テラーノベル
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「……なあ、しゃけ」「……ん、なに」
ゲーム配信が終わって、画面もPCも暗くなった部屋。
薄明かりだけが、隣に座る“しゃけ”ことシャークんの肌を白く照らしてた。
いつも画面越しにしか見てなかった、キャリーの“声”じゃなくて、“顔”。
黙ってても絵になるくらい綺麗で、線の細い肩がちょっと震えてる。
「お前さ……びびってんの?」
「び、びびってないし。お、俺……こういうの、初めてだし……」
滑舌の甘さが、いつもよりちょっと強く出てた。
普段はPvPで鬼みたいな反応速度を誇ってるくせに、今は逆にこっちが主導権握ってる感じ。
しゃけは、俺――きんときの顔をまともに見れずに、視線を床に落としてる。
首筋のあたりが赤いのが、電気の下でもよくわかった。
「俺のこと、見て」
そっと、しゃけのあごに指を添えて持ち上げると、彼はピクリと肩を揺らした。
「……きんとき、顔近い」
「だって、さっきのお前、くっそ可愛かったから」
「……なっ、ば、ばか……っ」
叫ぶ声は小さくて、喉が震えてる。
ゲーム中みたいな甲高い悲鳴じゃなくて、もっと……甘い音だった。
「しゃけ、今日ずっと我慢してたろ。俺に触られんの、ほんとは嫌じゃなかったんだろ?」
耳元で囁くと、しゃけはぶるっと体を震わせた。
細い指が、俺の服の裾をぎゅっと掴む。
「俺、……キャリーされてんの、ゲームだけでよかったのに……」
しゃけの目が潤んでいて、でも、拒絶はなかった。
むしろ――こんな表情、見たことない。
「……じゃあ今夜は、俺が“押し負けて”やるよ」
そう囁いて、唇を重ねた。
触れた瞬間、しゃけの高く細い息が、俺の唇にかかる。
顔が真っ赤になって、目をそらそうとしても、逃がさない。
指先で、腰を軽く引き寄せると、
――しゃけの体温が、俺の胸に染みてきた。細い体が震えて、でも逃げようとはしなかった。
俺は舌でそっとしゃけの唇をなぞる。すると、彼は微かに唇を開いて――甘くて弱々しい吐息が漏れた。
「ん……っ、きんとき……っ」
しゃけの指先が、俺のシャツをぎゅっと掴む。まるで、溺れそうな自分を支えるためみたいに。
ゲーム中のあの最強キャリーが、今はこうして、俺のキスひとつでぐずぐずになってる。
俺はしゃけの首筋に唇を落とす。色白な肌に舌を這わせるたび、びくっと小さな体が跳ねる。
「だ、だめ……っ、そんなとこ、きんとき……っ、や、っあ……」
耳まで真っ赤に染まったしゃけが、今にも泣きそうな声を漏らす。
でもその手は、俺の背中を強く抱きしめていた。
「しゃけ……可愛すぎて、やばい」
耳元で囁くと、彼はくたりと力を抜いた。
押し倒されるようにして、ベッドの上にしゃけの体が沈む。
見下ろすと、照明の柔らかい光が、しゃけの白肌と潤んだ瞳を照らしてた。
「ねぇ……最後まで、いっていい?」
俺の問いに、しゃけはわずかに首を縦に振る。
唇が震えたまま、でも……目だけは、ちゃんと俺を見てた。
「……やさしくして、くれんなら……」
「任せろ、しゃけ。今夜は……誰にも邪魔されないから」
そのまま俺は、しゃけの体を静かに抱き寄せた。
キスを重ねるたびに、彼の呼吸は甘く熱を帯びて――
二人の距離は、言葉のいらないほどに、溶け合っていった。
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