短編詰め合わせ

「翔太」

ソファに身体を預けていると、阿部ちゃんに後ろから抱きしめられた。

「コーヒー？お水？」

「水」

「言うと思った」

そんな阿部ちゃんの手にはもうミネラルウォーターが握られている。

「やるじゃん」

「まぁね。ね、ご褒美ちょうだい？」

「えー」

怠くて適当に返事をしているうちに耳にキスされて飛び上がる。

「キャピィ！」

「なんて声出すの」

少し呆れたように阿部ちゃんは言うと、今度は首筋に唇を寄せてくる。

「ふぁ…も、やっただろ…ご褒美」

「まだ欲しいな？せっかく今日会えたし」

「ひゃん」

首に息がかかる。

「もうすぐ、来るって…言ってた…」

「じゃ、それまでにしちゃお」

「無茶言うな…あっ」

「翔太早いから、大丈夫」

言いながらいつの間にか前に回ってきた阿部ちゃんはまだ俺の首をしつこく責めながら下のほうへと手を伸ばしていた。

「おい待て、失礼すぎんだろ！」

自覚はあるけど面と向かって言う事じゃないだろう。俺は怒り任せに阿部ちゃんを引き剥がす。

拒絶された阿部ちゃんは唇を尖らせているが、あっさり諦めて『はいはい』とキッチンに戻っていった。

水を飲みながら身体を落ち着けていると、インターホンが鳴る。ほら見ろ、いくら俺が早くたってこんなの間に合う訳ないし。

「おじゃましまーす。来たで」

やって来たのは康二だ。ソファにいる俺を見ると、一目散に駆け寄って抱きしめてきた。

「今日会えるなんて最高やわ、しょっぴー」

「康二も阿部ちゃんも同じ事言うな」

「だって、翔太は俺と康二の大事な王子様だから」

キッチンから阿部ちゃんが小っ恥ずかしい台詞を吐き、康二もうんうんと頷いている。

「こーんな可愛い王子様と一緒に過ごせるなんて、幸せな七夕やわ」

康二は俺の頬にキスをすると『俺シャワー行ってくるわ』と立ち上がった。

リビングには、阿部ちゃんがカップを洗うかちゃかちゃという音だけが響く。

これから始まる事への期待と少しの緊張感に包まれると無音では居た堪れなくなって、逃げるように自分たちの新曲のダンプラを流した。

「ここですんの？しょっぴー」

「違うわ、バカ」

戻ってきた康二がとんでもない事を言う。慌てて否定したけど、阿部ちゃんまで『今日は特別な日だから、いつもと違うのもいいんじゃない』とか言い出す。

「俺はヤダ！」

「やって、阿部ちゃん」

「可愛い王子様が言うなら仕方ないね」

康二と阿部ちゃんは俺を挟んで座り、それぞれ手の甲にキスするとその手をとって立ち上がったので俺は不可抗力で強制的に立ち上がらされ、そのままベッドへ導かれて行った。

「しょっぴー、好きやで」

「翔太、大好きだよ」

「あっあっ、んぁ、だめ、おかしく…なる」

ベッドに転がされる頃にはすっかり脱がされて、康二のを手で扱きながら胸を吸われ、阿部ちゃんには俺のをしゃぶられている。

2人の舌が熱くて、触れられてる所が溶けていきそう。頭の中はぼうっと靄がかかったように、考える事をやめて快楽に身を投げ出していく。

「はぁっ、あっ、あんっ、阿部ちゃ…出る…」

「いいよ、全部出して？いつも言うじゃん」

「あ、あ、いく、いく……」

いく時は絶対に腹の上に出さされて、それを康二と阿部ちゃんは指ですくって舐める。

「あま」

「美味しい」

んな訳あるかと思うけど毎回声にならない。肩で息をしているのに康二にキスされて、呼吸まで奪われそうになる。そっちに気を取られていると、阿部ちゃんの指が俺の身体を割る。

「気持ちいい？しょっぴー」

「あっ、ふ、きもちい…」

「いい子やな。これからもっと気持ちよくしたるから」

「康二ぃ、良さそう」

康二に優しく撫でられながら甘い声で囁かれて、もう頭の中はでろでろだ。ドームツアーでは2人きりで歌った仲なのに、その声でこんなにぐずぐずにされるなんて。

康二は阿部ちゃんと場所を交代して、ゴムを着けた康二のを俺の中にゆっくり押し込んでくる。

「あ、康二、こーじ…」

「可愛い声して」

「翔太、俺ともあそぼ？」

阿部ちゃんに不意打ちで耳を舐められて泣き声が出てしまう。そのまま俺のを扱かれる。先走りが阿部ちゃんの手に絡みつくほど溢れ、その下では根元まで埋まった康二の熱が律動を繰り返した。

気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。

「また、またいく、待って、とまっ……あぁ！」

王子様とか言って持て囃すくせに、こういう時は全然話を聞いてくれない。もうイッたのに阿部ちゃんが手を止めてくれないから、潮まで吹いて気づいたら寝ていた。

「しょっぴー、メシ食おか。できたで」

康二に呼ばれて目が覚めた。

「腰ダルい」

「そやな、抱っこしよか？」

「いらん」

重い身体を起こすと康二がTシャツを被せてきた。

「今日なに？」

「七夕そうめんやで」

見ると、まるで天の川みたいな素麺に星やら天ぷらやら薬味やら色々盛り付けられている。

「うまそう」

「せやろ。食べよ」

「今日はいい天気だし、織姫と彦星も会えただろうし、俺たちも会えたし、良かったね」

三人で手を合わせる。

「いただきます」

終