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記憶喪失/🟦🏺

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記憶喪失/🟦🏺

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2025年12月08日

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まだまだ犯罪者が暴れまわる時間の病院前。青井と成瀬は駄弁っていた。

「らだおあそこ負けるマジかー」

「いや大分無理あっただろ」

「マ、お前もまだまだ成長途中ってことだな!」

「なんかムカつくな……」

大型後、なんだかんだで負傷した2人は松葉杖が取れるまで、暫しのチルタイムを過ごしていた。

「今日大型多いなー」

「な、俺らまたすぐに駆り出されるぜ」

今も警察官のダウン通知が定期的に鳴っていた。さぁ、そろそろ警察署戻るかといったところで病院内が騒がしいことに気付く。

「大変だー!つぼ浦が記憶を無くしたぞー!!」

神崎が自動ドアから飛び出して来た。

「うわエグい」

成瀬は呟いた。人が死にまくってるため、救急も忙しい。

さすがのつぼ浦も迎えに来る見込みがないと考え、諦める選択を取ったのだろう。

「仕方ねぇ様子見に行ってやりますか!」

「今回はどこまで忘れてるかなー」

病室までの廊下でいつだかの全て記憶を失ったつぼ浦を思い出し、げんなりする。あの時は記憶が戻るまで地味に大変だった。

「あッ!」

急に青井がなにかを閃いたように声をあげる。

「らだお、どうした?」

「あー……なんでもない」

「めっちゃ気になるヤツじゃん!」

少しニヤついてるようにみえる青井を訝しむ。

「まぁまぁいいじゃん。まずはつぼ浦でしょ?」

「しょうがねーな。後で教えろよー」

病室の中からは命田が話しかけてる声が聞こえてくる。

「大丈夫ですかー?つぼ浦さん!」

成瀬が扉を開ける。

「あ?なんだオメェら」

「つぼ浦、ぜんぶ忘れちゃってるみたいだな」

はぁと命田は軽くため息をつく。

案の定つぼ浦はなにもわかりませんみたいな顔をして腕をくんでいた。

いつもの騒がしさと明るさも少々鳴りを潜めている。サングラスの外された瞳はビー玉のように透き通っていた。

「セリフ的に俺らのことも覚えてませんよねー」

「全くわからないぜ!」

「そうだよな……」

「多分前の時と同じっぽくなってるな」

命田は用事があるようで、一旦見ていて欲しいと言って病室を出ていった。

これはまた思い出すまで時間かかるなーと成瀬は思う。

青井はつぼ浦を真っすぐ見つめて、どこか切なげに話しだした。


「じゃあ……俺と付き合ってることも忘れちゃった?」


「えッ、」

「えええええええぇぇぇぇーーーー!!!」

前者がつぼ浦、後者が成瀬だ。告白をされたつぼ浦より成瀬のほうがよほど驚いていた。

え!?エッそうだったの!?初耳なんだけど!?!?

そこそこ2人と仲がいいと思っているからこそ、腹の底から声を出して驚いた。驚愕のあまり横転しそうな勢いであった。

「お前も俺と同じ警察なんだけどさ、1年前くらいだったかな?付き合い始めたの」

「そ、そうなのか?えーっと」

「青井らだおだよ」

「青井さんと、俺が?」

「うん」

青井はいつの間にか外したヘルメットの下から悲しげで、それでも優しい表情を見せている。まさに記憶喪失の恋人に見せる顔であった。

成瀬はまだ混乱していた。

らだおとつぼ浦さんが付き合ってた……?そんな話は聞いたこともない。2人から少しの恋の気配も感じたことがなかった。

一瞬ウソかとも思ったが、青井の態度が現実味を増す。

考える成瀬を置いて会話は進む。

「そ、そうだったのか、なんか悪いな」

「この街で警察やってたら仕方ないことだからなー」

「俺警察なんスね」

「オマエが後輩で、俺が先輩だよ」

「えー……パイセン後輩に手ぇ出したんスか?」

「アハハまぁそうなるね」

「顔に似合わずやり手だな、コイツ」

そんなやりとりをしていると大型の通知が響いた。

「あーっとそろそろ行かなきゃっぽいな」

青井は立ち上がってつぼ浦のベッドに近づき、恭しく手を取る。そこに、柔らかいキスを一つ落とした。

「またね、」

緩く微笑む青井につぼ浦がぽっと赤くなる。分かりやすく照れていた。

そのまま病室を出る青井を成瀬は慌てて追いかけた。

機嫌良さそうに歩く青井に追いつき、問い詰める。

「さっきの、付き合ってるってマジ?」

「いや全然嘘だけど」

成瀬はお笑い芸人みたいにズッコケた。病院の床は割と冷たい。

嘘なんかい!!めちゃくちゃ思考した労力を返せよ。

「で、でもそんな冗談言うなんて珍しいな。しかも恋愛ちょー苦手なつぼ浦さんに、」

「あーまぁ好きっていうのはホントだかんね」

「ええええ!?」

再度驚く。聞いたことがない情報だ。仲がいいとは前々から思っていたが、そこに恋愛感情が含まれるとは思わなかった。やけに雰囲気がリアルだったことにも納得がいく。

「え?じゃあ好きな人に恋人だって嘘ついたってコト?」

「そうだねぇ」

「え何で?」

「チャンスだったから。意識させる」

「……オマエやばッ」

成瀬は腕をさすった。何でもないような顔をしてる青井に寒イボがたつ。

好きな人騙すのにこんな抵抗ない奴いる?閃いた時楽しそうだったのも恐怖だ。

今もこれからどう進めるか考えているのだろう。これから事件現場に行くというのに少しウキウキしている。

普通にドン引きだ。

これからちょっと距離とろ……と成瀬は思った。

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