短編詰め合わせ

「なぁしょった、マジですんの？」

「うるさい、黙って抱けよ」

ヤケクソでそう言ったくせに、服を脱がされていくにつれ身体が震え始めた。

でも今更やっぱナシとか言えない。

「もうさぁ、俺が後から照に睨まれんだから」

「今照とか言うな」

「あーはいはい、わかりましたよ」

照と最近会えなくて、やっと会えたと思ったら喧嘩した。

理由は大したことじゃないけど。お互い他の人に時間使ってたのを、そっちが会えないって言うから！と相手のせいにして譲らなかったから。

照は折れようとしたけど、俺が意地張って態度を崩さなかったから『もういい』って帰っちゃった。

で、ふっか呼び出して飲んで今ふっかの家。

照との痴話喧嘩に巻き込むのは一度や二度じゃないから、半分呆れながらふっかは今日も付き合ってくれた。

悔しいけど天下のモテ男だけあってふっかのテクはやばい。あとこういうの断らないのがえぐい。

仲間だろうが何だろうが、こんなぶっ飛んだワガママまで聞いてくれる変なやつ。

その変なやつにねだって抱かれてる俺もきっと、変なやつだ。

「あ、あ、あ……あっ!?」

「しょったココだよね？イイの」

「やっ、だめっ！あぁ、あーーっ」

「いい声♪超締まる」

「あっあっあっあっ！いく、いくいく、イッちゃ…あぁ!!」

ふーー、と大きいため息が聞こえる。ふっかが、まだ自分はイッてないけど抜こうとしてる。

ゆっくり抜けて行く感覚に、腰がゾクゾクして中の痙攣が止まらない。

「はっ、はっ、待って、まだ…」

「えー？」

ふっかのちょっと嬉しそうな『えー？』が聞こえて、次の瞬間勢いよく引き抜かれた。

「っあぁ!!」

電流が走ったみたいに身体が跳ねて、先っぽから精液の残りみたいなやつがちょっと出た。

「あっ、あっ…はぁっ」

「何もしてないのに喘いでんだけど。しょったえろ」

「うるっ…さい」

「はいはい。ちゃんと仲直りしろよなぁ」

一眠りして、インターホンの音で目が覚める。

照が迎えに来たらしい。

「翔太」

リビングに入ってきたので、咄嗟にまだ畳まれずに投げ出されていたバスタオルを頭からかぶる。

「帰ろ」

「ヤダ」

「俺が悪かったから」

バスタオルをめくろうとする照と、抵抗する俺の攻防をゲームしながら横目で見るふっかは

「しょったもちゃんと謝りなー。そのために俺呼んだんでしょ」

とか言ってくる。

また意地を張りそうになっていたのに、ふっかにそう言われるとここまでしておいて…という気持ちにもなる。

渋々バスタオルから出てきて、照と一緒に帰った。

「え？」

「もう言わん」

帰り道、助手席で『俺もごめん』と呟いたら照が目をまん丸にした。

何なら聞き返された。

そんなに俺は謝ってなかったんだろうか。ないかも知れない。

ちょうど信号で車が停まって、照がくしゃくしゃの笑顔でこっちを見た。

「次は先に予定埋めような」

「うん…」

髪を撫でられて、払い除けたい名目でその手をとって、家に着くまで握った。

照の家に着いて、玄関に入るなり後ろから抱きしめられる。

「照」

「で、ふっかとしてきたんだ」

「だって、それは」

「じゃあ準備できてるよね」

「え？ちょ、あっ…」

耳を舐められ、スウェットを下着ごと降ろされる。バランスを崩して廊下に手を付くと、俺の荷物から探り当てたローションで中を抉られる。ふっかと使ったから量は少なかったけど、もう一度した後だから解れるのは早かった。

指が抜けて、照のが一気に押し込まれる。

「ひゃあっ！そこ、そこいいっ、あぁ、きもちいっ…」

「そ？ふっかと、どっちがイイの？」

「ひかっ…あっあんっ、ひかるがぁ…いいっ……」

照のセックスは特別だ。愛があるから、らしい。

こんな帰るなり玄関先で盛っても、愛はあるらしい。何よりそれを身体で感じ取ってメロメロにされている自分が悔しい。

「あっ、あっ、ひかるぅ」

「なに？」

「ちゅーして、乳首弄ってぇ、あんっ」

「注文多いね」

じゃあこっちに手ついて、と壁の方を向かされる。言われるままに身体を支え、照の舌を捩じ込まれながら胸を指先で捏ねられた。

「ん、ンッ、ふぁ、きもちい、きもちいいよぉ」

「かわい」

そのままノンストップで突かれて、照の家の壁に盛大にぶっかけた。

ソファには家のと同じ真っ白いブランケットがある。

頭まで被ると照が『大福』って呼んで喜ぶ。今は頭だけ出して、照の膝枕。

「なぁ照」

「なに？」

「何で、ふっかとしても怒らないの」

自分でやっといて何だけど、素朴な疑問をぶつける。

「あー。まぁ嫌だけど、ふっかとした後の翔太、いつもより乱れるから可愛いなって」

「はぁ!?」

確かに罪悪感というか背徳感というか、なんかいつもと違う感情なのは認めるけど面と向かって言われると恥ずかしい。

ブランケットを頭までかぶって潜ると、頭の上からいつもの『大福』と嬉しそうな声が降ってきた。

終