽しんでくれれば」
「なにそれ。じゃあ明日香見る。その方が楽しいかも」
そう言って晃河は明日香の顔に自分の顔を近づけた。明日香はそんな晃河の口に不意にキスをした。
「な、何してんの。こんなとこでっ」
晃河は顔を赤くしてそう言う。
「ごめん。なんかつい」
「ついって…誰が見てるかわかんないんだから」
「大丈夫だよ。みんなショーと恋人に夢中だから」
明日香がそういうと、晃河は周りを見渡した。
「…まぁ、たしかに」
「じゃあ、もっかいしとく?」
明日香がそう言うと、晃河は恥ずかしそうに目を逸らした。
その時、ショーを見てる人達の歓声が上がった。どうやらショーもクライマックスに入ったようだ。
「あ、明日香のせいですごい演出見逃したじゃん」
晃河は顔を赤くしたままそう言う。
「ごめんごめん」
「俺ショー見るから。明日香も見て」
「わかったよ」
クライマックスを迎え、2人は寄り添いながらショーを見た。しばらくして、終了のアナウンスが流れる。
その後、しばらく2人は立ち尽くしていた。少しして明日香が呟く。
「…もう遅いし、そろそろ帰らないとね」
「…そうだね」
「行こっか」
明日香のその言葉に晃河はゆっくり頷く。クリスマスの街中で楽しそうな声が響く中、2人は静かにその場を去った。
手を繋いだまま、いつもの帰り道を歩く。家に近づく程、自然と歩く速度が遅くなっていた。2人の分かれ道が近ずいて来た頃、明日香が呟く。
「家まで送ってくよ」
「いいの?」
「うん。夜道は危ないからね」
「ありがと」
(本当は、もっと一緒にいたいだけなんだけど…)
晃河の家につき、2人は立ち止まる。
「じゃあ、またね」
「うん」
明日香は晃河と繋いでいた手を離す。
「ほら、早く入って。寒いでしょ」
「寒いけど…」
晃河はそこで言葉を噤み、下を向く。そんな晃河を明日香はぎゅっと抱きしめ、背中を擦りながら言う。
「また休み中会おう。だからそれまで俺の事考えて待ってて」
「…うん。わかった」
晃河のその返事を聞いて、明日香は晃河の傍を離れる。
「じゃあ、また」
晃河はそう言って家の扉へ向かった。中へ入った後、扉から少し顔を出して手を振る。
「またね」
明日香はそう言いながら手を振り返した。晃河が扉を閉めると、明日香は手をおろし、来た道を歩き出した。
(今日の晃河、可愛かったな)
明日香は今日の出来事を思い出しながら、家に帰った。
冬休みが終わり、始業式の日になる。明日香は教室に入ると、晃河の席へ向かう。
「晃河、おはよう」
「おはよ」
「これ、ちゃんと付けてきたから」
明日香はそう言ってクリスマスに貰った腕飾りをちらっと見せる。
「俺もちゃんと付けてるよ」
晃河はそう言って嬉しそうにチラッと腕飾りを見せた。そんな晃河に微笑んだ後、自分の席へ向かう。
「颯人、あけおめ」
「あけおめ〜」
明日香が颯人に挨拶をし、席に座ると、颯人が椅子に座ったまま明日香の元へ寄る。
「なんか久しぶりだね」
「そうだね。休み中1回もあってないもんね」
「どうせ晃河とイチャついてたんだろ」
颯人はニヤニヤしながらそう言う。
「うん。まぁ…クリスマスデートとお家デート?」
「やっぱクリスマス一緒に過ごすよな〜。俺は1人寂しく過ごしてたというのに…」
「え?彼女は?」
「あー、言ってなかったね。別れたんだよね」
「え?何。振られたの?」
「ううん。俺が振ったの」
「もう好きじゃなくなったの?」
「好きじゃなくなったっていうか…他に好きな人が出来たって感じかな」
颯人はそう言って苦笑いする。
「えー。誰?好きな人って」
「それは…」
しばらく沈黙が続いた後、颯人はニコッと笑って言う。
「明日香」
「えっ、俺?」
明日香がそう言って驚いた表情を浮かべると、颯人はハハッと笑う。
「冗談だよ〜」
「ちょっと、びっくりしたじゃん」
「ごめんごめん。明日香の反応が見たくてさ」
「やめてよ〜。晃河に怒られるよ?」
「晃河は嫉妬深いもんね。こういうことしたらすぐ嫉妬するんじゃない?」
そう言って颯人は明日香の頭を撫でる。
「ちょっ、颯人」
明日香はそう言いながら慌てて颯人の手を掴む。
「あ、ほら。見てよ」
颯人はそう言って晃河の方を見る。明日香も同じように晃河を見ると、晃河は少し怒った顔でこっちを見ていた。明日香と目が合った晃河はサッと目を逸らし、そっぽを向いた。
「ちょっと、晃河怒っちゃったじゃん」
「ごめんごめん。でもさ、明日香ってあんま嫉妬とかしないよね」
「いや、結構するよ?」
「ふーん。あれとか?」
颯人はそう言って晃河の方へ目配せする。明日香が晃河の方を見ると、晃河は莉久にほっぺを両手で触られていた。
それを見た明日香の心はモヤっとする。
「…なにあれ」