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雑/ただの思いつき 等

4 - ドMなのは僕の方なのかも

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2023年10月08日

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僕は今いじめを見てる。

いじめられてるのはクラスメイトの笹田幸人くん。

幸人くんはいじめられてる間、抵抗し続ける。

でもいじめっ子はやめない。そりゃそうだ。


『おーい!見てねえで、宮田もやれよ!』

僕の名前は宮田悠太。

いじめっ子は僕を呼んでるみたいだ。

「なんで?」

『なんでって、楽しいからだろ!』

「面倒事に僕を巻き込まないでよ。」

「っ…。」

幸人くんは何か言いたげだ。

「なに?」

「た…、たすけて……。」

『あっはははは!!!助けてだって!!!!どーするよ宮田!』

「……だから、嫌だよ。僕を巻き込まないで。」

『はははっ、ふられてやんのー』

「じゃあね。」

「まっ、まって…!!」

「なに。」

「おねがっ…ぃ、します……。」

『まだ言ってんのかよお前!!』

「う゛っ…、!」

あ、蹴られた。可哀想。

でも、僕関係ないし。

「幸人くん、頑張って。」

「っ…、へ…?」

『おーおー、そーゆーことだよ。ゆーきーとーくん。』

「まっ、てよ…!!なんでっ、!?」

「だから、めんどうなんだってば。」

「……。」

あ、泣き出しちゃった。そろそろ逃げよう。

「じゃあね、山田。」

いじめっ子に挨拶をしてその場を離れた。



「あー…、めんどくさ。」

いじめは止めると標的が僕になり、関与すると色々めんどい。

高校生活を平穏に暮らしたい僕はあまり”そういうの”には関わりたくない。


「たすけて。」

「お願いします。」


「はぁ…、そんなこと言われたって…。」

そんなこと言われたって、僕はそこまで勇敢じゃない。

それに、もうそういうのはこりごりだ。

「明日、どーしよ…。」

正直、見てる側も多少は罪悪感がある。

でも、助けようとは思わない。大体の人がそうだ。

「やっぱ、めんどくさ。」

世の中はめんどくさいことばっかだ。

特に人間関係は1番めんどくさい。お親、友達、先生…と、幅広い上に関係が崩れやすい。今まで、全部全部崩れてきた。親にも、友達にも、先生にも裏切られた。

だから僕は友達も恋人も要らない。親や先生だって信用しない。

それが一番良い。

淡い意識の中、僕はそっと目を閉じた。



『悠太!!なんで貴方はそんなに嫌な目をしてるの!?』

違うんだ、ママ。

『本当にこの子は俺の子なのか!?なぁ、おい!』

『本当よ!本当にあなたの子なの!!』

ごめんなさい。パパ、ママ。

『貴方なんか産まなきゃよかった!』

『お前なんて生まれて来なければ良かった。』

許して、お願い。

『ウザイのよ!!もう私に話しかけないでよ!!』

痛いよ。ママ。打たないで。

『ちっ、はぁ…。』

無視しないでよ、パパ。


『もう宮田とは一緒に遊べない…。』

どうして?

『ママが、お前は不倫の子だって。』

違うよ。待って、置いてかないで。一緒にあそんで。


『……。』

先生、助けてよ。

ねえ、どうして?


『お前なんか死ねばいいんだ!!』

痛い、痛いよママ。

『死ね。』

やめて、パパ。それは料理に使うやつだよ。

僕を刺さないで。


怖い。たすけて。おねがい。

神様おねがいします。たすけてください。


「たすけて」

「おねがいします」



「っ…!!!」

嫌な夢を見た。

「……はぁ。」

ため息をついて、ベッドをおりる。

今日は1限目から体育があったはずだ。

「…サボろうかな。」

体育なんて、テキトーに足を捻ったとか、気分が悪いとか言っておけば大抵は休める。


『よぉ、宮田!』

「…あぁ、山田。おはよう。」

『昨日ちょー楽しかったのに、帰りやがってよぉ!』

「ごめん。」

『いーって、いーって!おかげで面白い笹田が見れたしなっ!』

「そっか。」

幸人くんはまだ来てないみたいだ。

ガラガラと扉の音がする。

『お、笹田じゃーん!』

あ、来た。

『おはよーさん。』

「……ぉ、おはようございます…。」

幸人くんも懲りないよな、毎日学校来るなんて。


「幸人くんって、ドMなの?」

「…ぇっ?」

体育の時間、幸人くんも見学だったからなんとなく聞いてみた。

「だって毎日学校来るじゃん。いじめられてるのに。」

「そ、れは…。」

「……親に言ってないの?」

「…はい。」

「ふーん。信用出来ない人間なの?」

「…ちがっ、!」

「…?じゃあなに?」

「し、心配…かけたくなくて…。」

「心配してくれる人がいるんだ。」

「ぅ、うんっ…。」

「……羨ましいな。」

「えっ…?」

「なんでも。」

心配してくれる人がいるなら話せばいいじゃないか。

なんで話さないんだよ。

「ぇ、えっと…宮田さんは…ど、どうして僕を助けてくれたんですか?」

「は?」

「助けた覚えないんだけど。」

「だ、だって…昨日あの後山田さんが『面白いもん見れたから帰るわ。』って……。」

「……へー。けど、助けたつもりないから。」

「で、でも!ありがとう。宮田さん…。」

「感謝とか別にいいから。」

助けたつもりは本当になかった。

でもまぁ、あれで助かったんならいいか。

「……親に話してみるのもいいと思うけど。」

「え…?で、でも…。」

「心配してくれる親がいるのはいいことだよ。」

「……。」

「僕は両親とも僕のこと殺しかけてムショ行っちゃったし。幸人くんが羨ましいよ。」

「へっ…!?だ、大丈夫?傷とか痛まない?」

「…ぷっ、あははっ!大丈夫だよ。どーも。」

「…笑った?」

「は?誰でも笑うでしょ。」

「宮田さんの笑った顔は初めて見ました…。」

「あっそ。」

「僕、親に話してみます。」

「おー、いいんじゃね。」

幸人くんはMじゃなかったみたいだ。

明日から幸人くん休むのかなー。


「次の標的は僕……かもね。」


そしたら、どうしようかな。



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