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すっかり熱も引き、いつもの活気を取り戻したケイトは、ガレージで機械の整備作業に没頭していた。工具のぶつかる音や、溶接の火花が飛び散る中で、彼女の顔には健康的な汗が滲んでいる。
隣ではクーパーが楽しそうに鉄くずをガジガジと噛んで遊んでいる。その金属質の咀嚼音は、もはやガレージの日常に溶け込んでいた。時には、ケイトが作業中に手元から落とした小さなボルトを拾い上げ、器用に咥えて持ってくることもある。その度に、ケイトは「ありがとう」と声をかけ、クーパーの頭を撫でてやる。
ガレージでの平穏な日々が続く中、ケイトの心には、いつからか一つの好奇心が芽生えていた。
ある晴れた日、ケイトはクーパーを連れて、再びあのスクラップの山へと向かった。いつものように、クーパーは彼女の足元を軽快に駆け回る。
「クーパー、今日は宝探しよ」
ケイトはそう言い、昔どこかで聞いたことがある、なんとも牧歌的な言葉を口にした。
「ここ掘れ、ワンワン!」
そう言いながら、彼女は足元の瓦礫の山を軽く蹴ってみせた。すると、クーパーのモノアイがキラリと輝き、その尻尾が激しく揺れ始めた。まるで、ケイトの言葉を理解したかのように、クーパーは指示された場所へと一直線に駆け寄っていく。
ケイトの「ここ掘れワンワン!」という声に、クーパーのモノアイがキラリと輝いた。まるで本当に宝を探すかのように、クーパーは廃材の山に頭を突っ込み、その器用な前足で瓦礫をかき分け始めた。ガシャン、ガシャンと金属音が響く中、ケイトの予想をはるかに超える動きを見せる。
そして、間もなく、クーパーは何かを咥えてケイトの元へと駆け戻ってきた。それは、錆びついた金属の棒や、歪んだ鉄骨ではなかった。クーパーが持ってきたのは、まだ使える精密なセンサー部品や、複雑な回路基板の一部、さらには手のひらサイズの高出力バッテリーなど、機材の整備にそのまま使えそうな細かいパーツばかりだったのだ。
「あんた…すごいじゃない!」
ケイトは驚きと喜びの声を上げた。彼女が普段、苦労して探しているような貴重な部品を、クーパーは次々と見つけ出してくる。その選別能力は、まさに熟練の整備士のそれに匹敵する。クーパーは、まるで褒められた犬のように、嬉しそうに尻尾を振っていた。
クーパーの新たな能力に、ケイトの心は躍る。このドローンは、彼女の整備士としての活動を、さらに効率的で豊かなものに変えてくれるだろう。廃棄地区は、もはやただのゴミ捨て場ではなく、クーパーと共に探検する「宝の山」へと変わったのだ。
ケイトは、クーパーが見つけてきたパーツや機材を、小型のトラックの荷台に次々と積み込んでいった。錆びついたものもあれば、まだ新品同様に光るものもある。そのどれもが、ガレージでの整備作業において貴重な資源となるだろう。彼女の顔には、満ち足りた笑顔が浮かんでいた。
荷物を積み終えると、ケイトは運転席に乗り込んだ。すると、クーパーは嬉しそうに尻尾をブンブンと振りながら、迷うことなく助手席に飛び乗った。そのモノアイはキラキラと輝き、まるで「早く帰ろう!」と催促しているかのようだ。
「よし、帰るぞ、クーパー!」