もっくんの家にて。
「涼ちゃんこっちに座って」
涼ちゃんをソファーに座らせる。
「何か飲む?」
「あっじゃあコーヒーで」
俺はコーヒーを2人分用意してから涼ちゃんの隣に座る。
涼ちゃんを家に連れてきたものの何から話していいかわからず沈黙が続いてしまう。
涼ちゃんも落ち着かなげに視線をキョロキョロとさまよわせているのがわかる。
「さっきは突然ごめんね」
「えっ?いいよ、いいよ。気にしないで」
涼ちゃんはちょっと顔を赤くしながらも首を振る。
『気にしないで』かぁ。
そのセリフにまた落ち込みそうになるが、負けていられるかと歯を食いしばる。
「聞いて、涼ちゃん」
思い切って涼ちゃんを見つめた。
「俺、さ。俺、涼ちゃんの事が好きになっちゃったんだ」
勇気を振り絞り自分の気持ちを伝えた後、ドキドキしながら涼ちゃんの反応をうかがう。
「えっ?」
びっくりしたように目を見開いた涼ちゃんはしばらく呆然とした顔をしていた。
「ウソだ…」
涼ちゃんがつぶやく。
あまりの反応の薄さに怖気付きそうになるがここまできたら突き進むしかない。
「ウソなんかじゃないよ。俺、本当に涼ちゃんの事が好きなんだ。ずっと涼ちゃんの事ばっかり考えて仕事にまで支障きたしちゃうくらい、本当に好きなんだ」
そう言ってもまだ涼ちゃんはピクリとも動かない。
「涼ちゃんにとって俺なんかそういう対象にならないんだってわかってる。あの日の事だってただの酔った勢いだって。でも、俺あれから涼ちゃんの事が気になって気になって仕方ないんだ」
「ウソだ…。だって元貴、女の子が好きでしょ?そんなはずないじゃん」
涼ちゃんは目線をそらし、ボソリとつぶやく。
「それに若井から好きな女の人ができたって聞いたよ?俺の事からかってるの?」
若井のやろ〜、余計な事を!
「違うよ!若井に相談したのは涼ちゃんの事だよ。さすがに誰かなんて言えなかったから若井が勝手に誤解したんだよ」
ちょっと気まずくて目線をそらす。
「確かに女の子が好きだけど、でも俺あの夜の事ずっと忘れられないんだ。毎日のように夢に見ちゃうくらい」
必死に涼ちゃんにうったえるが涼ちゃんの表情は変わらない。
「それって単にまたやりたいだけなんじゃないの?たまってるから勘違いしたんじゃない?」
「それは…やりたくないって言ったらウソになるけど、でもそれだけじゃなくて涼ちゃんがお酒飲んでるの見るだけで胸がザワザワして、アツシさんと飲みに行ったって聞いて腹が立って、アツシさんとキスしてる涼ちゃん見て悔しくなって…」
俺の話を聞きながら涼ちゃんはどんどん下を向いていく。
「俺だって最初はとまどったんだ。なんだこの気持ちは?って。わからないふりしようとも思った。でも、涼ちゃんを誰にも触らせたくなくて、自分だけのものにしたくて。自分でも自分が止められないんだ」
グッと涼ちゃんの手をつかむ。
「俺、涼ちゃんをアツシさんに取られたくない」
「ウソだ…」
うつむいたまま小さな声でそうつぶやく涼ちゃん。でもよく見るとその耳が赤く染まっている事に気づいた。
もしかして…。ドキドキしながらそっと涼ちゃんの顔をのぞき込んでみる。
そうすると、涼ちゃんは瞬間的に反応したのか腕で顔を隠しながら俺から距離を取るようにバッと身体をのけぞらせた。
「ウソだ。元貴が俺の事好きだなんて、そんなのウソだ!」
その顔は真っ赤に染まっていた。
もっくんのあまりにも情熱的な告白に、ネガティヴ『そんな事絶対ない』思考の涼ちゃんの心が溶かされていきます。
もっくんもう少しだ!がんばって🥹
コメント
24件
がんばれー!
もっくん頑張ってー!!
いゃぁぁぁ!頑張れ!大森さん!今だ!今やらなくていつやるんだ!