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夏のある日、炭治郎はかなおを誘って、蝶屋敷の近くにあるお祭りへ出かけた。
かなおは、少し恥ずかしそうに浴衣を着ていて、普段とは違う雰囲気に炭治郎の顔は一瞬で赤くなる。
「かなお、すごく似合ってる……!び、美しい……」
「……っ!」
かなおも驚いたように目を見開いて、でもすぐに目をそらして小さくうなずく。
──ふたりで並んで金魚すくいをしたり、りんご飴を分け合ったり。
夜風に吹かれながら歩くうちに、ふたりの距離はどんどん近づいていく。
そして、帰り道。
小さな神社の前で、炭治郎が急に立ち止まる。
「……かなお。俺、ずっと言いたかったことがあるんだ」
「……なに?」
「俺は、かなおのことが――すごく大切だよ。これからも、ずっと一緒にいたいって思ってる」
かなおの手が、きゅっと炭治郎の袖をつかむ。
「……私も、そう思ってる。……ずっと、いっしょにいたい」
小さな風鈴が鳴ったその瞬間。
炭治郎はかなおの手をそっと握り、ふたりはゆっくり見つめ合って、
やわらかく、ほほえみあう。
──そして、かなおが小さく背伸びして、炭治郎の頬にそっとキスをした。
「……いまの、風鈴の音のせい、だから」
そう言って顔をそらすかなおに、炭治郎は顔を真っ赤にしながら、でもすごく幸せそうに笑った。
「……もう一回、鳴らしてもいい?」
ふたりの笑い声が、夏の夜に溶けていった──。